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第1章
慣れない美的感覚と初めての告白。
ダリオス団長と一週間後に教会に行く約束をした私はその後、ラナちゃんのお父さんであるソルダムさんに呼ばれた。
「リオちゃん、今時間ありますか?」
「・・・? 」
なんの話だろうと、私が不思議に思いながらも着いていくと、着いたのは食堂の奥の厨房だった。
聞けば、私が仕事を探してるのをラナちゃんから聞いたので、簡単な仕事をやらせてくれるという。
「ありがとうございます!」
私はそう言って頭を下げた。
「いやいや、こちらこそ。いつもうちの娘と仲良くしてくれてありがとうございます。」
「いえいえ、そんな・・・。」
おや?
ソルダムさんはイカつい見た目とは違いとても丁寧で親切な方だった。
その後は、ラナちゃんのお母さんのメルダさんに挨拶をして、仕事の内容をカンタンに教えて貰った。
まず、朝の開店前の食材の下ごしらえを手伝って、開店したら、ラナちゃんと一緒にホールでの接客。お昼には一時間の休憩時間がある。
そこまで難しくなさそうな仕事内容にほっとしながらも、きちんと休みも確認する。
「じゃあ、明日からお願い出来る?」
「はい。大丈夫です!これからよろしくお願いします!」
こうして、私は無職から脱出した。
体力、もつかな・・・。
なんて心配をしながら。
▽
それからの、5日間はとても忙しく過ぎていった。
レオルドさんは毎日来てくれる。
レオルドさん以外の騎士の人とも何度も食堂であっているうちに、よく話すようになった。
朝から晩までお客さんがとても多いのだ。
それに、やたら話しかけてくる。
ずっと動き回っていたおかげで、私はとうとう筋肉痛に襲われた。
お客さんが多いのは店が繁盛してる事だからとても嬉しいが、仕事が大変になるので少し考えものだな、なんて事をブツブツ言いながら筋肉をほぐし、朝の支度をする。
今日で6日めの出勤に頬を叩き気合を入れる。
「よしっ!」
明日はダリオス団長とレオルドさんと教会に行く約束をしているので、今日頑張ったら明日は休みだ。ついでにその次の日も休みを貰った。二連休だ。
それに、レオルドさんが明後日休みだったら、また一緒に町を歩きたいと思っている。
「おはようございます!」
「おはよう!リオちゃん、もう仕事には慣れた?」
私が食堂の扉を開け挨拶をすると、メルダさんがニコニコしながら話しかけてくれた。
「はい。一応・・・。」
「ふふっ、リオちゃん人気者だからね~。」
「えっ?」
「あら、最近、どこから聞きつけたのか、リオちゃんを一目見ようとウチに来るお客さんばっかりよ。」
「ええっ!?」
「これからもよろしくね?」
メルダさんはうふふと笑いながら、店の掃除を始めた。
いつの間にか自分が客寄せパンダになっていたとしり、なんとも言えない心境になる。
そうだった。つい、忘れちゃうけど、この世界では私、それなりに可愛いんだった。
自覚が全くといっていいほど持てない私はその事を忘れていた。
「はぁ。慣れないなぁ~。」
私はひとつため息をついてメルダさんのお手伝いをした。
▽
「いらっしゃいませー!」
朝と夜は宿に泊まっている人が。
そして、昼間はそれ以外の人が沢山来る。
私はニコニコと笑顔を作り接客をする。
メルダさんとあんな話をしたからだろうか・・・。
私がニコニコと接客をしているとすごく視線を感じる。そして、心無しか皆、顔が赤い気がする。
そしてとうとう・・・。
「初めて見た時から好きでしたっ!お、俺と付き合って下さいっ!」
それはつまり私に一目惚れしたってこと?
こんな、地味顔な私に?そんなばかな。
元の世界では絶対にありえないような状況に私は、困惑した。
顔を真っ赤にしてそう言ったのは、私が初めて仕事した日から毎日かかさず来てくれてたお客さんだった。
顔は地味な方だ・・・。
だから、この世界ではイケメン?なのかな?
「おぉ!よく言った兄ちゃんっ!」
「くそっ!先越されたっ!」
「ん?なんだ?告白か?」
「いやー、若いっていいね!」
「お嬢ちゃん、ビールおかわりっ!」
と周りがザワザワとうるさくなってきた。
何だか、だんだん断りずらい雰囲気になってきて私は焦った。
皆に見守られる中、その人は私の返事をジッと待っていた。
ど、どうしよう・・・。
悪い人じゃないのは分かる。
いつも笑顔で良く話しかけてくれた人だから。
でも、私からしたら彼はただのお客さんで、それ以下でもそれ以上でも無い。
人生で告白されるのなんて初めてだ。
以前の私なら、お友達から始めましょう。なんてことを言ってオッケーしていたかもしれない。
でも、ここは異世界。
もし帰れるなら今でも帰りたいと思っている。
そんな中で誰かと付き合うなんて・・・。
と、そこまで考えてふとレオルドさんの顔がよぎる。
いやいや、なんでレオルドさんが・・・。
とりあえず今はこの場を何とかしないと。
「あの、お気持ちは嬉しいです。本当に。
でも、ごめんなさいっ!私、今は誰とも付き合う気は無いんです。」
ガバッと頭を下げて謝罪する。
彼がこの大勢の中どれだけの勇気を出してくれたのかを想像すれば、それは半端なものじゃないことくらい私にも分かる。
傷つけないで断れる方法があるなら良かった。
だけど、私にはそれが何なのか分からなかった。
だから思っている事を素直に伝えた。
私に告白してくれた男性はしばらく動けないでいたが、すぐに周りが彼を慰め、笑いながら「次があるよ!」と話しかけていた。
私は空気が戻った事に安心しながら、仕事に戻った。
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