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アンジェ:私は恐ろしいの
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エドワードのもとを訪ねたアンジェは、切々と被害を訴えた。ゲームの中では苛めで死ぬことはなかったが、この世界でもそうかは分からない。事実、アンジェは命の危機を感じていた。
「エドワード様、もう耐えられないのです……。今日は階段で後ろから背を押されました……」
「なんと!怪我はないか?」
「いえ、何とか手すりを掴めたので大丈夫でした。でも、またいつ命を狙われてしまうかと考えたら怖いのです……」
エドワードが優しくアンジェを抱きしめた。その慣れた胸元にすがりつく。
「誰がしたのだ」
「……ポートマス公爵令嬢だと思うのです。暗紫色のドレスを着ていて」
「顔は見たか?さすがに責任をとらせるには、アンジェがアリシエラから殺されそうになったときちんと証言することが必要だ。あれでも公爵令嬢だからな」
アンジェは顔を見ていない。でも、証言しなければ今後も命の危機を味わい続けることになる。
「……顔を見ました。あの方は、ポートマス公爵令嬢です」
アンジェは嘘をついた。そうすれば、エドワード達がちゃんと証拠を見つけてくれると思ったのだ。ゲームの中ではそうだったのだから。
「分かった。俺はアリシエラとの婚約を破棄して、あいつを断罪する。そうしたら、アンジェは俺と結婚してくれるか」
「……私には婚約者が」
「そんなものはどうとでもなる。たかが商人のジジイだろう」
「……本当に、エドワード様が何とかしてくださるのですか?」
「当然だ。愛しいアンジェ。俺と結婚してくれ」
跪いてアンジェの片手を握り、真摯に見上げてくるエドワードにアンジェの胸が高鳴った。ちょっと展開を巻いて進めてしまった気がするが、これでアンジェは幸せになれるのだ。
「はい。エドワード様、私でよろしければ」
「ああ、アンジェ、愛しているよ」
「……エドワード様、ずっとお慕いしていました」
アンジェはエドワードに抱きしめられて、幸福の絶頂を味わった。
エドワードは3日後にアンジェに断罪の舞台を教えてくれた。王主催の舞踏会にてアリシエラに婚約破棄をつきつけ、殺人未遂の罪を断罪するのだという。ゲームより時期がずれてしまったが仕方ない。卒業式はまだ少し先だ。幸い、アンジェは既に社交界デビューを済ませていたから参加できる。
その舞踏会でのことはあまり覚えていない。エドワードに金に煌めくドレスを送られて、少し眩しいなと思いながらも、喜んで彼の瞳の色のドレスを纏った。これで、アンジェはエドワードのパートナーだと見なされるだろう。フレドリックとバカモンドもアンジェとエドワードの援護をしてくれると約束してくれていた。
そして、何が起こったのだろうか。いつの間にか、アンジェはエドワード達と共に貴族達から冷たい視線を向けられていた。断罪した筈のアリシエラは、堂々とした態度で王達と対峙し、自らの正当性を勝ち取り優美に去っていった。美しい人だった。……アンジェが1度も見たことがない人だった。彼女は、誰かを苛めるような人に見えなかった。
「アンジェ、見たんだろう……。アリシエラが、君を階段から突き落とそうとしたんだろう……?」
エドワードの縋る様な眼差しに耐えきれず、視線を逸らした。エドワード達は、アンジェの証言以外の証拠を探すこともしていなかったのか。
今まで輝かしく思っていたものが、急に色褪せて見えた。アンジェは何をしてきたのだろう。何を信じてきたのだろう。
1人、全てが閉ざされた部屋にいる。そこは王城の1室だった。家に帰ることは許されず、騎士に連れられてアンジェはここに閉じ込められた。
鉄柵のある窓の向こうに見える空は、不思議といつもより青く見えた。アンジェは初めてこの世界の本当の空を見た気がした。
「エドワード様、もう耐えられないのです……。今日は階段で後ろから背を押されました……」
「なんと!怪我はないか?」
「いえ、何とか手すりを掴めたので大丈夫でした。でも、またいつ命を狙われてしまうかと考えたら怖いのです……」
エドワードが優しくアンジェを抱きしめた。その慣れた胸元にすがりつく。
「誰がしたのだ」
「……ポートマス公爵令嬢だと思うのです。暗紫色のドレスを着ていて」
「顔は見たか?さすがに責任をとらせるには、アンジェがアリシエラから殺されそうになったときちんと証言することが必要だ。あれでも公爵令嬢だからな」
アンジェは顔を見ていない。でも、証言しなければ今後も命の危機を味わい続けることになる。
「……顔を見ました。あの方は、ポートマス公爵令嬢です」
アンジェは嘘をついた。そうすれば、エドワード達がちゃんと証拠を見つけてくれると思ったのだ。ゲームの中ではそうだったのだから。
「分かった。俺はアリシエラとの婚約を破棄して、あいつを断罪する。そうしたら、アンジェは俺と結婚してくれるか」
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「……本当に、エドワード様が何とかしてくださるのですか?」
「当然だ。愛しいアンジェ。俺と結婚してくれ」
跪いてアンジェの片手を握り、真摯に見上げてくるエドワードにアンジェの胸が高鳴った。ちょっと展開を巻いて進めてしまった気がするが、これでアンジェは幸せになれるのだ。
「はい。エドワード様、私でよろしければ」
「ああ、アンジェ、愛しているよ」
「……エドワード様、ずっとお慕いしていました」
アンジェはエドワードに抱きしめられて、幸福の絶頂を味わった。
エドワードは3日後にアンジェに断罪の舞台を教えてくれた。王主催の舞踏会にてアリシエラに婚約破棄をつきつけ、殺人未遂の罪を断罪するのだという。ゲームより時期がずれてしまったが仕方ない。卒業式はまだ少し先だ。幸い、アンジェは既に社交界デビューを済ませていたから参加できる。
その舞踏会でのことはあまり覚えていない。エドワードに金に煌めくドレスを送られて、少し眩しいなと思いながらも、喜んで彼の瞳の色のドレスを纏った。これで、アンジェはエドワードのパートナーだと見なされるだろう。フレドリックとバカモンドもアンジェとエドワードの援護をしてくれると約束してくれていた。
そして、何が起こったのだろうか。いつの間にか、アンジェはエドワード達と共に貴族達から冷たい視線を向けられていた。断罪した筈のアリシエラは、堂々とした態度で王達と対峙し、自らの正当性を勝ち取り優美に去っていった。美しい人だった。……アンジェが1度も見たことがない人だった。彼女は、誰かを苛めるような人に見えなかった。
「アンジェ、見たんだろう……。アリシエラが、君を階段から突き落とそうとしたんだろう……?」
エドワードの縋る様な眼差しに耐えきれず、視線を逸らした。エドワード達は、アンジェの証言以外の証拠を探すこともしていなかったのか。
今まで輝かしく思っていたものが、急に色褪せて見えた。アンジェは何をしてきたのだろう。何を信じてきたのだろう。
1人、全てが閉ざされた部屋にいる。そこは王城の1室だった。家に帰ることは許されず、騎士に連れられてアンジェはここに閉じ込められた。
鉄柵のある窓の向こうに見える空は、不思議といつもより青く見えた。アンジェは初めてこの世界の本当の空を見た気がした。
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