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再会する夢
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私は、霊感の類は全くなく、それまで一切、いわゆる心霊体験的なものはしたことがありませんでした。
あの日までは。
夏の暑さが和らぎ、朝や夜においては寧ろ涼しい、丁度、今頃の様な秋の日でした。
仕事で地方のホテルに一泊することになりました。比較的安い価格帯のビジネスホテルであったので、ある程度は覚悟していたところではあったものの、やはり、かなり年季の入った、ストレートに言えば、薄暗く、汚れている部屋でした。
明日の仕事に備えて、その日は早めに就寝しました。23時頃だったと思います。
その夜、普段は夢を見ない私は、書ききれぬ程に怖い夢を見ました。
そのホテルの自分が今寝ている布団の上で、何者かに首を絞められている夢でした。書いてしまえば、それだけですが、夢とは思えない緊迫感や、妙なリアリティがありました。私の首を掴む手にだんだん力が入ろうか、という時、何とか夢から起きることができました。しかし、この時、私の耳元で、確かに、嫌に低い女の声で
「また明日」
と言う声が聞こえた気がしました。起きた瞬間に、です。すぐに思い違いだ、夢の中で聞こえたものだ、と考えましたが、一抹の不安は残りました。
普段とは違う環境や、部屋の「いかにも」な雰囲気もまた、悪夢を誘ったのだと、その時は思いました。
仕事を終えて、家に帰り、風呂に入って、夕食は適当に済ませて、布団へ入りました。
昨日の悪夢で少し寝不足だったのと、単純に仕事で疲れていたのです。
目を瞑ると、すぐに意識は手放され、睡眠へと誘われました。
街がシンと静まった頃だったと思います。
例の「夢」が、あろうことかまた現れました。逃げる間もなく、既に首を掴まれています。その手には、心なしか、昨日よりも力が入っている気がしました。目線を目の前の何者かに向けると、女と、目が合いました。何を思ったのか、奴は目を細めて、笑っている様に見えました。「ひっ」と私の、声にならない声が漏れた気がしました。息が苦しく感じました。もう、、。
「次が最後。」
ニィと笑いながら、女の声が、聞こえました。
その時、夢から覚めました。はぁはぁ、と息が切れていました。寝汗で布団がぐっしょりなっていました。時計を見ると深夜の3時でした。
流石にそれからまた寝られるほど、私は図太くありませんでした。部屋の電気を付けて、テレビを付けて、夜を明かしました。
自分でも馬鹿らしいとは思いつつも、次の日は、会社を休んで、お寺へ、お祓いに行きました。
お寺の住職さんは、私を見るなり、驚いた顔をしていましたが、事情を伝えると、直ぐにお祓いをしてくれました。
「もう大丈夫ですよ。」
住職さんは私に優しくそう言ってくれました。住職さんに、私自身に何があったのかを聞きたい気持ちもありましたが、それは流石に勇気が出ませんでした。
それから数週間経ちましたが、あの夢はもう現れません。もしあの日、お祓いに行っていなかったら、「次が最後」とはどういった意味だったのか、改めて、分からないことが頭の中を反芻しますが、考えても仕方ないことばかりです。
あの時、住職さんに、色々聞いておけばよかったと後悔しています。
貴方は、私が見たものは、見た夢は、何だったと思いますか?
あの日までは。
夏の暑さが和らぎ、朝や夜においては寧ろ涼しい、丁度、今頃の様な秋の日でした。
仕事で地方のホテルに一泊することになりました。比較的安い価格帯のビジネスホテルであったので、ある程度は覚悟していたところではあったものの、やはり、かなり年季の入った、ストレートに言えば、薄暗く、汚れている部屋でした。
明日の仕事に備えて、その日は早めに就寝しました。23時頃だったと思います。
その夜、普段は夢を見ない私は、書ききれぬ程に怖い夢を見ました。
そのホテルの自分が今寝ている布団の上で、何者かに首を絞められている夢でした。書いてしまえば、それだけですが、夢とは思えない緊迫感や、妙なリアリティがありました。私の首を掴む手にだんだん力が入ろうか、という時、何とか夢から起きることができました。しかし、この時、私の耳元で、確かに、嫌に低い女の声で
「また明日」
と言う声が聞こえた気がしました。起きた瞬間に、です。すぐに思い違いだ、夢の中で聞こえたものだ、と考えましたが、一抹の不安は残りました。
普段とは違う環境や、部屋の「いかにも」な雰囲気もまた、悪夢を誘ったのだと、その時は思いました。
仕事を終えて、家に帰り、風呂に入って、夕食は適当に済ませて、布団へ入りました。
昨日の悪夢で少し寝不足だったのと、単純に仕事で疲れていたのです。
目を瞑ると、すぐに意識は手放され、睡眠へと誘われました。
街がシンと静まった頃だったと思います。
例の「夢」が、あろうことかまた現れました。逃げる間もなく、既に首を掴まれています。その手には、心なしか、昨日よりも力が入っている気がしました。目線を目の前の何者かに向けると、女と、目が合いました。何を思ったのか、奴は目を細めて、笑っている様に見えました。「ひっ」と私の、声にならない声が漏れた気がしました。息が苦しく感じました。もう、、。
「次が最後。」
ニィと笑いながら、女の声が、聞こえました。
その時、夢から覚めました。はぁはぁ、と息が切れていました。寝汗で布団がぐっしょりなっていました。時計を見ると深夜の3時でした。
流石にそれからまた寝られるほど、私は図太くありませんでした。部屋の電気を付けて、テレビを付けて、夜を明かしました。
自分でも馬鹿らしいとは思いつつも、次の日は、会社を休んで、お寺へ、お祓いに行きました。
お寺の住職さんは、私を見るなり、驚いた顔をしていましたが、事情を伝えると、直ぐにお祓いをしてくれました。
「もう大丈夫ですよ。」
住職さんは私に優しくそう言ってくれました。住職さんに、私自身に何があったのかを聞きたい気持ちもありましたが、それは流石に勇気が出ませんでした。
それから数週間経ちましたが、あの夢はもう現れません。もしあの日、お祓いに行っていなかったら、「次が最後」とはどういった意味だったのか、改めて、分からないことが頭の中を反芻しますが、考えても仕方ないことばかりです。
あの時、住職さんに、色々聞いておけばよかったと後悔しています。
貴方は、私が見たものは、見た夢は、何だったと思いますか?
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