encore

優未

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「風雅くん大丈夫?只野くんもお疲れ様」

気持ちを自覚してから初めて見る瑠璃はひと際輝いて見える。

「瑠璃、久しぶり。会いたかった」

酔った勢いで抱きつこうとしたら悠斗にとめられた。

瑠璃が隣にいると安心する。久しぶりとは思えないくらい変わらないやりとりが楽しかった。

もっと一緒にいたいのに、あっという間にお開きの時間となってしまった。

「瑠璃、送っていく」

「そんな酔っぱらってたら逆に危ないよ」

「俺の心配はいいから」

「駅からすぐだし大丈夫だよ」

「心配だから駅から家まで電話つないで」

「今日の風雅くん本当に変だよ?」

「瑠璃ちゃん、そろそろ折れないと風雅が家までついてきちゃうよ?」

「わ、わかった。じゃあ一旦ここで解散ね」

「うん、待ってる」

「瑠璃ちゃん気を付けてね」

駅の改札を通る瑠璃の背中を見送る。

「跡つけようかな」

「そんなことしたら瑠璃ちゃんに嫌われるぞ」

「もう嫌われているかも」

「嫌っていたらこんな時間まで付き合ってくれないだろ」

「……そうだな」

「じゃ、俺たちも解散。あとは自分の力で頑張れよ」

「ありがと」

1人になって酔いを醒ましがてら歩いていると、端末が瑠璃からの着信を告げる。

「瑠璃?急だったのに来てくれてありがとう」

『こちらこそ、すごく楽しかった』

「今日みたいなのもいいけどさ、また2人で遊ぼうよ」

『…うん、いつでも誘って』

「じゃあさっき話してたやつさ、一緒に行こう」

『いいの?』

「1人じゃ行きにくいって言ってたじゃん」

『うん。ついてきてくれると助かるかも』

「来週だと急すぎ?」

『大丈夫だよ』

「時間とかはあとでメッセージ送るよ」

『うん。あ、家まで無事到着しました。今日は本当にありがとう』

「また来週、よろしくね」

『またね、おやすみなさい』

「おやすみ」

2人で会う約束はできたけれど、期待していた言葉はもらえなかった。

「……好きって言われなかった」

悠斗がいたからだと思いたい自分がいた。でも、2人きりの電話でも瑠璃は好きだとは言わなかった。

「嫌だ、嘘だ」

変わらず俺を励ましてくれるのに、今は誰とも付き合っていないのに、好きという言葉はくれない。

嫌われてはいなくても、もう俺のことは好きではないのかもしれない。
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