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第十一話 俺のモノだ
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玄関から真っ直ぐに足音が向かってくるとドアの前でピタリと
止まった。
俊は恵をしっかりと抱きしめるとゆっくりとベッドから起きあ
がろうとした時にドアが開き、明かりがついた。
一瞬入って来た人物と目が合うと俊も恵もこの状況がいかに愚か
な場面であるかを感じた。
「あ、あらた…くん、えーっとこれには深い訳が…」
「…俊、恵と会えたんだね、良かったよ。忘れ物取りに来ただけ
だから…って、勝手に開けたんだ…ちゃんと閉めておいたのに。
明日ゴミの日だから全部出して置いて欲しかったんだけど…。
うん、いいや、このまま持ってくよ」
「荒太!待ってくれ、俺の話を聞いてくれ!」
呼び止めるけど冷たい目でチラッと見ただけですぐに箱の中身を
袋に全部詰めるとぎゅっと縛った。
「ごゆっくり~、俺もう行くから…」
俊は恵から離れると荒太の腕を掴んだ。
今行かせたらもう、いつ会えるかわからない。
この状況の誤解だけでも解かないと、余計ややこしくなる。
すぐに振り解こうと力を込めるが、俊に強く握られると荒太では振り
解けない。
「離せよ…」
「離さない。話を来てくれ…」
「離せって…いい加減にしてくれよ。」
「俺は荒太にずっと会いたかったんだ。これからだって…」
真剣に自分の気持ちを伝えようと必死に言葉を選ぶと今度こそ荒太に向
きあうんだと思い荒太の様子を見つめた。
すると今にも泣きそうで、我慢するような表情を見ると言葉に詰まって
しまう。
「だから…俺は…」
「もう、…見たくない。もう…俊の顔なんて見たくないんだよ…」
俊は絞り出すように言われた言葉に、これ以上ないくらいにショックを受
けた。
俊の使っていたモノを欲しがっていた子供の頃を知って、その時の物を今
でも大事に箱に取って置いてたくらい自分の事を好きでいてくれたと知っ
たばかりなのに…。
どうして…そうなった?
俺が何をした?
何かしたなら謝らせて欲しい。
何が悪かったのかすら聞かせても貰えないのか?
「いい加減離せよ…痛いんだって…おい、バカ力で掴むなって…」
「…なんでだよ。…が何したんだよ…俺は…なのに…最近はずっと…なのに」
「はぁ~何言って…うむっ!んんっっ!」
俊は腕に力を込めると自分の方へと引き寄せる。
そして逃げられないように壁に追いやると退路を塞いだと思うとキスで
言葉を塞いだ。
逃げる舌を絡ませて吸い上げる。
顔を逸らそうとするのを顎を押さえ込むと逃がさない。
「俊くん!ちょっと流石にそれはダメだって!」
恵の声も聞こえていない。
ただ逃したくないという一心で息が苦しくなるまで塞ぎ続けた。
頭がぼうっとしてきて荒太の力が抜けた頃に唇を離すとベッドへと押し倒した。
酸欠で上手く動けないのをいいことに服を脱がし始めた。
「俊くん!」
「退けよ、荒太は俺のだ。誰にも渡さない。」
「こんな事してもなんの解決にもならないよ。」
「煩い。もう逃がさない…絶対に逃してやらない…」
恵は俊の目に狂気が宿っていたのを見たのだった。
止まった。
俊は恵をしっかりと抱きしめるとゆっくりとベッドから起きあ
がろうとした時にドアが開き、明かりがついた。
一瞬入って来た人物と目が合うと俊も恵もこの状況がいかに愚か
な場面であるかを感じた。
「あ、あらた…くん、えーっとこれには深い訳が…」
「…俊、恵と会えたんだね、良かったよ。忘れ物取りに来ただけ
だから…って、勝手に開けたんだ…ちゃんと閉めておいたのに。
明日ゴミの日だから全部出して置いて欲しかったんだけど…。
うん、いいや、このまま持ってくよ」
「荒太!待ってくれ、俺の話を聞いてくれ!」
呼び止めるけど冷たい目でチラッと見ただけですぐに箱の中身を
袋に全部詰めるとぎゅっと縛った。
「ごゆっくり~、俺もう行くから…」
俊は恵から離れると荒太の腕を掴んだ。
今行かせたらもう、いつ会えるかわからない。
この状況の誤解だけでも解かないと、余計ややこしくなる。
すぐに振り解こうと力を込めるが、俊に強く握られると荒太では振り
解けない。
「離せよ…」
「離さない。話を来てくれ…」
「離せって…いい加減にしてくれよ。」
「俺は荒太にずっと会いたかったんだ。これからだって…」
真剣に自分の気持ちを伝えようと必死に言葉を選ぶと今度こそ荒太に向
きあうんだと思い荒太の様子を見つめた。
すると今にも泣きそうで、我慢するような表情を見ると言葉に詰まって
しまう。
「だから…俺は…」
「もう、…見たくない。もう…俊の顔なんて見たくないんだよ…」
俊は絞り出すように言われた言葉に、これ以上ないくらいにショックを受
けた。
俊の使っていたモノを欲しがっていた子供の頃を知って、その時の物を今
でも大事に箱に取って置いてたくらい自分の事を好きでいてくれたと知っ
たばかりなのに…。
どうして…そうなった?
俺が何をした?
何かしたなら謝らせて欲しい。
何が悪かったのかすら聞かせても貰えないのか?
「いい加減離せよ…痛いんだって…おい、バカ力で掴むなって…」
「…なんでだよ。…が何したんだよ…俺は…なのに…最近はずっと…なのに」
「はぁ~何言って…うむっ!んんっっ!」
俊は腕に力を込めると自分の方へと引き寄せる。
そして逃げられないように壁に追いやると退路を塞いだと思うとキスで
言葉を塞いだ。
逃げる舌を絡ませて吸い上げる。
顔を逸らそうとするのを顎を押さえ込むと逃がさない。
「俊くん!ちょっと流石にそれはダメだって!」
恵の声も聞こえていない。
ただ逃したくないという一心で息が苦しくなるまで塞ぎ続けた。
頭がぼうっとしてきて荒太の力が抜けた頃に唇を離すとベッドへと押し倒した。
酸欠で上手く動けないのをいいことに服を脱がし始めた。
「俊くん!」
「退けよ、荒太は俺のだ。誰にも渡さない。」
「こんな事してもなんの解決にもならないよ。」
「煩い。もう逃がさない…絶対に逃してやらない…」
恵は俊の目に狂気が宿っていたのを見たのだった。
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