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第三話 悪戯心
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学校に着くといつも通り席に鞄を置き、友人の山田洋介の元へ行く。
後ろからいつもの挨拶がてら抱きつく。
宮野 「おっはよ~。」
山田 「おぉ!毎回飛びつくなって!」
(そういや、守のやつ昨日は結奈ちゃんに告るって言ってたけどどう
なったんだろう。流石に聞いちゃいけないよな…)
宮野 「…あー。そういやさ、昨日は玉砕しちまった、はははっ。」
山田 「そっかぁ、まぁ元気出せよ!」
(そうだよな~。彼氏いるって噂あったもんな~。カラオケでも誘って
やるかな)
宮野 「今日カラオケでも行かね~?発散したいしさっ!」
山田 「そうだな!行こうぜ!」
声と重なる様に聞けてくる心の声が少し煩わしかったが、それでも心配してく
れている友人の声は聞いていて清々しかった。
すると前のドアから佐々木兄弟が入って来ていた。
兄の佐々木大和はいつも事あるごとに突っかかって来て鬱陶しい事この上ない。
弟の佐々木結弦は兄と違って冷静で兄のフォローに回っている。
守とも気が合うので良く一緒にいる事もあった。
山田 「そうだ!結弦~今日帰りカラオケ行かね~?守の失恋記念で。」
宮野 「なっ!洋介お前っ!」
結弦 「いいよ。今度は誰に告って玉砕したんだよ」
宮野 「関係ねーだろ?」
弟の方は気軽に話せて多少の冗談も通じる。問題は兄の方だ。
弟と違い顔はいいのだが性格が悪い。
大和 「なんだ?そんなところで止まるなよ!邪魔だからっ!宮野もいつも
ヘラヘラして情けねーの。そんなんじゃ振られて当然だろ?」
宮野 「なんだと!いっつもなんなんだよ、ふざけんなよ?」
大和に掴みかかると鼻で笑う様に見下された気がした。
いつもならほかっておくのだが、今日はイラッとして掴みかかっていた。
大和 「離せよっ!童貞くん?」
(近い、めっちゃ近いじゃん。守って近くでみると可愛いな~)
宮野 「はぁ?…」
大和 「聞こえなかったのか?うざいんだよ、離せよ」
(近っ!触れたいなぁ~可愛すぎだろ、誰が振ったんだよ、見る
目ねーな!)
宮野 「なっ…なんで…?」
いつも喧嘩を売る様な声に混じって意外な声が混ざり合っていた。
まるで正反対の声が重なる様に聞こえて来て動揺した。手を離すと大和は
嫌味をいってそのまま自分の席に戻っていった。
山田 「気にすんなって!」
結弦 「そうだぞ?あいつはいつも守につっかかっていくよな~、なんな
んだろうな?」
宮野 「あ…あぁ。」
予想外の声に少し戸惑ったが、なんだか面白くなって来ていた。
あんなにいつも喧嘩を売ってくる大和が守の事を意識している?
そんなはずはない!と言いたいところだが、さっきの声を聞いてしまうと信
じずにはいられなかった。
移動教室があると後ろのロッカーに教科書を取りにいくタイミングをわざと
大和が取りに行く時に自分も行くと後ろからぶつかってみせる。
大和 「おい!ぶつかってんなよ!お前ボケてんのか?」
(おっ…今守に触れちゃった!すっげードキドキする)
宮野 「仕方ねーだろ?ロッカーが近いんだからさ~」
笑いを噛み締めながら文句を言いながらワザと顔を近づけてみる。
大和の動揺する顔も裏で聞こえる声も面白くて仕方がなかった。
大和 「だったら、俺の後にすればいいだろ?面倒なやつ」
(顔が近い!うわ~本当に可愛い。女子より可愛いんじゃねーか)
宮野 「ぷぷっ!なんだよ、顔赤いぞ?風邪か?」
大和 「お前の顔を見たせいで、気分を害したんだよ!さっさとどけよ!」
(顔そんなに赤いかな?わーどうしよう。近過ぎて緊張する。あっ
守の匂いっ!)
教科書を取り終えると席へと戻った。
山田 「大丈夫か?あいつ本当にうざいな!なんで毎回喧嘩売ってくんだよ
守も変なやつに目をつけられたよな~。結弦はいい奴なのにな~」
結弦 「ごめん。大和の事は何がしたいんだかわからないんだ。守にはいつも
あたりが強いもんな~」
宮野 「平気だよ。言いたい奴には言わせておけばいいし♪」
山田 「なんか、失恋して大人になったな?」
宮野 「まーね~。」
違う、これは心の声を聞いていると面白くて仕方がないだけだった。
直接触らないと分からない声だが、触れている限りは通常に声と同じように心
の声が漏れて聞こえて来ていた。
体育の時間になると、ペアになって準備運動をする事になった。
山田が結弦と組んでしまったので、残りを探そうとするといつもはばになってい
る大和だけが余っていた。
大和 「なんだよ、宮野だけあまりかよ?仕方ねーから組んでやるよ、ありがたく
思えよ!」
(わー。守じゃん!ラッキー。)
宮野 「まぁ、仕方ねーな」
大和 「押すぞ?宮野体かてーんじゃないか?めんどくせーななんでこんな奴と
組む羽目になるんだ?」
(細いな~。肌も白いし本当に男だよな~?腰つきも細過ぎだろ?このまま
手入れて××を××したらどーなるかな~)
宮野 「悪かったな~、ちゃんと押せよ。終わったら交代だからな!」
大和 「わかってるっつーの。いちいちうるせー奴だな」
(今度は守が触れてくれるのかぁ~、嬉しいな~♪でももったいないな~こ
のまま抱きしめ…)
宮野 「もう、いいから変わるぞ!」
一瞬何を聞こうとしたのだろう!
言いかける言葉を遮るように立場を入れ替わりストレッチを手伝った。
後ろからいつもの挨拶がてら抱きつく。
宮野 「おっはよ~。」
山田 「おぉ!毎回飛びつくなって!」
(そういや、守のやつ昨日は結奈ちゃんに告るって言ってたけどどう
なったんだろう。流石に聞いちゃいけないよな…)
宮野 「…あー。そういやさ、昨日は玉砕しちまった、はははっ。」
山田 「そっかぁ、まぁ元気出せよ!」
(そうだよな~。彼氏いるって噂あったもんな~。カラオケでも誘って
やるかな)
宮野 「今日カラオケでも行かね~?発散したいしさっ!」
山田 「そうだな!行こうぜ!」
声と重なる様に聞けてくる心の声が少し煩わしかったが、それでも心配してく
れている友人の声は聞いていて清々しかった。
すると前のドアから佐々木兄弟が入って来ていた。
兄の佐々木大和はいつも事あるごとに突っかかって来て鬱陶しい事この上ない。
弟の佐々木結弦は兄と違って冷静で兄のフォローに回っている。
守とも気が合うので良く一緒にいる事もあった。
山田 「そうだ!結弦~今日帰りカラオケ行かね~?守の失恋記念で。」
宮野 「なっ!洋介お前っ!」
結弦 「いいよ。今度は誰に告って玉砕したんだよ」
宮野 「関係ねーだろ?」
弟の方は気軽に話せて多少の冗談も通じる。問題は兄の方だ。
弟と違い顔はいいのだが性格が悪い。
大和 「なんだ?そんなところで止まるなよ!邪魔だからっ!宮野もいつも
ヘラヘラして情けねーの。そんなんじゃ振られて当然だろ?」
宮野 「なんだと!いっつもなんなんだよ、ふざけんなよ?」
大和に掴みかかると鼻で笑う様に見下された気がした。
いつもならほかっておくのだが、今日はイラッとして掴みかかっていた。
大和 「離せよっ!童貞くん?」
(近い、めっちゃ近いじゃん。守って近くでみると可愛いな~)
宮野 「はぁ?…」
大和 「聞こえなかったのか?うざいんだよ、離せよ」
(近っ!触れたいなぁ~可愛すぎだろ、誰が振ったんだよ、見る
目ねーな!)
宮野 「なっ…なんで…?」
いつも喧嘩を売る様な声に混じって意外な声が混ざり合っていた。
まるで正反対の声が重なる様に聞こえて来て動揺した。手を離すと大和は
嫌味をいってそのまま自分の席に戻っていった。
山田 「気にすんなって!」
結弦 「そうだぞ?あいつはいつも守につっかかっていくよな~、なんな
んだろうな?」
宮野 「あ…あぁ。」
予想外の声に少し戸惑ったが、なんだか面白くなって来ていた。
あんなにいつも喧嘩を売ってくる大和が守の事を意識している?
そんなはずはない!と言いたいところだが、さっきの声を聞いてしまうと信
じずにはいられなかった。
移動教室があると後ろのロッカーに教科書を取りにいくタイミングをわざと
大和が取りに行く時に自分も行くと後ろからぶつかってみせる。
大和 「おい!ぶつかってんなよ!お前ボケてんのか?」
(おっ…今守に触れちゃった!すっげードキドキする)
宮野 「仕方ねーだろ?ロッカーが近いんだからさ~」
笑いを噛み締めながら文句を言いながらワザと顔を近づけてみる。
大和の動揺する顔も裏で聞こえる声も面白くて仕方がなかった。
大和 「だったら、俺の後にすればいいだろ?面倒なやつ」
(顔が近い!うわ~本当に可愛い。女子より可愛いんじゃねーか)
宮野 「ぷぷっ!なんだよ、顔赤いぞ?風邪か?」
大和 「お前の顔を見たせいで、気分を害したんだよ!さっさとどけよ!」
(顔そんなに赤いかな?わーどうしよう。近過ぎて緊張する。あっ
守の匂いっ!)
教科書を取り終えると席へと戻った。
山田 「大丈夫か?あいつ本当にうざいな!なんで毎回喧嘩売ってくんだよ
守も変なやつに目をつけられたよな~。結弦はいい奴なのにな~」
結弦 「ごめん。大和の事は何がしたいんだかわからないんだ。守にはいつも
あたりが強いもんな~」
宮野 「平気だよ。言いたい奴には言わせておけばいいし♪」
山田 「なんか、失恋して大人になったな?」
宮野 「まーね~。」
違う、これは心の声を聞いていると面白くて仕方がないだけだった。
直接触らないと分からない声だが、触れている限りは通常に声と同じように心
の声が漏れて聞こえて来ていた。
体育の時間になると、ペアになって準備運動をする事になった。
山田が結弦と組んでしまったので、残りを探そうとするといつもはばになってい
る大和だけが余っていた。
大和 「なんだよ、宮野だけあまりかよ?仕方ねーから組んでやるよ、ありがたく
思えよ!」
(わー。守じゃん!ラッキー。)
宮野 「まぁ、仕方ねーな」
大和 「押すぞ?宮野体かてーんじゃないか?めんどくせーななんでこんな奴と
組む羽目になるんだ?」
(細いな~。肌も白いし本当に男だよな~?腰つきも細過ぎだろ?このまま
手入れて××を××したらどーなるかな~)
宮野 「悪かったな~、ちゃんと押せよ。終わったら交代だからな!」
大和 「わかってるっつーの。いちいちうるせー奴だな」
(今度は守が触れてくれるのかぁ~、嬉しいな~♪でももったいないな~こ
のまま抱きしめ…)
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言いかける言葉を遮るように立場を入れ替わりストレッチを手伝った。
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