恋は愛より重い?

秋元智也

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鈍感な彼

第一話

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今日も晴天。
快晴の青空の下、高校の入学式がある。

4月にしては少し風が吹いてはいたが、暖かい日差
しのおかげか平年よりも早い開花を見せたソメイヨ
シノが学校までの道を薄ピンクに彩っていた。

「そんなにゆっくり歩いてると遅れるぞ?」
「ちょっと、感動してただけじゃん!陸は余裕で
 いいよな~」
「別に?それに、早く行って寮の手続きもするん
 だろ?」
「あ!そうだった。急ぐぞ、陸。競走だ!」

そう言って走り出す。

俺は天海壱夜。
隣の男が幼馴染の瀬尾陸だ。
成績優秀で、何をやってもすぐにできてしまう。
運動神経も良く、みんなから引っ張りだこの癖
に部活には興味ないと言って入らなかった男だ。

小学校から一緒で、高校も同じところを受けて、
首席で合格した様なやつなのだ。

みんなから必要とされるが、何にも関心を持た
ないせいか今も彼女を作ったところを見たこと
はない。
きっと理想が高すぎるのだと思っている。

壱夜には、関係のない話だ。
ずっと友人で、今では家族以上に近しい間柄だ。

息を切らしながら校門をくぐると、受付けで自
分のクラスを確認してから寮の手続きを受けに
行く。

わかりやすい案内版にそって向かうと、先生ら
しき人が立っていた。

「あのー、寮の受付ってここですか?」
「えぇ、そうよ。新入生ね。おめでとう。こち
 らに名前と学年、クラス、を書いてね」
「はい」
「はい」

壱夜と陸はお互い用紙をもらうと書いて出して
行く。

一緒に登録するとルームメイトになる事が多い
と言っていた。

だから早めに出て、一緒に登録したのだ。

式が終われば、部屋の割り当ても出ているはず
で、やっと荷物を運び込める。

高校の3年間を過ごす部屋なのだ。
できれば気心の知れた幼馴染みと一緒が一番い
い。

退屈で眠気いっぱいの式は、校長の長々とした
挨拶と共に始まった。

途中新入生の挨拶で、壇上に上がる陸を見つめ
ると、少し誇らしかった。

壱夜が偉いわけではないけれど、友人が褒めら
れるのは、悪い気はしないからだ。

首席で合格したのだから、挨拶を任されるのも
納得がいく。

近くにいた女子たちのはしゃぐ声が耳にはいる。

「壇上に上がった人、かっこよくない?」
「いい!同じクラスだったら声かけよっか?」
「えぇー。私が先だからっー」

やっぱりここでもモテモテなのだろう。
そう漠然と考えながらクラスへと移動したのだ
った。
ホームルームが終わると荷物を持って横を見る。

クラスでは、やっぱりというか、いつもの事だ
が、陸の周りを女子達が取り囲んでいた。

「瀬尾くん!メール交換しよう!」
「私も!」
「えぇーー。私もよろしくーー」

こぞって番号やアドレスを知りたがっている。

「陸~、おれ先に行くけど?」

壱夜が話しかけると、陸も立ち上がる。

「いや、俺も行くわ」
「ん~………」

女子達を掻き分けて壱夜の方へと歩き出す。
今から寮の部屋へ行くのだ。

部屋は2階の隅っこだった。
そして、壱夜のルームメイトは陸だった。

「よかったぁ~陸、これからもよろしくな」
「あぁ、壱夜でよかった……」
「陸は人見知りだもんな~、俺がついてるからな!」

元気よく壱夜は胸を張った。

小さい頃、まだ出会ったばかりの頃の陸はいつも
隅っこに隠れて出てこない性格だった。

今の様に身長も高くないし、目がくりっとしてい
て可愛らしい容姿だった。

今では、壱夜をも抜き去り大きくなってしまった。
その頃から壱夜は陸の手を引き、連れ出す様にな
っていたのだった。

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