君と共に在りたい

秋元智也

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突然の別れ

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「「!?」」
「かはっ・・・」
「拓実ー」
「早く投げろ!」
拓実の言ってることがわからないというように寛貴は首を振った。
「そんなこと出来ない」
すると反対側の木の後ろから一人の人間がおどりでてきた。
「やったぞ。ざまぁ~見やがれ。死神、お前の大事な者はもう助からないぞ。どうした?助けに行くか?」
言い終わらないうちに拓実は持っていた手榴弾を投げつけた。
その間にも拓実の体を貫く木の根は肉を突き破り絡み付いていく。
「うぐっ・・・早くしろよ。無駄死にさせたら許さないからな!!」
正嗣はとっさに寛貴から火炎弾を奪い取り投げつけた。
寛貴ははっと我に変えるともう手遅れであるのを悟った。
ゆっくりとしかし、一直線に拓実の方へと向かう火炎弾。多分着弾すれば爆発と共に一気に燃え広がる。
拓実をも巻き込んで。まだ、生きてるのに。
拓実は寛貴をまっすぐに見つめていた。
「生きろ。絶対に死ぬなんて許さないからな!」
彼の言葉を最後まで聞く前に大きな爆発音が辺りに鳴り響いた。
耳をつんざくような音と火柱が上がった。
「た・・たく・・・み。たくみーーー」
寛貴は炎の中へと駆け出していた。
「おい、もうやめろ!」
正嗣に止められるがそれでも駆け出さずにはいられなかった。
絶対守るって言ったのに。側を離れないって誓ったのに、、、家をたてて一緒に暮らそうって、、、
「もう助からない。死んだんだ❗」
「誰が?死んでない?死んでなんかいないよ?」
「しっかりしろよ」
何物も寛貴の目には写っていなかった。
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