君と共に在りたい

秋元智也

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一人ぼっち

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街を変えてから暫くたったある日の朝、目覚めると首に鎖が付いてないことに気づいて慌てて着替えると外に飛び出した。
このまま逃げれる。よーし好きなところに行ける。
勢いよく飛び出したはいいが全く知らない街を歩いてても面白くない。
最初は探索しようと思いウキウキしながら探索していたのだが、どうにもつまらない。
人の姿で歩いているのだがどうにも人の視線が怖く感じてしまう。
なぜだろう?
「君も一人かい?」
いきなり声をかけられてビックリして距離を取った。
「一人なら僕に付き合ってよ」
「一人じゃねーし」
なんなんだよ。この男は、、、寛貴みたく男好きなのか?
そんな変態冗談じゃない。
咄嗟に走り出した。とにかく撒こう。
何だか視線が痛い。うすら寒い気配が周りを取り巻いている感じがして薄気味悪い。
男の子の姿に変化して散歩しているのだから安心だと思ったんだけどな。
人間ってわかんねーの。
結局行くところもないので元の部屋に戻ってきてしまった。
うーーー入りずらい。
あんなに外に出たかったのに、この街はどうにも嫌な気配しかしない。
玄関の扉の前に座り込むと膝を抱えた。
なんか気まずいしなぁ~戻って来るんじゃなかったかな?
すると玄関でものが倒れる音がして中が騒がしくなっていきなり扉が開いた。
「拓実!」
「なんだよ」
「どっかに行ったのかと、、、よかった。無事で」
ぎゅっと抱き締めると部屋に連れて行かれた。
「勝手に外には出ないで。何があるかわからない危険な街なんだから」
「そんなとこに連れてきたのかよ」
「だって、部屋から出さなきゃ安全かなって思ったから」
よしよしと頭を撫でられながらホントに心配されてたのかな?と思った。
「この街、歩いてるとピリピリして気持ち悪いんだよ」
「それで帰ってきたの?でも、良かったー帰って来てくれて。どこかに行きたいなら俺が案内してあげるよ。二人なら怖くないでしょ?」
「うん」
その日以来首輪を付けられることは無くなった。
そして、俺も一人では外に出歩くことも無くなったのだ。
でも、たまに血の臭いを漂わせて帰って来ることが増えてきた。
「なぁ?そろそろこの街を出ねー?」
「なんで?」
「なんかあぶねーじゃん。ここにこだわる理由でもあんのか?」
「ないよ。でもここって結構稼げるから~」
「怪我ばっかしてくんじゃん」
「心配してくれるようになるなんて嬉しいなぁ~」
「知らねー勝手に言ってろ」
それからは怪我をしてくると俺が手当するようになった。
手当されている間は終始ニコニコしているので一発どつく事にしている。
全く何が嬉しいんだか。
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