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16話 すれ違い
大学では、蓮城が毎日のように女生徒に囲まれて
困っていた。
本当に話したい相手はすぐそこにいるのに、講義
が終わったらすぐに帰ってしまう。
引き止める間もなく帰る上に、いつも入り口の側
の席に座るので、引き止める事もできない。
それだけではない、顧問をしている朗読サークル
でも、最近は忙しいからと出ていないのだった。
「最近ね、伊勢谷くん来ないのよね~」
「……そうか」
「もしかしてだけど……何かしました?」
「な……何かとは?」
三浦の突然の質問に、ドキリとする。
「だって~、伊勢谷くんってよく蓮城先生を見てる
じゃない?それなのに、最近は逃げるようにすぐ
に行っちゃうことが多いし?」
「……」
「もし、何か余計な事言ったのなら、早く仲直りし
ておいてくださいね?私が気まずいので」
何か言ったというか、何かしたというか……。
どう言ったらいいのだろう。
まさか、自分の講義を受けている学生がデリヘルで
来たから抱いたなど言えるはずもなかった。
いつのまにか、彼を目で追うようになっていた。
最初にサークルに入って来た時に気づいた。
あの入試の時の彼だと。
蓮城はある決意をすると、荷物をまとめると
いつもの帰り道ではない。
とある人物を訪ねに行くのだった。
♦︎
浅緋は蓮城の講義を終えると、すぐに席を立つ
と次の講義へと向かう為に部屋をでた。
今更だが、蓮城に会うのは凄く気まずい。
だが、講義を受けているので、避けるわけにも
いかず、結局は入り口に近い席に座って、終わ
ったらすぐに出ていく事で、少しでも接点を減
らすようにしたのだった。
「……まだハルくんの事呼んでるのかな……」
一人呟くと、晴れ渡った空を眺めた。
弟の春陽はデリヘルボーイとして働いている。
だから、その客である蓮城に行かないでとは
言えない。
そもそも、蓮城は春陽を目的にあの日ホテル
に来たのだから。
それを、春陽の我儘で、急遽浅緋が代わりに
行ったのだ。
こんな事間違ってるとわかっていながら、ず
るずると体の関係を持ったのだ。
2時には今日の分の講義が終わるとバイトへ
と向かう。
最近は、家に帰って来て籠りきりの春陽と被
らないようにと、深夜に帰るようにしている。
その間の時間潰しにバイト後は柿崎さんのバ
ーへと来ていた。
最近は柿崎さんも頻繁に来てくれるようにな
っていて、浅緋の事を気にかけてくれていた。
もちろん、ママの秀夫も良くしてくれていた。
「よし!今日も寄って行こっと!」
柿崎さん達と話している時は、すごく落ち着く
気がした。
こんな自分でも、普通に思えるのだ。
同じ性癖を持った者同士のせいか、自分の感情
が間違っていると否定されないせいだろう。
世の中では、異質なこの感情をここでだけは、
堂々と語れるのだ。
居心地が悪いわけはない。
ただ、ちょっとナンパしてくる軽い男もいる
ので、それだけがちょっと不快だった。
それも、柿崎さんがいればすぐに解決する。
顔が怖く見えるせいか、いい人なのだが一見
してヤクザっぽく見えて、周りの牽制にもな
るとママが言っていた。
「今晩わ~」
「あら、浅緋ちゃん来たわね。いらっしゃい」
「ママあのね……」
入り口のチャイムが鳴ると、誰がが入って来た
合図だった。
ママの視線が入り口に向きながらも浅緋を気ず
かうように隅に座るように飲み物を出す。
すると、さっきの入って来た客は、真っ直ぐに
浅緋の方へと迷いなく歩いて来たのだった。
「ここで何をしているんだ?」
浅緋が振り返ると、一瞬驚いたような顔でその
人物を見ると、鞄を持って帰ろうとした。
「浅緋ちゃん?」
「あ…ごめん。僕ちょっと用事があって……」
「裏手に行きなさい」
ママの声に浅緋は咄嗟に裏手へと出て行く。
勿論、さっきの客もそれを追うように出て行
ってしまった。
咄嗟にママは迷う事なく柿崎に連絡したのだ
った。
困っていた。
本当に話したい相手はすぐそこにいるのに、講義
が終わったらすぐに帰ってしまう。
引き止める間もなく帰る上に、いつも入り口の側
の席に座るので、引き止める事もできない。
それだけではない、顧問をしている朗読サークル
でも、最近は忙しいからと出ていないのだった。
「最近ね、伊勢谷くん来ないのよね~」
「……そうか」
「もしかしてだけど……何かしました?」
「な……何かとは?」
三浦の突然の質問に、ドキリとする。
「だって~、伊勢谷くんってよく蓮城先生を見てる
じゃない?それなのに、最近は逃げるようにすぐ
に行っちゃうことが多いし?」
「……」
「もし、何か余計な事言ったのなら、早く仲直りし
ておいてくださいね?私が気まずいので」
何か言ったというか、何かしたというか……。
どう言ったらいいのだろう。
まさか、自分の講義を受けている学生がデリヘルで
来たから抱いたなど言えるはずもなかった。
いつのまにか、彼を目で追うようになっていた。
最初にサークルに入って来た時に気づいた。
あの入試の時の彼だと。
蓮城はある決意をすると、荷物をまとめると
いつもの帰り道ではない。
とある人物を訪ねに行くのだった。
♦︎
浅緋は蓮城の講義を終えると、すぐに席を立つ
と次の講義へと向かう為に部屋をでた。
今更だが、蓮城に会うのは凄く気まずい。
だが、講義を受けているので、避けるわけにも
いかず、結局は入り口に近い席に座って、終わ
ったらすぐに出ていく事で、少しでも接点を減
らすようにしたのだった。
「……まだハルくんの事呼んでるのかな……」
一人呟くと、晴れ渡った空を眺めた。
弟の春陽はデリヘルボーイとして働いている。
だから、その客である蓮城に行かないでとは
言えない。
そもそも、蓮城は春陽を目的にあの日ホテル
に来たのだから。
それを、春陽の我儘で、急遽浅緋が代わりに
行ったのだ。
こんな事間違ってるとわかっていながら、ず
るずると体の関係を持ったのだ。
2時には今日の分の講義が終わるとバイトへ
と向かう。
最近は、家に帰って来て籠りきりの春陽と被
らないようにと、深夜に帰るようにしている。
その間の時間潰しにバイト後は柿崎さんのバ
ーへと来ていた。
最近は柿崎さんも頻繁に来てくれるようにな
っていて、浅緋の事を気にかけてくれていた。
もちろん、ママの秀夫も良くしてくれていた。
「よし!今日も寄って行こっと!」
柿崎さん達と話している時は、すごく落ち着く
気がした。
こんな自分でも、普通に思えるのだ。
同じ性癖を持った者同士のせいか、自分の感情
が間違っていると否定されないせいだろう。
世の中では、異質なこの感情をここでだけは、
堂々と語れるのだ。
居心地が悪いわけはない。
ただ、ちょっとナンパしてくる軽い男もいる
ので、それだけがちょっと不快だった。
それも、柿崎さんがいればすぐに解決する。
顔が怖く見えるせいか、いい人なのだが一見
してヤクザっぽく見えて、周りの牽制にもな
るとママが言っていた。
「今晩わ~」
「あら、浅緋ちゃん来たわね。いらっしゃい」
「ママあのね……」
入り口のチャイムが鳴ると、誰がが入って来た
合図だった。
ママの視線が入り口に向きながらも浅緋を気ず
かうように隅に座るように飲み物を出す。
すると、さっきの入って来た客は、真っ直ぐに
浅緋の方へと迷いなく歩いて来たのだった。
「ここで何をしているんだ?」
浅緋が振り返ると、一瞬驚いたような顔でその
人物を見ると、鞄を持って帰ろうとした。
「浅緋ちゃん?」
「あ…ごめん。僕ちょっと用事があって……」
「裏手に行きなさい」
ママの声に浅緋は咄嗟に裏手へと出て行く。
勿論、さっきの客もそれを追うように出て行
ってしまった。
咄嗟にママは迷う事なく柿崎に連絡したのだ
った。
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