好きになっていいですか?

秋元智也

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74 一緒に暮らそう!

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シーツも新しいのに変えると、利久斗を一旦寝かせ、優馬と樹は
交互にシャワーを浴びた。
もう、疲労困憊とでも言いそうなくらい、お互い疲れ果てていた。

 イツキ「さすがに、ここまでヤるとは思わなかったよ」
 ユウマ「だろ?最初に呑ませた時なんて、ずっと求められてさ
     こっちの足腰が立たなくなるかと思ったぜ。嫌じゃな   
     いんだが、ちょっと体力的にな」
 イツキ「いつもこんな感じか?」
 ユウマ「いや、休みの日だけだ。仕事してる時はここまでしな
     くても疲れて寝ちまうし。でも、そうでもしないと眠
     れねーんだよ。いつもうなされててさ。」

優馬は利久斗が一人では眠れていない事を知っている。
だからつい求めてしまう事も…。
それは過去のトラウマが原因で夜を恐れてしまうのだった。
浅い眠りは夢を見る。でも、利久斗にとってはいい夢ばかりでは
ない。過去を思い出すとどうしても監禁されていた時の事を思い
出すらしい。優馬はその時の話を利久斗本人から聞かされていた。
どんなに辛かったか、そして終わりのない刺激を受け続けた日々。
まだ成熟していない身体を一週間の間、昼夜を問わず責められ続
けた事など、鮮明に思い出してしまうらしい。
少しでも深く眠れる様にと、毎晩優馬が利久斗を抱いていたのだ。

 ユウマ「だがな~。俺だけじゃ、とても体力が持たねーんだ」
 イツキ「それで、俺も協力しろと?」
 ユウマ「そう言う事!よかっただろ?」
 イツキ「あぁ、願ってもない事だ。だがいいのだろうか?りくは
     俺の事…」
 ユウマ「大丈夫だって、最近は平気そうだろ?俺だって嫌がるなら
     さすがにやらせねーよ。それに、片思いの相手がここにい
     るんだぜ?まさか、女と思ってたのが利久斗とはな~。」
 イツキ「それは、言わないでくれ!りくを諦めるつもりが、まさか」

優馬はクックックと笑いを溢すと床に寝転がった。
樹も同じくソファに寝転がると、そのまま昼までぐっすりと眠った。



いまだに外で食事というわけにはいかず、家で作るか買ってきて家で食
べる事の方が多かった。
昼も過ぎて夕方に差し掛かる頃、やっと起き出した優馬と樹はベットに
いたはずの利久斗の姿を探した。
キッチンにもいないとなると、外には出てないかを確認しに玄関へと急ぐ。
すると奥で物音がして駆け寄ると、風呂場を洗ってる最中だった。

 ユウマ「利久斗~。どこ行ったかとおもったぜ」
 イツキ「外に一人ででたのかと心配したぞ」
 リクト「え?だって二人ともまだ寝てたじゃん。起きないし、今のう
     ちに出来る事しようかなって、これくらいならできるし」
 ユウマ「いいよ。俺がやるから。」
 リクト「いいって、ゆっくりやればできるし」

優馬が樹に合図をすると樹が利久斗の手を引き、泡だらけの手を洗わ
せると部屋へと連れて行く。代わりに優馬は掃除の続きをしだした。

 リクト「それくらい出来るって」
 イツキ「腰は大丈夫か?」
 リクト「え?痛いけどこのくらい平気だし…」

そう言いながら昨日の事を思い出したのか顔を真っ赤にして俯いた。
帰ってきた優馬から意外な一言が飛び出してきた。

 ユウマ「あのさ、考えたんだけど。3人で一緒に住まないか?」
 リクト「へ?ちょっと何言ってるの?樹だってそんなの嫌でしょ?」
 イツキ「いや、いいかもな。優馬がいいなら俺は願ったりだが?
     毎晩りくの寝顔が見えるなんて嬉しいしな!」
 リクト「なっ…何言ってるの?冗談でしょ?」
 イツキ「嫌か?」
 ユウマ「俺も、利久斗を一人にしておくのが怖くてな。何かあった
     らと思うと気が気じゃないんだ。わかってくれるか?」
 リクト「えーーー。なにそれ。樹だって樹の人生があるでしょ?
     女の子呼べないよ?そんなの嫌でしょ?」
 イツキ「いや、ここにいるだろう?それで充分だ。」

そう言って利久斗の額にキスを落とした。

 リクト「なんで…なんで勝手に決めるのさ。」
 ユウマ「嫌なら無理強いはしない」
 イツキ「あぁ、俺もりくが嫌がる事はしたくない」
 リクト「ずるいよ…そんなの」

しゃがみ込むとふてくされた様に床を見つめる。

 リクト「反対な訳ないじゃん。優馬の人生も取っちゃったのに…
     樹まで巻き込みたくないのに…。」
 イツキ「りく、俺は自分からお前を探してたんだ。ずっと言いた
     かった言葉があって、会ったら言おうって決めてたんだ。
     優馬がいたから言えなかったけど、今ならはっきり言え
     る。りく、愛してる。」

戸惑う様に優馬の袖を引っ張る利久斗に優馬は優しく抱きしめてく
れた。

 ユウマ「これからは3人で一緒だ。嫌じゃないよな?」

頷く利久斗に樹も優馬も笑顔を見せた。それから物件探しが始まっ
た。
収入は樹と優馬の分でくらしていくには不自由しない上に示談金も
貰っている。
それには手を付けず、そっと利久斗の口座に入れて置いてある。
知らないのは本人だけだった。3LDKのセキュリティが万全のマン
ションを探すと仮契約した。
値段はそこそこするが、3人で暮していくには便利のいい場所に
あった。
コンビニも近く、スーパーも近い。駅もすぐそこで、交通の便
もいい。
日当たりもよく、セキュリティもしっかりしていた。
段差も少なく、利久斗が引っ掛けて転ぶ心配も少ないと思い
納得した。

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