僕を惑わせるのは素直な君

秋元智也

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58話 わずかな変化

余計な事に時間を取ってしまった歩夢は家に帰る
とすぐに部屋へと入った。

すでに待っていた郁也がベッドに腰掛けている。

「遅くないか?片付けに時間がかかったのか?」

「うん、まぁ~そうだね…」

「ふ~ん。まぁいい、昨日の続きいくだろ?」

「うん……そう…」

今も目の前にいる兄に対して目のやり場に困って
いた。
さっきシャワーでも浴びたのか前をはだけさせて
いるせいか昼間に見た動画が頭をよぎる。

「どうした?熱でもあるのか…顔が赤いぞ?」

郁也に指摘され、少し落ち着こうと視界から郁也
を外したのだった。

「まぁいい、少しは俺を意識してくれるようにな
 って事だろ?」

「別に意識なんて………」

「まぁ、そう言う事にしておいてやるよ。俺の可
 愛い子ちゃん!」

いつもながらこの男は優柔不断っぽい
言葉で人をおちょくるのが好きなのだった。

「もう、冗談もいい加減に……」

「俺は冗談で済ますつもりはない。歩夢、お前は
 どうなんだ?」

「僕は……別に……」

男同士に偏見があるわけではないが、それでも少
しくらいは意識してしまう。

勉強を見て貰うと、終わりがけにいきなり引き寄
せられ、がっしりと抱き寄せられた。
体が密着する。

唇が重なると舌を絡めてきた。

ただの、キスだけなのに興奮してきてしまう。
重なった身体から、熱が伝わらないだろうか?

心臓の音を聴かれたりしないだろうか?

今の歩夢にはあまりにも刺激が強すぎたのだった。
慣れているこの男は、男の歩夢さえも惑わそうと
しているのだ。

嫌なのに……それなのに……もっとしたい。

キスをやめないで……。


絶対に言葉になんか出来ないのは分かっている。
それなのに……唇が離れそうになると、寂しく感
じてしまう。

これは、どういった感情なのだろう?

チュっと離れると今日はこれで終わり。
離れていく郁也の袖を掴んでしまい、一瞬目の前
が真っ白になったのだった。

「歩夢?どうした?」

「え……あれ?……」

「行かないでほしいって言ってくれたら行かない
 よ?」
『あの歩夢が!歩夢が俺の袖掴んで離さないって、
 これは夢なのか?いや、現実だろ?抱きしめた
 い!もっとキスしたい!いっそ身体中吸いたい!
 一体どんな声で鳴いてくれるんだろう………』

変態じみた声に、一瞬で我に返ったのだった。

「へっ………変態!さっさと出て行けぇ~!!」

思いっきり蹴り飛ばすかのように部屋から追い出
すと思いっきりドアを閉めたのだった。
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