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第9話
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エスタニア王国では二人目の勇者を迎えて活気だっていた。
「明日は遥様と国王陛下との謁見です。抜かりのないように、準備をしなさい。」
ライラは忙しく式典の支度を整えていた。
昼に見た通りなら、少し頼りない気もする。
しかし、勇者なのだ。きっと凄い成長を見せてくれる事だろう。
他の国に先んじて2人目を召喚できたことは大きい。
エスタニア王国は魔族領に面している分、どうあっても被害が大きいのだ。
毎回頭を悩ませていたが、これで解決するように思われていた。
そこへ慌ただしく見張りの兵士が駆けつけてきた。
「何事です?騒々しい。」
「はっ。今、門の兵士が何者かの襲撃を受けたとの報告が入っております。場内に侵入したものと思われるので警戒を強化しております。姫様も護衛を付けるようにとのこと!」
「そうですか。わかりました。そこの二人。わたくしに着いてきなさい」
そういって兵士を従えて公務に戻ったのだった。
「確か、霞様が遥様を尋ねていましたね。親睦を深めることは良いことです。しかし、このままという訳にはいきませんね。アレを実行するように言っておきなさい。明日の食事からでいい。遥様にも摂取していただきましょうか!」
不適に笑うと奥へと消えていった。
霞は遥の部屋を出たあと暫くそこから動かなかった。
ちゃんと出ていくかを見届けるためである。
「あそこまで言ったんだから、バカじゃなければ出ていく筈よね?」
物陰から隠れていると侍女が遥の部屋から出ていったっきり全く動きがなかった。
「まさか、居座る気?冗談じゃないわ。勇者は一人だけで十分よ!」
剣を握りしめると夜の闇に紛れてこっそりと忍び込むと膨れ上がっている布団に目掛けて突き刺した。
しかし、何の手応えもなかった。
「なにっ?」
部屋はもぬけの殻だった。
しかし、布団には切りつけたような後が残ってしまいこれでは奇襲を受けたとばれてしまう。
「どうする、私。」
そのときに部屋にノックが響き渡った。
「お休みのところ大変申し訳ありません。賊が侵入したものと思われますので・・・」
そういって入ってきた侍女を一瞬で切り伏せた。
さすがに霞の姿を見られるわけにはいかなかったのである。
辺りに血の後を撒き散らすと侍女の遺体を城の外を流れる川へと投げ捨てた。
「もう、帰ってくるところはないわ。」
霞は宝物庫に行き、数個持ち出すと部屋に隠した。
時がたてば売りさばいてしまえばいい。そう思いながら朝を待った。
城の中では朝から騒がしくなっていた。
城の宝物庫が荒らされて盗まれていたのだ。
そして勇者遥の姿が忽然と消えて、代わりに見回りに行った侍女が昨日から行方不明になっていた。
遥に宛がわれていた部屋には争った形跡があり、辺りに人一人分の大量の血痕が残っていたのである。
最初は遥が殺されたのでは?と思われていたが、まだ、発表前であった為にこれは勇者遥の仕業ではないか?
と、言うことになったのである。
血痕は行方不明の侍女の物ではないかと言うことになり急遽、式典は取り止めとなった。
街ではいたるところに張り紙をして御触書をばらまいた。
懸賞金もかけられたのだった。
しかし、その姿を見たものは誰一人いなかった。
冴島家ではバス事故で亡くなった遥の葬儀を行っていた。
学校の帰り道、家とは反対方面のバスに乗った兄。
何かの事件に巻き込まれたのではないかと、マスコミが昼夜を問わず押し掛けていた。
兄の遥は小学生の少女を庇っていたという。
少女も重傷だったが、奇跡的にも回復の兆しを見せて、今は意識もはっきりしているという。
ヒーロー的な見方が強いのか番組にも取り上げられた。
「何なのよ。死んでも私たちの家族を無茶苦茶にするのね?」
「そんな事言うもんじゃありません。」
「お母さんだって、そう思ってるんでしょう?」
「そんな事ないわ。遥も私の子供だと思ってるもの」
「偽善者!私はこんなの嫌。何で普通でいられないの?すべてアイツのせいよ。」
そ言うと家を飛び出した。
夜の町を歩いているとチャラチャラした男に声をかけられた。
「何、彼女一人?行くとこないなら来る?」
「俺たちとあそぼーぜ?なぁ?」
そう言うと腕を乱暴に捕まれた。
「いやっ。離して!」
思いっきり暴れると、鞄を男の顔面に当てて、怯んだ隙に走り出した。
「このアマァ、待ちやがれ!」
「逃げられると思うなよ!」
口々に罵られ、追いかけてきていた。
とにかく逃げなきゃ!という思いしかなかった。
前も見ることなく走り続けた。
光が真っ白に見えたときにはクラクションが鳴り響き、ドンッという衝撃と急ブレーキの音が重なった。
追いかけていた男達はこちらを見て後退りして逃げていった。
『どうしたんだろう?でも、良かった。向こうへ行ってくれた。・・・あれ、なんで起き上がれないんだろう?おかしいな?・・・なんか眠いや・・・こんなところで寝るなんてって・・・起こら・・れ・・・るか・・な?』
美咲の母は2年前に再婚をした。
ずっとシングルマザーでやって来たのだがとうとう母にも春が訪れたのだ。
2才年上の男性であった。
爽やかな男性であった。
母が喜ぶのならそれでいいと思っていた。
しかし、そういう訳にはいかなかった。
その男性には息子がいたのだ。冴島遥。パッと見は女でも通りそうな華奢な体つきに声もあまり太くなく、かっこいいお兄ちゃんという感じだった。
最初は仲良くしてくれていた。
買い物に一緒に行ったりと、それなりに充実していた。
しかしある日、唐突にそれは崩れ去ったのだ。
兄がゲーマーでオタクだと知っているのは家族だけだった。
その為、外では実にかっこいい男性に見えるわけである。
しかし、彼女も作らず、女性からの誘いはすべて断るという徹底ぶりに周りの女子の憂さ晴らしが美咲に来たのである。
1才しか年が変わらないせいもあり、上の先輩からのいびりや同学年の生徒からのしつこい虐めにあっていたのである。
そんな事知るよしもない兄は美咲を喜ばせるために食事を用意してくれたりと色々とやってくれていた。
その優しさが嫌味にしか思えなくて兄には辛く当たったりもした。
そのうち話しかけなくなった。
兄も美咲を見ても親の前以外は声をかけることも無くなった。
ほんとは、かっこいい兄で嬉しかったし、一緒に出掛けるのが楽しかった。
でも、そうしている度に学校での虐めは陰険さを増していった。
どうしても耐えられなかったのだ。
言い出すことも出来ない、弱い美咲が悪いのだ。
でも、そんな事は分かっていても、兄を憎む事で冷静を保っていたのだ。
今さら変えられない。
あの事故の日。兄は出掛ける前に何か言おうとしていた、でも何も言わせなかった。
もう、会うことも許されない。
なら、どうだっていい。こんな世界。消えて無くなってしまえばいい。
美咲自身も消えて無くなりたいと思っていた。
が、そうはならなかった。
女神と名乗る女性が現れて異世界で過ごさないかと言われた。
勿論、即OKした。
あの世界でなければどこだっていい。
もう、見ることもない初恋の人。
決して結ばれることはない存在。
自分に向ける優しい眼差しが辛くて、辛くて、自分から壊してしまった関係。
異世界の商人から聞いた『冴島遥』という存在。
今度こそ。この手で・・・、すべてを終わらそう。
そう、固く誓ったのである。
「明日は遥様と国王陛下との謁見です。抜かりのないように、準備をしなさい。」
ライラは忙しく式典の支度を整えていた。
昼に見た通りなら、少し頼りない気もする。
しかし、勇者なのだ。きっと凄い成長を見せてくれる事だろう。
他の国に先んじて2人目を召喚できたことは大きい。
エスタニア王国は魔族領に面している分、どうあっても被害が大きいのだ。
毎回頭を悩ませていたが、これで解決するように思われていた。
そこへ慌ただしく見張りの兵士が駆けつけてきた。
「何事です?騒々しい。」
「はっ。今、門の兵士が何者かの襲撃を受けたとの報告が入っております。場内に侵入したものと思われるので警戒を強化しております。姫様も護衛を付けるようにとのこと!」
「そうですか。わかりました。そこの二人。わたくしに着いてきなさい」
そういって兵士を従えて公務に戻ったのだった。
「確か、霞様が遥様を尋ねていましたね。親睦を深めることは良いことです。しかし、このままという訳にはいきませんね。アレを実行するように言っておきなさい。明日の食事からでいい。遥様にも摂取していただきましょうか!」
不適に笑うと奥へと消えていった。
霞は遥の部屋を出たあと暫くそこから動かなかった。
ちゃんと出ていくかを見届けるためである。
「あそこまで言ったんだから、バカじゃなければ出ていく筈よね?」
物陰から隠れていると侍女が遥の部屋から出ていったっきり全く動きがなかった。
「まさか、居座る気?冗談じゃないわ。勇者は一人だけで十分よ!」
剣を握りしめると夜の闇に紛れてこっそりと忍び込むと膨れ上がっている布団に目掛けて突き刺した。
しかし、何の手応えもなかった。
「なにっ?」
部屋はもぬけの殻だった。
しかし、布団には切りつけたような後が残ってしまいこれでは奇襲を受けたとばれてしまう。
「どうする、私。」
そのときに部屋にノックが響き渡った。
「お休みのところ大変申し訳ありません。賊が侵入したものと思われますので・・・」
そういって入ってきた侍女を一瞬で切り伏せた。
さすがに霞の姿を見られるわけにはいかなかったのである。
辺りに血の後を撒き散らすと侍女の遺体を城の外を流れる川へと投げ捨てた。
「もう、帰ってくるところはないわ。」
霞は宝物庫に行き、数個持ち出すと部屋に隠した。
時がたてば売りさばいてしまえばいい。そう思いながら朝を待った。
城の中では朝から騒がしくなっていた。
城の宝物庫が荒らされて盗まれていたのだ。
そして勇者遥の姿が忽然と消えて、代わりに見回りに行った侍女が昨日から行方不明になっていた。
遥に宛がわれていた部屋には争った形跡があり、辺りに人一人分の大量の血痕が残っていたのである。
最初は遥が殺されたのでは?と思われていたが、まだ、発表前であった為にこれは勇者遥の仕業ではないか?
と、言うことになったのである。
血痕は行方不明の侍女の物ではないかと言うことになり急遽、式典は取り止めとなった。
街ではいたるところに張り紙をして御触書をばらまいた。
懸賞金もかけられたのだった。
しかし、その姿を見たものは誰一人いなかった。
冴島家ではバス事故で亡くなった遥の葬儀を行っていた。
学校の帰り道、家とは反対方面のバスに乗った兄。
何かの事件に巻き込まれたのではないかと、マスコミが昼夜を問わず押し掛けていた。
兄の遥は小学生の少女を庇っていたという。
少女も重傷だったが、奇跡的にも回復の兆しを見せて、今は意識もはっきりしているという。
ヒーロー的な見方が強いのか番組にも取り上げられた。
「何なのよ。死んでも私たちの家族を無茶苦茶にするのね?」
「そんな事言うもんじゃありません。」
「お母さんだって、そう思ってるんでしょう?」
「そんな事ないわ。遥も私の子供だと思ってるもの」
「偽善者!私はこんなの嫌。何で普通でいられないの?すべてアイツのせいよ。」
そ言うと家を飛び出した。
夜の町を歩いているとチャラチャラした男に声をかけられた。
「何、彼女一人?行くとこないなら来る?」
「俺たちとあそぼーぜ?なぁ?」
そう言うと腕を乱暴に捕まれた。
「いやっ。離して!」
思いっきり暴れると、鞄を男の顔面に当てて、怯んだ隙に走り出した。
「このアマァ、待ちやがれ!」
「逃げられると思うなよ!」
口々に罵られ、追いかけてきていた。
とにかく逃げなきゃ!という思いしかなかった。
前も見ることなく走り続けた。
光が真っ白に見えたときにはクラクションが鳴り響き、ドンッという衝撃と急ブレーキの音が重なった。
追いかけていた男達はこちらを見て後退りして逃げていった。
『どうしたんだろう?でも、良かった。向こうへ行ってくれた。・・・あれ、なんで起き上がれないんだろう?おかしいな?・・・なんか眠いや・・・こんなところで寝るなんてって・・・起こら・・れ・・・るか・・な?』
美咲の母は2年前に再婚をした。
ずっとシングルマザーでやって来たのだがとうとう母にも春が訪れたのだ。
2才年上の男性であった。
爽やかな男性であった。
母が喜ぶのならそれでいいと思っていた。
しかし、そういう訳にはいかなかった。
その男性には息子がいたのだ。冴島遥。パッと見は女でも通りそうな華奢な体つきに声もあまり太くなく、かっこいいお兄ちゃんという感じだった。
最初は仲良くしてくれていた。
買い物に一緒に行ったりと、それなりに充実していた。
しかしある日、唐突にそれは崩れ去ったのだ。
兄がゲーマーでオタクだと知っているのは家族だけだった。
その為、外では実にかっこいい男性に見えるわけである。
しかし、彼女も作らず、女性からの誘いはすべて断るという徹底ぶりに周りの女子の憂さ晴らしが美咲に来たのである。
1才しか年が変わらないせいもあり、上の先輩からのいびりや同学年の生徒からのしつこい虐めにあっていたのである。
そんな事知るよしもない兄は美咲を喜ばせるために食事を用意してくれたりと色々とやってくれていた。
その優しさが嫌味にしか思えなくて兄には辛く当たったりもした。
そのうち話しかけなくなった。
兄も美咲を見ても親の前以外は声をかけることも無くなった。
ほんとは、かっこいい兄で嬉しかったし、一緒に出掛けるのが楽しかった。
でも、そうしている度に学校での虐めは陰険さを増していった。
どうしても耐えられなかったのだ。
言い出すことも出来ない、弱い美咲が悪いのだ。
でも、そんな事は分かっていても、兄を憎む事で冷静を保っていたのだ。
今さら変えられない。
あの事故の日。兄は出掛ける前に何か言おうとしていた、でも何も言わせなかった。
もう、会うことも許されない。
なら、どうだっていい。こんな世界。消えて無くなってしまえばいい。
美咲自身も消えて無くなりたいと思っていた。
が、そうはならなかった。
女神と名乗る女性が現れて異世界で過ごさないかと言われた。
勿論、即OKした。
あの世界でなければどこだっていい。
もう、見ることもない初恋の人。
決して結ばれることはない存在。
自分に向ける優しい眼差しが辛くて、辛くて、自分から壊してしまった関係。
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