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第19話
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遥とラセツは魔法の応用によって各部屋の中を覗き見ていた。
勿論声もしっかりと聞こえている。
監視カメラ的な物を作っていた遥の試作品だった。
しかし、使い勝手もよく、画像も鮮明だった。
「もうちょっと色んな角度で見られるといいんですが・・・。」
「いやいや、このような発想は全くなかったからのう。これは便利じゃ」
そこにバーン。と勢い良く入ってきた少女はルーン国の国王陛下であった。
「どうじゃ。明日が見物じゃろう?って、お主達は何をやっておるのだ?」
「驚かせないで下さいよ!」
遥の抗議の声は聞き入れてもらえずモニターの説明をした。
「この器械はマナを流すと受信機の置いてあるところの映像が写し出されます。因みに今設置してあるのはこの部屋とエスタニアの使者の部屋とバルリアの使者の部屋です。」
「お主らは・・・っと、おおー、声も聞こえるのか!面白いのう!どれ、貸してみろ?」
「ロザリア陛下、あまりお戯れにならないように!」
ラセツに言われてはしゅんとなったのだった。
どちらも色々と裏の事情が有りそうだった。
「これは終わったら貰っても良いのだろう?」
「はい。構いませんが、一体何に使うつもりですか?」
「いや、何ににっというか、大臣たちの本音も聞きたいと思っておったところでな!」
ドワーフだけあって子供の姿にしか見なえないせいかウインクされても可愛いお嬢ちゃんとしか思えなかった。
玉座に座っていた女性はどこへやら、口調も打ち解けていて年寄り臭くもあった。
国民が知ったら詐欺だーっと叫びたくなるだろうこと請け合いだった。
話していた内容をフローゼがメモしていたのでそれを受けとると眉をしかめた。
「なんじゃ、小娘が。私を暗殺しようなどと、よくも言ってくれるわ。明日は多少遊んでやるかのう」
「ほどほどにせんといかんぞ?若いもんはキレやすいからのう」
ラセツが言葉を遮ると明日の検分もは遥は立ち会わない事になった。
「お主には辛いじゃろうて。ここから見ていればいい。現場にはわたしが行こう」
「勇者に力の差を見せつけてやるのじゃ。勇者だけが最強ではないとな!自惚れるでないわ。全く、片腹痛いわ!」
「王の威厳がなくなっとるぞ?」
「そうであったわ。いかんいかん。」
言い直ると背筋をピンっと伸ばすと清まし顔をしたが、もう遅い気がする。
夜が更けていき城の中を徘徊する影がゆっくりと何かを探していた。
その後ろからずっと眺められていることにも気づかず、、、。
影は城の中をゆっくりと音をたてることなく進んでいく。
寝静まった部屋を一個ずつ開けては中を確認すると、また出ていく。
怪しすぎる行動に後ろからつけている者も不信感を募らせた。
誰か?と言われると誰とも言えなかった。
真っ黒な服に身を包み、動きも手慣れているように見えたからだ。
フローゼはこの事を知らせるべきかと迷ったが、今ここを離れると見失いそうなので、とりあえずは賊の同行を探ることにした。
勿論、遥とスズシロが作ったという警戒アラームはすでに押しておいた。
なのでスズシロと遥と陛下には危険警報が届いているのだ。
そして、賊が霊安室にたどり着き扉に触れた時、一気に周りが明るくなりバチバチっと大きな音と稲妻が走った。
賊は一瞬にして意識を刈り取られその場に転がった。
ガチャっと中から開くと遥とスズシロが顔を出した。
「一瞬じゃったな?」
「そりゃそうでしょうね。さわったら感電ですから。あっ、フローゼさん。連絡ありがとうございます」
後を付けていたフローゼには一瞬の出来事に多少の驚きはあったが、この二人なら何でも有りなんだと考えなおすことにした。
「死んではいないのでしょうね?」
「はい。ただ、しばらくは目が覚めないでしょうけど・・・」
「いえ、わかりました。これはこちらでやっておきます。」
そう言うと失神している賊を担ぐとメイド姿の陛下御抱えの側近は立ち去っていった。
「フローゼさんって力持ちですよね?それに年齢にそぐわない怪力というか・・・」
「年齢っていっても人を基準にしてはいかんぞ?」
「へっ?」
ラセツの言葉に引っ掛かりを覚えて振り返った。
「ふぉっふぉっふぉっ。そこは自分で観察してみるんじゃな?さてと、寝直すかのう?」
それだけ言うと二人は部屋へと向かった。
とある部屋では全く帰ってこない刺客に苛立ちを募らせていた。
「全く何をやってるのよ。役にたたないわね。まだ帰らないの?」
「はぁ、国一番の腕者ですので、ぬかりはないかと。もしばれても顔は魔法によって変えてこちらに来ているので素顔は晒しておりませんのでご安心を。」
「安心などしていられません。早く見つけて心の臓を手に入れれば後はどうとでもすればよい。」
「お休みになられては?」
「わたくしが休んでいられるとでも?だったら早く探してらっしゃい!」
小声で話すと部下に命じた。
「ほんとに忌々しい。」
用意されたベットに腰かけると部屋を出ていく部下を見送った。
部下は部屋を出ると部屋の前でしばし、眺めたあと、深い溜め息を付くと歩き出した。
勿論声もしっかりと聞こえている。
監視カメラ的な物を作っていた遥の試作品だった。
しかし、使い勝手もよく、画像も鮮明だった。
「もうちょっと色んな角度で見られるといいんですが・・・。」
「いやいや、このような発想は全くなかったからのう。これは便利じゃ」
そこにバーン。と勢い良く入ってきた少女はルーン国の国王陛下であった。
「どうじゃ。明日が見物じゃろう?って、お主達は何をやっておるのだ?」
「驚かせないで下さいよ!」
遥の抗議の声は聞き入れてもらえずモニターの説明をした。
「この器械はマナを流すと受信機の置いてあるところの映像が写し出されます。因みに今設置してあるのはこの部屋とエスタニアの使者の部屋とバルリアの使者の部屋です。」
「お主らは・・・っと、おおー、声も聞こえるのか!面白いのう!どれ、貸してみろ?」
「ロザリア陛下、あまりお戯れにならないように!」
ラセツに言われてはしゅんとなったのだった。
どちらも色々と裏の事情が有りそうだった。
「これは終わったら貰っても良いのだろう?」
「はい。構いませんが、一体何に使うつもりですか?」
「いや、何ににっというか、大臣たちの本音も聞きたいと思っておったところでな!」
ドワーフだけあって子供の姿にしか見なえないせいかウインクされても可愛いお嬢ちゃんとしか思えなかった。
玉座に座っていた女性はどこへやら、口調も打ち解けていて年寄り臭くもあった。
国民が知ったら詐欺だーっと叫びたくなるだろうこと請け合いだった。
話していた内容をフローゼがメモしていたのでそれを受けとると眉をしかめた。
「なんじゃ、小娘が。私を暗殺しようなどと、よくも言ってくれるわ。明日は多少遊んでやるかのう」
「ほどほどにせんといかんぞ?若いもんはキレやすいからのう」
ラセツが言葉を遮ると明日の検分もは遥は立ち会わない事になった。
「お主には辛いじゃろうて。ここから見ていればいい。現場にはわたしが行こう」
「勇者に力の差を見せつけてやるのじゃ。勇者だけが最強ではないとな!自惚れるでないわ。全く、片腹痛いわ!」
「王の威厳がなくなっとるぞ?」
「そうであったわ。いかんいかん。」
言い直ると背筋をピンっと伸ばすと清まし顔をしたが、もう遅い気がする。
夜が更けていき城の中を徘徊する影がゆっくりと何かを探していた。
その後ろからずっと眺められていることにも気づかず、、、。
影は城の中をゆっくりと音をたてることなく進んでいく。
寝静まった部屋を一個ずつ開けては中を確認すると、また出ていく。
怪しすぎる行動に後ろからつけている者も不信感を募らせた。
誰か?と言われると誰とも言えなかった。
真っ黒な服に身を包み、動きも手慣れているように見えたからだ。
フローゼはこの事を知らせるべきかと迷ったが、今ここを離れると見失いそうなので、とりあえずは賊の同行を探ることにした。
勿論、遥とスズシロが作ったという警戒アラームはすでに押しておいた。
なのでスズシロと遥と陛下には危険警報が届いているのだ。
そして、賊が霊安室にたどり着き扉に触れた時、一気に周りが明るくなりバチバチっと大きな音と稲妻が走った。
賊は一瞬にして意識を刈り取られその場に転がった。
ガチャっと中から開くと遥とスズシロが顔を出した。
「一瞬じゃったな?」
「そりゃそうでしょうね。さわったら感電ですから。あっ、フローゼさん。連絡ありがとうございます」
後を付けていたフローゼには一瞬の出来事に多少の驚きはあったが、この二人なら何でも有りなんだと考えなおすことにした。
「死んではいないのでしょうね?」
「はい。ただ、しばらくは目が覚めないでしょうけど・・・」
「いえ、わかりました。これはこちらでやっておきます。」
そう言うと失神している賊を担ぐとメイド姿の陛下御抱えの側近は立ち去っていった。
「フローゼさんって力持ちですよね?それに年齢にそぐわない怪力というか・・・」
「年齢っていっても人を基準にしてはいかんぞ?」
「へっ?」
ラセツの言葉に引っ掛かりを覚えて振り返った。
「ふぉっふぉっふぉっ。そこは自分で観察してみるんじゃな?さてと、寝直すかのう?」
それだけ言うと二人は部屋へと向かった。
とある部屋では全く帰ってこない刺客に苛立ちを募らせていた。
「全く何をやってるのよ。役にたたないわね。まだ帰らないの?」
「はぁ、国一番の腕者ですので、ぬかりはないかと。もしばれても顔は魔法によって変えてこちらに来ているので素顔は晒しておりませんのでご安心を。」
「安心などしていられません。早く見つけて心の臓を手に入れれば後はどうとでもすればよい。」
「お休みになられては?」
「わたくしが休んでいられるとでも?だったら早く探してらっしゃい!」
小声で話すと部下に命じた。
「ほんとに忌々しい。」
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