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第34話
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英樹は夢の中をさ迷っていた。
「ん?ここはどこだろうね!さして、夢の中って所かな?」
辺りを見回すが何も見えずただ、暗闇が続くだけだった。
「勘の鋭い子は嫌いじゃないぞ?」
頭の中に響き渡る声が色っぽくそれが自分をこの世界に送り込んだ女神であることを認識した。
「久しぶりじゃん?また会えるとは思わなかったよ!」
「わらわはいつも見ているからのう。魔王が完全に復活したのは知っておろう?」
「あぁ、今度大規模な殲滅戦が有るんだ。見てな!きっと、皆殺しにしてやるぜ。貴方には感謝しているんです。こんな素晴らしい世界に最強の力と共に送ってくれて。」
女神は少し眉を寄せると息を吐いた。
「そうか?そんなに居心地がいいか?」
「あぁ、最高ですよ。何をやっても俺に逆らう者などいない。こんな素晴らしい世界はなかなかな理想的じゃないか!他にも勇者がいるそうだが、殺してもいいんだろう?」
「そうじゃな。構わん。だが魔王を討伐してからにしてもらおうか?今いる人数で必ず討ち果たして貰わねばならないのだからのう。」
「分かってますよ。」
「わらわからのプレゼントじゃ!これを受けとるがいい。」
「なんだ?ただの鎧の具足ならありますよ?」
女神は微笑むと首を振った。
「ただの具足じゃない。念じれば空をも飛べるのじゃ。滞空時間は10分。しかし、15分のチャージ時間を置けばまた使うことが出来るが、それでも、要らぬか?」
英樹は口許に笑みを浮かべると受け取った。
「サービスがいいじゃないか?ついでに女神様、夜のお相手はいかがですか?」
「要らぬせわじゃ。わらわにはその様な事は必要ない。それでは、油断はなされぬよう期待しておるぞ?」
「仰せのままに。」
女神は目の前から姿を消すと一気に周りの景色が暗転した。
気がつくとベットで眠っていた事に気づいた。
横にはぐったりとしたジュディスの姿を確認すると頬が腫れるほど叩いて起こした。
「誰が眠っていいと言いましたか?起きなさい!」
パンッ。パンッ。パンッ。
「・・・ぅっ・・・」
うっすらと目を開くと、すぐに英樹を睨み付けてきた。
「いいねー。そういう目をしてられるのも今のうちだ。さぁ、始めようか?」
「ひぃっ・・・」
ひきつった悲鳴に叫び声がこだまする。
そして英樹の歓喜の笑い声は夜中まで続いていった。
朝に 侍女が来たときには身動きしないジュディスが横たわっていた。
すぐに魔術師が呼ばれ傷などの怪我を治療させ体を洗われると鎖に繋がれる。
その間、何も口を聞くことなくただ、黙ってうつむいているだけだった。
侍女からしたら痛々しくて仕方がないが決して助けることは出来なかった。
助けようものなら、家族もろとも反逆罪でジュディスのような目にあうからだった。
城に遣えている者なら誰でも知ることとなっていた。
「可哀想に、ごめんね、助けてあげられないの」
そう言ってくる侍女もいるがジュディスはただ黙ってそれを聞いていた。
自分はいつ殺されるのだろうと。
いっそのこといたぶるのではなく、一思いに殺してくれればいいのに・・・。
そう、思うようになっていた。
毎日が地獄でしかなかったからだ。
ここから抜けだせる日はきっと、自分が天に召される時なのだろうと腹をくくった。
なら、いっそずっと逆らい続けてやる。
思い通りになどなってたまるか!
鎖に繋がれたまま、身動きも取れぬ身を嘆くのではなく奴の喉笛に噛みついてやるという気概で精神を保っていた。
いつか自由になれたとしても、それは死んだ後なのだと。
美咲は夢の中をさ迷っていると、自分を召喚した神が目の前に現れた。
「あら、神様じゃない?」
「覚えててくれたのかい?」
「勿論、だってかっこ良かったから忘れる訳ないわ。」
「それは光栄だね。」
優男という感じの男性が美咲の前に立っている。
金の髪はに青い瞳。
長い髪は横で束ねられていて肩から流している。
ゆったりとした物腰が神故の余裕の現れなのかも知れなかった。
「今日は何のようなの?」
「君に忠告をしに来たんだよ。魔王の復活は聞いたかい?」
「あぁ~そんなことを聞いたかしらね、それがどうしたの?」
「魔族に手を貸しているものがいるのだよ。その者の始末も頼みたい。」
「ふ~ん。一緒に潰せばいいんでしょ?分かってるわ。退屈してたところだし。」
「そうか、ならこれを受け取ってくれ!」
渡されたのは小さめの小盾だった。
「盾なんて要らないわ。」
「ただの盾ではない。全ての魔法や攻撃を防ぐ盾だ。発動にはここを回せばよい」
「どんな攻撃からも?ってこと?」
「そうだ、これから必要になるだろう?しかし、一度使うと30分のクールタイムを必要とする。」
「ギリギリの奥の手って訳ね?まぁ、ありがたく貰っておくわ」
神はにっこりと微笑むと姿を消した。
「顔はイケメンなんだけどなぁ~。・・・なんで死んじゃったのよ、今度こそ誰にも邪魔をされない世界だったのに・・・」
一人呟くとその場に座り込んだ。
視界はいきなり暗転したかと思うとベットの上で目を覚ましていた。
横には小盾が置いてあった。
「夢じゃ、なかったんだ・・・」
静かに目を閉じると眠りについた。
その頃バルリア王国ではエスタニア王国からの親書が城に届いていた。
それは全面戦争の開始を知らせる便りだった。
「ん?ここはどこだろうね!さして、夢の中って所かな?」
辺りを見回すが何も見えずただ、暗闇が続くだけだった。
「勘の鋭い子は嫌いじゃないぞ?」
頭の中に響き渡る声が色っぽくそれが自分をこの世界に送り込んだ女神であることを認識した。
「久しぶりじゃん?また会えるとは思わなかったよ!」
「わらわはいつも見ているからのう。魔王が完全に復活したのは知っておろう?」
「あぁ、今度大規模な殲滅戦が有るんだ。見てな!きっと、皆殺しにしてやるぜ。貴方には感謝しているんです。こんな素晴らしい世界に最強の力と共に送ってくれて。」
女神は少し眉を寄せると息を吐いた。
「そうか?そんなに居心地がいいか?」
「あぁ、最高ですよ。何をやっても俺に逆らう者などいない。こんな素晴らしい世界はなかなかな理想的じゃないか!他にも勇者がいるそうだが、殺してもいいんだろう?」
「そうじゃな。構わん。だが魔王を討伐してからにしてもらおうか?今いる人数で必ず討ち果たして貰わねばならないのだからのう。」
「分かってますよ。」
「わらわからのプレゼントじゃ!これを受けとるがいい。」
「なんだ?ただの鎧の具足ならありますよ?」
女神は微笑むと首を振った。
「ただの具足じゃない。念じれば空をも飛べるのじゃ。滞空時間は10分。しかし、15分のチャージ時間を置けばまた使うことが出来るが、それでも、要らぬか?」
英樹は口許に笑みを浮かべると受け取った。
「サービスがいいじゃないか?ついでに女神様、夜のお相手はいかがですか?」
「要らぬせわじゃ。わらわにはその様な事は必要ない。それでは、油断はなされぬよう期待しておるぞ?」
「仰せのままに。」
女神は目の前から姿を消すと一気に周りの景色が暗転した。
気がつくとベットで眠っていた事に気づいた。
横にはぐったりとしたジュディスの姿を確認すると頬が腫れるほど叩いて起こした。
「誰が眠っていいと言いましたか?起きなさい!」
パンッ。パンッ。パンッ。
「・・・ぅっ・・・」
うっすらと目を開くと、すぐに英樹を睨み付けてきた。
「いいねー。そういう目をしてられるのも今のうちだ。さぁ、始めようか?」
「ひぃっ・・・」
ひきつった悲鳴に叫び声がこだまする。
そして英樹の歓喜の笑い声は夜中まで続いていった。
朝に 侍女が来たときには身動きしないジュディスが横たわっていた。
すぐに魔術師が呼ばれ傷などの怪我を治療させ体を洗われると鎖に繋がれる。
その間、何も口を聞くことなくただ、黙ってうつむいているだけだった。
侍女からしたら痛々しくて仕方がないが決して助けることは出来なかった。
助けようものなら、家族もろとも反逆罪でジュディスのような目にあうからだった。
城に遣えている者なら誰でも知ることとなっていた。
「可哀想に、ごめんね、助けてあげられないの」
そう言ってくる侍女もいるがジュディスはただ黙ってそれを聞いていた。
自分はいつ殺されるのだろうと。
いっそのこといたぶるのではなく、一思いに殺してくれればいいのに・・・。
そう、思うようになっていた。
毎日が地獄でしかなかったからだ。
ここから抜けだせる日はきっと、自分が天に召される時なのだろうと腹をくくった。
なら、いっそずっと逆らい続けてやる。
思い通りになどなってたまるか!
鎖に繋がれたまま、身動きも取れぬ身を嘆くのではなく奴の喉笛に噛みついてやるという気概で精神を保っていた。
いつか自由になれたとしても、それは死んだ後なのだと。
美咲は夢の中をさ迷っていると、自分を召喚した神が目の前に現れた。
「あら、神様じゃない?」
「覚えててくれたのかい?」
「勿論、だってかっこ良かったから忘れる訳ないわ。」
「それは光栄だね。」
優男という感じの男性が美咲の前に立っている。
金の髪はに青い瞳。
長い髪は横で束ねられていて肩から流している。
ゆったりとした物腰が神故の余裕の現れなのかも知れなかった。
「今日は何のようなの?」
「君に忠告をしに来たんだよ。魔王の復活は聞いたかい?」
「あぁ~そんなことを聞いたかしらね、それがどうしたの?」
「魔族に手を貸しているものがいるのだよ。その者の始末も頼みたい。」
「ふ~ん。一緒に潰せばいいんでしょ?分かってるわ。退屈してたところだし。」
「そうか、ならこれを受け取ってくれ!」
渡されたのは小さめの小盾だった。
「盾なんて要らないわ。」
「ただの盾ではない。全ての魔法や攻撃を防ぐ盾だ。発動にはここを回せばよい」
「どんな攻撃からも?ってこと?」
「そうだ、これから必要になるだろう?しかし、一度使うと30分のクールタイムを必要とする。」
「ギリギリの奥の手って訳ね?まぁ、ありがたく貰っておくわ」
神はにっこりと微笑むと姿を消した。
「顔はイケメンなんだけどなぁ~。・・・なんで死んじゃったのよ、今度こそ誰にも邪魔をされない世界だったのに・・・」
一人呟くとその場に座り込んだ。
視界はいきなり暗転したかと思うとベットの上で目を覚ましていた。
横には小盾が置いてあった。
「夢じゃ、なかったんだ・・・」
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その頃バルリア王国ではエスタニア王国からの親書が城に届いていた。
それは全面戦争の開始を知らせる便りだった。
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