最弱英雄の魔王討伐!?

秋元智也

文字の大きさ
39 / 45

第39話

しおりを挟む
続きをバロンは話し始めた。
「兵士は断ったそうですが命令とあってはどうしようもなく出国を画策します。しかし、その時聞いていた同僚に息子の拉致を指示したそうです。しかし、それも拒否されたので反逆者としてまだ若い同僚と兵士の奥さんを捕まえて公開処刑にしたのです。正式には不埒な行為にふけっていたと言うことにして・・・不倫などするような人ではなかったのですがそんな事聞く人ではありませんでした。その日のうちに首を跳ねられました。それも息子の目の前で。それからは夜になると男の子の悲鳴や泣き叫ぶ声が木霊するようになっていました。しかし、数日前に若い女を連れ込んでいるのを兵士が目撃しています。現場にも引き裂かれた女性の服が見つかっています。」
「それって、強姦されたってこと?」
「そのようです。しかし、死体がないのです。あるのは勇者の遺体と少年の遺体だけだったのです。その女性は忽然と消えているのです。怪しすぎると思って足取りを追おうとしたのですが、どうもこの街の住人ではないようなのです。」 
身を乗り出すと聞き返した。
「それって、他も国の暗殺者って事?」
「そう考えるのが正しいかと。もしくは魔族の差しががねか・・・」
美咲はベットに座り込むと自分の聞いた話をまとめてはなした。
大体はちまたに流れている噂だが合っていたと言うことらしい。
「それにしても、勇者がくると街中の女性が身を隠すって言葉も流行ってるらしいわ」
「格言ですね」
「馬鹿馬鹿しいわ。」
「用事も終わったことですし、明日には帰りましょう!」
「そうね、今日はしっかり寝て明日には戻るわ。ご苦労様。」
「はい。では明日の朝には起こしに参ります」
それだけ言うと姿が一瞬で消えてしまった。
「全く・・・心臓に悪いわ。さてと、このままただで帰るのも面白くないわね!」
そう言うと背伸びをすると立ち上がって出ていった。
クルス皇国の城門の前に立つと門から堂々と入ろうとした。
「そこの女、何をしている?ここをどこだと思っているんだ!」
二人の兵士が剣を抜き去り美咲に向けてきた。
「分かってるわよ!王様に会いに来てあげたのよ?案内してくれる?」
「この女、何を言い出すんだ?」
「お前になど気軽に会えるお方でわない。」
「とっとと失せろ」 
口々に言い出したが美咲は気に止めず中へと歩きだした。
「それ以上入るようなら容赦はせんぞ!」
「死にたいのか?」
美咲は少し振り返るがそのまま歩こうとした。
すると後ろから剣の振り下ろされる音がした。
難なく避けると懐の短剣を抜くと兵士の剣をはじき飛ばすと鳩尾を蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた兵士はそのまま柱に激突すると動かなくなった。
「貴様は何者だ!」
大声でもう一人が叫ぶので夜に迷惑なことであった。
「黙らないと殺すわよ?早く案内してくれないかしら?」
兵士は足がガタガタと震えながらも剣を離すことなく向かってきた。
「だーかーらー。案内する気がないなら用はないわ」
突撃してきた兵士をかわすと腕に手刀をかまし剣が落ちる寸前に奪うとそのまま兵士の体を切り裂いた。
すんなりと切れて驚いたいた。
なんの抵抗もなくトマトでもサクッと切るような感覚だったからだ。
「殺したって感覚はないわね」
そいうとその場に剣を転がし堂々と城の中へと入っていった。
あまりに堂々と歩いていたためそれほど中では警戒される事はなかった。
すれ違う侍女を見つけると声をかけることにした。
「ねぇ、こっちって王様の寝所でいいのかしら?」
「あの、ジャック陛下に用があるのでしたら明日になさってください。寝所には誰も入れるなと言われております。」
侍女がそれだけ言うと立ち去ろうとした。
しかし、少し気になったのか 美咲を振りかえると首を傾げた。
「あなた、どこの係りかいいなさい。今の時間の徘徊は許されていませんよ?」
「あぁ、私?陛下の夜のお相手に呼ばれたのよ?」
茶目っ気たっぷりに答えると顔をしかめた。
「嘘をいうでない。兵を呼びますよ?所属を答えなさい!」
冗談も通じないとは思わなかった。肩をすくめると大袈裟に溜め息をはいた。
「あなたじゃ話にならないわ。きっと私に会いたがるわよ?それでも教えない気?」
「貴方のような者を寵愛などいたしません」
また、はっきりというものだった。
「失礼しちゃうわね。」
そう言うと一気に距離を詰めると背後に回り込むと片手で口を押さえこみ、短剣を首筋に当てると一気に引き裂いた。
これなら血を浴びることなく静かに仕留められた。
「全く・・・素直に話せばいいのに。」
そのまま、侍女が来た方へと歩きだした。
大体の城の構造は似ているもので、バルリア王国でもルーン王国でも謁見の間や兵士の宿舎まで同じような位置に配置されていた。
なら、寝所も大体同じようなところにあると読んだのだ。
暫くすると床に真っ赤な絨毯が敷かれている通路に入った。
「これはビンゴね?」
通路の装飾品も豪華な物へとなっていった。
その通路の最奥に大きな扉があった。
いきなり開けるのは不躾であるため中の様子をドア越しに聞き耳をたてた。
すると中からは卑猥なあえぎ声が漏れて聞こえてきた。
今はお楽しみの最中であったらしい。
たしか、クルス皇国は今のジャック・グノシスには妻も子もいない。
その為、弟の息子に次期王座を譲ると噂されていたはずであった。
まだ、39歳という若さで国をもり立て、常に先陣を切って戦っていたと聞いていた。
しかし、中から聞こえるのはどちらも若い男の声であった。
「これは禁断の関係ってやつかしら?いや、さっきの侍女も知っていたわね?」
中に入るのを躊躇っていると外を通りかかった兵士に見つかってしまった。
「そこで何をしている!怪しいやつだ。」
「おい、人を呼んでこい。陛下を守るんだ!」
そう言うと一人が駆け出した。
「厄介だなぁ~。」
美咲は短剣を走り出した兵士の首に目掛けて投げた。
運よく命中しその場に崩れ落ちると絶命していた。
「貴様、よくも~」
「うるさいって。中ではお楽しみ中でしょう?」
問答無用に剣を抜くと向かってきた。
あきれながら避けると足を引っ掻け、つんのめって行くところを追い討ちのように拳を打ち込んだ。
ドォーン。と大きな音をたててしまい少し焦った。
ガチッと音がしてドアが開いたと思うと中から声が響き渡った。
「何事だ!」
そう言って出てきたのは絹のローブを羽織った若い男性だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...