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29 なんで言わねーんだよ!
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乾は社長室に呼び出されていた。
いつもながらの長いお説教に始まり愚痴の数々。
聞き飽きたが、仕方ない、今回は榊の力を借りたのだからと甘んじて
聞いていた。
乾真悟「聞いているか?お前には時期社長の心構えが足りん。そこで
だ明日お見合いをしてきなさい。いいとこのお嬢さんで別嬪だ。」
乾 「へいへい…ん?お見合い?まだ早いだろ?」
乾真悟「早いなんて事はない。会社を継ぐ事を考えると子供は早い方がいい
からな」
乾 「榊からも言ってくれよ~。」
榊 「社長も今の奥様と付き合い始めたのは25の時でした。早くはないかと」
乾 「親父が囲ってる愛人はいつから付き合ってんだよ!」
乾真悟「そんな事はどうでもいい。今はちゃんとした妻を見つけるのが先決だ」
乾 「僕にも愛人はいいって事だよね?」
挑発的な息子に視線に乾真悟は鼻で笑った。
乾真悟「はっ!愛人を持つのはまだ早いわ。ただどうしてもと言うのなら愛人を
飼うのを許そう。ただし、誰にも気取られる事は許さん。部屋に閉じ込
めるのが条件だ。それと、女である事が最低条件だ」
乾 「なにそれ?どう言うつもりで言ってる?」
乾真悟「榊説明してやれ」
面倒になったのか話を終えると出てけと手で合図した。
榊と共に他の部屋に入ると説明される事になった。
榊 「では、社長の伝言です。男に入れ込むな!です」
乾 「それって涼介の事言ってる?」
榊 「はい。お分かりが早くて助かります。こちらを」
榊が持っていたテープが再生されると乾の家のベッドで何をやっていたかがはっ
きりと分かる音声が流れてきた。
乾 「盗聴器かよ!ふざけんなっ!」
榊 「お遊びのうちはいいが、これ以上は許されない。自分でもわかって
いるだろう?」
乾 「わかんねーよ。」
榊 「まだ若い、それにどっちにもこのまま付き合っててもメリットは
ないのだから、傷が浅いうちに別れるべきだと言っているんです。」
乾 「なら、聞かせてくれよ、親父の愛人ってどんな人なんだよ」
榊 「…どこからそれを?」
乾 「母さんは疑ってなかったけど、なんとなく外にいるんじゃねーかなって」
榊はため息をつくと、少しだけ語ってくれた。
榊 「社長の愛人は子供を作れなかったんです。なので今の奥様。隼人さんの
お母様とご結婚なされました。ですが、愛人の方も今は家庭があり、3
年ほど前に他界しました。暫く社長がいなくなった時期があったでしょ?」
乾 「あー。そういえば…。でもさ、榊さんって僕より少し上ってだけなのに
よく秘書になれたよね?前はもっと年配の秘書だったはずだけど?」
榊 「父です。父の代わりに私が継いだんです。社長を頼むと言われていたので」
乾 「へ~。あんまり覚えてねーな~」
榊 「あまり外へは出ない人でしたから。影も薄いし、でも仕事はできる人でし
たよ」
少し話合うと、そのまま帰宅するとこにした。
乾 「やべっ、めっちゃ真っ暗じゃん。今日の晩飯何だろうな~…その前に寝室
の盗聴器探さねーとだな!」
慌てて帰ってみると部屋は真っ暗で誰もいなかった。
今日は部屋で待ってると言っていたのに…。
部屋に入ると、テーブルの上に置き手紙が置かれていた。
乾 隼人 様
勝手ながら、もうここには来ない事にします。
助け出してくれてありがとう。
あのままだったらと思うとすごく怖かったのも事実です。
ですが、これ以上迷惑はかけられません。
それに、俺らは男同士です。
恋愛などできるはずもない事くらい知っています。
それでも一緒にいられて楽しかったです。
鍵はポストに入れておきました。
お元気で…。 涼介より。
ポストには涼介に渡した合鍵が入れられていた。
乾 「なんでだよ!何で勝手にいなくなるんだよ!」
怒りに任せて机を殴ると急いで家を飛び出した。
涼介の部屋へと向かった。
入った事はないが、こっそり写メしたので住所は知っている。
そのままの勢いで駆け込むと鍵は空いていて、中はなにもなかった。
月の光が差し込む中、部屋には家具ひとつ置かれておらず、無人になってい
たのだった。
乾 「嘘…だろ?そうだ…携帯!」
発信音が鳴ったあと、録音された声が流れる。
解約されているらしかった。
乾 「何でだよ…何で側にいてくれねーんだよ。」
会社へとこっそり入り込むと荒川のデスクの前に行くと、綺麗に片付いて
いて、なにも残ってはいなかった。
朝までは普通に来ていた。
一緒の職場で普通に話していた。
残業時間に社長室に呼ばれて…それからが霞のように消えてしまった。
それから榊に電話をかけると要件を伝えた。
乾 「榊!探して欲しい人がいる。荒川涼介をすぐに探してくれ」
榊 「それは出来ません。社長に許可がなければ無理です」
乾 「すぐに探し出して連れて来てくれ!命令だって言っても?」
榊 「無理です。それに社長命令で今日付けで解雇した人を探すのは許可
できかねます。」
乾 「今日付けで…解雇…?」
榊 「そうです。家も引越されていたでしょう?もう、東京にはいませんよ」
乾 「何で、勝手な事したんだ!何で…」
榊 「隼人さんの目を覚まさせる為です。もしこれ以上探すようなら先に見つけ
二度と会うことのないように監禁する事になりますが、それでもいいので
すか?社長は本気ですよ。愛人として囲う事も認めません。 だったら、
見つけ次第そう言う店で働いて貰う事だってできるんですよ。毎晩違う男
に抱かれて、死ぬまで外には出さない。そんな生活をさせたいんですか?」
乾 「…」
榊 「彼の事を思うのなら、婚約を成立させ、幸せになる事です。」
乾 「くそっ…」
悔しくて唇を噛み締めた。
本田に拉致された時も、胸が引き裂かれるくらい痛かった。
だが、それ以上に今は二度と会えないと思うと息が詰まり目の前が真っ暗になった
気分だった。
いつもながらの長いお説教に始まり愚痴の数々。
聞き飽きたが、仕方ない、今回は榊の力を借りたのだからと甘んじて
聞いていた。
乾真悟「聞いているか?お前には時期社長の心構えが足りん。そこで
だ明日お見合いをしてきなさい。いいとこのお嬢さんで別嬪だ。」
乾 「へいへい…ん?お見合い?まだ早いだろ?」
乾真悟「早いなんて事はない。会社を継ぐ事を考えると子供は早い方がいい
からな」
乾 「榊からも言ってくれよ~。」
榊 「社長も今の奥様と付き合い始めたのは25の時でした。早くはないかと」
乾 「親父が囲ってる愛人はいつから付き合ってんだよ!」
乾真悟「そんな事はどうでもいい。今はちゃんとした妻を見つけるのが先決だ」
乾 「僕にも愛人はいいって事だよね?」
挑発的な息子に視線に乾真悟は鼻で笑った。
乾真悟「はっ!愛人を持つのはまだ早いわ。ただどうしてもと言うのなら愛人を
飼うのを許そう。ただし、誰にも気取られる事は許さん。部屋に閉じ込
めるのが条件だ。それと、女である事が最低条件だ」
乾 「なにそれ?どう言うつもりで言ってる?」
乾真悟「榊説明してやれ」
面倒になったのか話を終えると出てけと手で合図した。
榊と共に他の部屋に入ると説明される事になった。
榊 「では、社長の伝言です。男に入れ込むな!です」
乾 「それって涼介の事言ってる?」
榊 「はい。お分かりが早くて助かります。こちらを」
榊が持っていたテープが再生されると乾の家のベッドで何をやっていたかがはっ
きりと分かる音声が流れてきた。
乾 「盗聴器かよ!ふざけんなっ!」
榊 「お遊びのうちはいいが、これ以上は許されない。自分でもわかって
いるだろう?」
乾 「わかんねーよ。」
榊 「まだ若い、それにどっちにもこのまま付き合っててもメリットは
ないのだから、傷が浅いうちに別れるべきだと言っているんです。」
乾 「なら、聞かせてくれよ、親父の愛人ってどんな人なんだよ」
榊 「…どこからそれを?」
乾 「母さんは疑ってなかったけど、なんとなく外にいるんじゃねーかなって」
榊はため息をつくと、少しだけ語ってくれた。
榊 「社長の愛人は子供を作れなかったんです。なので今の奥様。隼人さんの
お母様とご結婚なされました。ですが、愛人の方も今は家庭があり、3
年ほど前に他界しました。暫く社長がいなくなった時期があったでしょ?」
乾 「あー。そういえば…。でもさ、榊さんって僕より少し上ってだけなのに
よく秘書になれたよね?前はもっと年配の秘書だったはずだけど?」
榊 「父です。父の代わりに私が継いだんです。社長を頼むと言われていたので」
乾 「へ~。あんまり覚えてねーな~」
榊 「あまり外へは出ない人でしたから。影も薄いし、でも仕事はできる人でし
たよ」
少し話合うと、そのまま帰宅するとこにした。
乾 「やべっ、めっちゃ真っ暗じゃん。今日の晩飯何だろうな~…その前に寝室
の盗聴器探さねーとだな!」
慌てて帰ってみると部屋は真っ暗で誰もいなかった。
今日は部屋で待ってると言っていたのに…。
部屋に入ると、テーブルの上に置き手紙が置かれていた。
乾 隼人 様
勝手ながら、もうここには来ない事にします。
助け出してくれてありがとう。
あのままだったらと思うとすごく怖かったのも事実です。
ですが、これ以上迷惑はかけられません。
それに、俺らは男同士です。
恋愛などできるはずもない事くらい知っています。
それでも一緒にいられて楽しかったです。
鍵はポストに入れておきました。
お元気で…。 涼介より。
ポストには涼介に渡した合鍵が入れられていた。
乾 「なんでだよ!何で勝手にいなくなるんだよ!」
怒りに任せて机を殴ると急いで家を飛び出した。
涼介の部屋へと向かった。
入った事はないが、こっそり写メしたので住所は知っている。
そのままの勢いで駆け込むと鍵は空いていて、中はなにもなかった。
月の光が差し込む中、部屋には家具ひとつ置かれておらず、無人になってい
たのだった。
乾 「嘘…だろ?そうだ…携帯!」
発信音が鳴ったあと、録音された声が流れる。
解約されているらしかった。
乾 「何でだよ…何で側にいてくれねーんだよ。」
会社へとこっそり入り込むと荒川のデスクの前に行くと、綺麗に片付いて
いて、なにも残ってはいなかった。
朝までは普通に来ていた。
一緒の職場で普通に話していた。
残業時間に社長室に呼ばれて…それからが霞のように消えてしまった。
それから榊に電話をかけると要件を伝えた。
乾 「榊!探して欲しい人がいる。荒川涼介をすぐに探してくれ」
榊 「それは出来ません。社長に許可がなければ無理です」
乾 「すぐに探し出して連れて来てくれ!命令だって言っても?」
榊 「無理です。それに社長命令で今日付けで解雇した人を探すのは許可
できかねます。」
乾 「今日付けで…解雇…?」
榊 「そうです。家も引越されていたでしょう?もう、東京にはいませんよ」
乾 「何で、勝手な事したんだ!何で…」
榊 「隼人さんの目を覚まさせる為です。もしこれ以上探すようなら先に見つけ
二度と会うことのないように監禁する事になりますが、それでもいいので
すか?社長は本気ですよ。愛人として囲う事も認めません。 だったら、
見つけ次第そう言う店で働いて貰う事だってできるんですよ。毎晩違う男
に抱かれて、死ぬまで外には出さない。そんな生活をさせたいんですか?」
乾 「…」
榊 「彼の事を思うのなら、婚約を成立させ、幸せになる事です。」
乾 「くそっ…」
悔しくて唇を噛み締めた。
本田に拉致された時も、胸が引き裂かれるくらい痛かった。
だが、それ以上に今は二度と会えないと思うと息が詰まり目の前が真っ暗になった
気分だった。
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