サバイバルゲーム

秋元智也

文字の大きさ
上 下
40 / 61

制限時間

しおりを挟む
最初はただの脅しで、健二が銃弾でかすり傷を負わせるはずだった。
それに対して怒らせるだろうけど、そのあと達也と和彦がフォローして謝る。
健二を処刑してお互いに信頼を保つ予定だったのだ。
用は健二を捨て駒にする気でいたのだ。
しかし、あろうことか重症を負わせてしまった。
回復キットは極力取っておきたかったので嘘をついてしまった。
そのせいで要を死なせてしまった。
そこからはどうやって誤魔化すかを考えていたらロープをほどけと言われていきなりの斬腕。
その事で回復キットの存在を知られてしまった。
「これはみんな達也が考えたことなんだ。俺はそれに従っただけなんだよ。むしろ被害者なんだよ」
スカーを構えると冷たい視線が突き刺さる。
「私から大事なものを奪っておいてどの口が言うの?」
「・・・」
「あの世に行って詫びな」
言葉と共に引き金を引いた。
これで生存者は残り20人となったのである。 


この島あちらこちらで戦闘は過酷さを増して行く。
この命懸けのゲームからは誰一人抜ける事は許されない。
最後のチームになるまで戦い続けなければ成らない。
制限時間内に決着をつけなければならない。
時間を過ぎると島ごと沈んでもらう。
「あれ?制限時間って話したかのう?」
「おいおい、また勝手に拐ってきたはいいが説明無しとかあり得ねーじゃん」
「そうゆうでないわ。ちょっと忘れておっただけじゃ。今から伝えにいくわい」
一人の少女はモニター越しに地上の映像を見ていたが立ち上がると外に出ていった。
「全く忘れんぼうさんだなぁ~僕は僕で楽しませて貰うよ」
もう一人の少年は無邪気に画面を眺めるとまるで玩具で遊んでいるかのように無邪気な笑みを浮かべた。


腕にはめられた時計から声が流れた。
『諸君。まだ生きておるかの?今から制限時間を儲ける、今日の日没までに勝負が決まらない場合は全員この島で死んでもらう。よいか?死にたくなければ足掻け。以上じゃ。』
それだけ言い残すと切れてしまった。
この広いフィールドの中で隠れているかも知れない相手をどうやって殺せというのだろうか?
澪の乾いた笑い声が辺りにこだまする。
「結局は死ねというのか?生かす気など更々ないのではないのか?我らはモルモットにでもされているらしいな」
「そんな事・・・どうすればいいんだよ」
荒木俊介はその場に崩れる。
「もう、俺たちは助からないのか?」
「そういうことなのだろう?これからは残りの時間、別行動としよう。お別れだ」
玄関ホールへと一人降りていく。
残された俊介は澪の後を慌てて追っていった。
「俺も一緒についていってもいいか?」
「ついてきても楽しくないぞ?」
「一人でいるよりはいいだろう?」
「勝手にしろ」
素っ気なく答えてまた、歩き出した。
澪の向かう先は軍用基地。さっきマップを見たときに残りの人間が南下して向かっている先であったからだった。車の燃料も残り少ない。どこまで行けるかは分からないが、行けるところまで行くしかない。
なぜなら今は敵の位置がマップに記載されるようになってしまった為、不意打ちは出来なくなってしまったからだ。まずは、この一番北にいる我々から近い位置を歩いているだろう人間から狩り取っていこうと云うことになった。
澪の力がどこまで通じるのかは分からないがそのまま死を待つぐらいなら抗えるだけ抗ってやる。
この残酷な運命を敷いた神様とやらに。
しおりを挟む

処理中です...