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1話
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ハルは竜帝国の城の三階の部屋で一人本を読んでいた。
壁には一人の侍女が立つ。
その時廊下を走って来る音が聞こえた。
「またですか?」
ハルは一つつぶやくと本に栞を挟み本を閉じた。
バアンッッッ!
盛大な音をたてて扉が開いた。
「ハルっっっっ!」
「何かご用ですかお義母様。」
簡素な部屋に入ってき一人の女性マリアがハルを睨み見た。
「用があるから来たのよ。用がないのにこんなところに来るわけがないじゃない。」
「王妃殿下!それは!」
ハルの専属侍女、スノーが目を見開いた。
「やめなさいスノー。それで用とは?」
ハルはスノーを止めた。
「本当に気の利かない子ね。明日魔王の国の王子のルシファー様がいらっしゃるのよ。それであなたも一応皇女なのだから、出席しなさいね。」
「ちょっと待ってください。私は自分のドレスを持っていませんが?」
ハルは帰ろうとするマリアを止めた。
「その件については大丈夫よ。ライラのドレスを貸してあげるから。ライラにも話はつけておいたのよ。感謝しなさいね。」
マリアは堂々と言うと胸を張って去っていった。マリアが去るとスノーは顔をしかめながら言った。
「なんですか?あの態度は。元男爵夫人だというのに。」
「スノー、控えなさい。あれでも今は王妃です。幽閉されている私たちが逆らえる相手ではありません。」
ハルはスノーをなだめた。
「分かっております。しかし姫様の力を使えばこんな国一瞬で滅ぼせると思いますよ。」
スノーは小さく首を傾げた。
「魔王レイも竜王族でしたがいじめられて切れて母国滅ぼし二大魔王のうちの一柱となったそうですよ。」
「でも私そこまで強くないし。」
ハルがスノーを困ったように見つめた。
「邪竜よりも強いのですよ。あの魔王レイも邪竜には勝てなかったようです。」
スノーは胸を張ってハルを見つめた。
「そう言われてもねー。でもやるだけ価値はあるわね。じゃあスノー、近衛騎士団団長のフェディアスに連絡を入れて。空いている時間はあるかどうか。」
ハルは一つため息をつくとスノーに言った。
「それでこそ竜王です!さっすが姫様!今すぐフェディアス様にご連絡させていただきます。」
スノーは目を輝かせた。
「スノー。脅してはダメよ。」
ハルが忠告をした。
「仰せのままに主様。」
スノーはニヤリと笑うと部屋から出た。
「本当にスノーは。」
ハルは窓から外の景色を見ると一つつぶやいた。
「魔王も悪くないわね。」
しばらくするとスノーが戻ってきた。
「今日の午後3時からなら空いているそうです。」
「脅してないわよね?」
ハルが笑顔で聞いた。
「なんとか。」
「脅したのね。」
ハルがため息をついた。
「違いますってばー!」
スノーが慌てて弁解するのをハルは笑って見ていた
壁には一人の侍女が立つ。
その時廊下を走って来る音が聞こえた。
「またですか?」
ハルは一つつぶやくと本に栞を挟み本を閉じた。
バアンッッッ!
盛大な音をたてて扉が開いた。
「ハルっっっっ!」
「何かご用ですかお義母様。」
簡素な部屋に入ってき一人の女性マリアがハルを睨み見た。
「用があるから来たのよ。用がないのにこんなところに来るわけがないじゃない。」
「王妃殿下!それは!」
ハルの専属侍女、スノーが目を見開いた。
「やめなさいスノー。それで用とは?」
ハルはスノーを止めた。
「本当に気の利かない子ね。明日魔王の国の王子のルシファー様がいらっしゃるのよ。それであなたも一応皇女なのだから、出席しなさいね。」
「ちょっと待ってください。私は自分のドレスを持っていませんが?」
ハルは帰ろうとするマリアを止めた。
「その件については大丈夫よ。ライラのドレスを貸してあげるから。ライラにも話はつけておいたのよ。感謝しなさいね。」
マリアは堂々と言うと胸を張って去っていった。マリアが去るとスノーは顔をしかめながら言った。
「なんですか?あの態度は。元男爵夫人だというのに。」
「スノー、控えなさい。あれでも今は王妃です。幽閉されている私たちが逆らえる相手ではありません。」
ハルはスノーをなだめた。
「分かっております。しかし姫様の力を使えばこんな国一瞬で滅ぼせると思いますよ。」
スノーは小さく首を傾げた。
「魔王レイも竜王族でしたがいじめられて切れて母国滅ぼし二大魔王のうちの一柱となったそうですよ。」
「でも私そこまで強くないし。」
ハルがスノーを困ったように見つめた。
「邪竜よりも強いのですよ。あの魔王レイも邪竜には勝てなかったようです。」
スノーは胸を張ってハルを見つめた。
「そう言われてもねー。でもやるだけ価値はあるわね。じゃあスノー、近衛騎士団団長のフェディアスに連絡を入れて。空いている時間はあるかどうか。」
ハルは一つため息をつくとスノーに言った。
「それでこそ竜王です!さっすが姫様!今すぐフェディアス様にご連絡させていただきます。」
スノーは目を輝かせた。
「スノー。脅してはダメよ。」
ハルが忠告をした。
「仰せのままに主様。」
スノーはニヤリと笑うと部屋から出た。
「本当にスノーは。」
ハルは窓から外の景色を見ると一つつぶやいた。
「魔王も悪くないわね。」
しばらくするとスノーが戻ってきた。
「今日の午後3時からなら空いているそうです。」
「脅してないわよね?」
ハルが笑顔で聞いた。
「なんとか。」
「脅したのね。」
ハルがため息をついた。
「違いますってばー!」
スノーが慌てて弁解するのをハルは笑って見ていた
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