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幸せな結婚
ネーラ家からの招待状
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「愛しているよシェリー。」
「私もよルイス。」
男女が互いを見つめる。
ルイスはシェリーを優しく抱きしめ、そして額にキスをした。
「行ってくるね。」
ルイスはシェリーを離すと名残惜し気に手を振る。
「ええ、ルイス。気を付けてね。」
シェリーが手を振り返す。
その様子を半ば呆れたように使用人たちは見つめていた。
近年稀にみる恋愛結婚で結ばれたシェリーとルイスの朝はいつも甘々だった。
学園時代から両想いで遡れば5歳の時からの付き合いだ。
それぞれの実家も仲が良く、家格も伯爵家と釣り合っている。
とても仲が良い2人の間には暗黙の了解があった。
ルイスに番が現れたら即離婚・・・というものだった。
ルイスは珍しい純血の獣人族で、純血の獣人族問うのは番を見つけたら他の女性には決して靡かないのだ。
番が現れたら即離婚というのは承知の上での結婚だった。
幸せの絶頂にいるシェリーはまさか愛する旦那があんなことをするとは夢にも思っていなかった。
「奥様、ネーラ家からお茶会の招待状が届いておりますが・・・どうなさいますか?」
自室に戻ったシェリーは専属侍女のアネッサから渡された招待状を見て眉をひそめた。
「ネーラ家から?断ってちょうだい。」
ネーラ家は伯爵位を賜る貴族だ。
家格はシェリーの実家ともヤウリア伯爵家とも同じだが、ネーラ家は資金難に陥っている貧乏貴族だった。
一方ランス家とヤウリア家はそれぞれ巨大な商会を経営するお金持ち一家だ。
ネーラ家からしたら長女のセリアをルイスに嫁がせて、資金援助をもらおうと画策していたようで、度々シェリーとルイスのデートを邪魔してきたのだ。
だからネーラ家にはいい思い出がほとんどない。
挙句の果てに、セリアはルイスに惚れているらしく学園でシェリーに喧嘩を吹っかけてくることがよくあった。
しかしシェリーは学年トップの秀才だった。
セリアはいつも負けて泣きながら帰っていくのっだった。
そのネーラ家が結婚後初めてお茶会に誘ってきたのだ。
「ですが、ネーラ家は最近勢力を伸ばしてきています。この機会に仲良くなるのもよいのではないですか?」
アネッサは招待状をしまいながら言う。
「でもね、アネッサ。あなたも知っているでしょう?ネーラ家のセリアさんが私にしてきたことの数々を。」
「はい、存じております。ですが・・・テストの点数を競っただけと聞いております。いじめられたわけでもないのですしそこまで敵対視する必要はないのではありませんか?」
アネッサの言うことは正しい。
何故だか不思議なことに最近あの落ちぶれていたネーラ家が立て直してきているのだ。
どんな方法を使ったのか社交界では一躍有名になっている。
男性の間では正規の方法でたゆまぬ努力をしたのか、悪事に手を染めて資金を得たのかという賭け事が流行っているらしい。
だけれども誰もその真実は知らないし知れない。
シェリーはアネッサから招待状をもう一度見せてもらう。
「行きたくないわ・・・。」
ぽつりと言ったシェリーにアネッサは心配そうに声をかけた。
「よろしければ旦那様に聞いてみてはどうでしょうか?」
「・・・ルイスに?でもあの人は仕事で忙しいわ。今日も宰相様の補佐官として王宮に出向いているのだもの。それに登城しない日も家で書類をさばいているのよ。そんな忙しいルイスにこんな相談できないわ。」
シェリーは下を向いて首を振った。
「奥様、こういう時は人を頼るのが一番です。旦那様ならばきっと的確な答えを出してくださるはずです。」
アネッサが言う。
シェリーの旦那ルイスは王宮勤務の宰相補佐官だ。
補佐官という職業は宰相と同じくらいに忙しく、時には家に帰れない日もあるらしかった。
でもルイスはシェリーとの時間を大切にしたいからと言ってどんなに遅くなっても必ず屋敷に帰ってきた。
そんなルイスの優しさがシェリーは嬉しくもあり心配でもあった。
「・・・そうね、ルイスを頼ってみるわ。ありがとうアネッサ。」
シェリーはアネッサに微笑みかける。
「いえ、奥様のためですから!」
アネッサは朗らかに笑い、そしてシェリーに今日飲む紅茶を聞く。
「今日はどの茶葉にしますか?」
「そうね、いつもので頼めるかしら?」
シェリーが言うとアネッサはすぐに入れてシェリーの目の前に置く。
「いつもの紅茶です、奥様。」
「相変わらず仕事が速いわね。」
「おほめにあずかり光栄です。」
シェリーの言葉にアネッサは心底嬉しそうに言った。
――――――――――――――――――――――――――
今回は『離縁してください旦那様』を読んでくださりありがとうございます。
更新は一日一度を目安にしていきたいと思います。
『無能と称され婚約破棄された精霊の愛し子は国を見切ります』も投稿していますので読んでくださると嬉しいです。
上記の作品は完結まであと少しなので更新は『無能と称され婚約破棄された精霊の愛し子は国を見切ります』の方を優先させていただきますので更新が滞る可能性もありますがご了承ください。
お気に入り登録をしていただけると励みになります。
誤字脱字等ありましたら教えてくださると嬉しいです。
よろしくお願いします。
「私もよルイス。」
男女が互いを見つめる。
ルイスはシェリーを優しく抱きしめ、そして額にキスをした。
「行ってくるね。」
ルイスはシェリーを離すと名残惜し気に手を振る。
「ええ、ルイス。気を付けてね。」
シェリーが手を振り返す。
その様子を半ば呆れたように使用人たちは見つめていた。
近年稀にみる恋愛結婚で結ばれたシェリーとルイスの朝はいつも甘々だった。
学園時代から両想いで遡れば5歳の時からの付き合いだ。
それぞれの実家も仲が良く、家格も伯爵家と釣り合っている。
とても仲が良い2人の間には暗黙の了解があった。
ルイスに番が現れたら即離婚・・・というものだった。
ルイスは珍しい純血の獣人族で、純血の獣人族問うのは番を見つけたら他の女性には決して靡かないのだ。
番が現れたら即離婚というのは承知の上での結婚だった。
幸せの絶頂にいるシェリーはまさか愛する旦那があんなことをするとは夢にも思っていなかった。
「奥様、ネーラ家からお茶会の招待状が届いておりますが・・・どうなさいますか?」
自室に戻ったシェリーは専属侍女のアネッサから渡された招待状を見て眉をひそめた。
「ネーラ家から?断ってちょうだい。」
ネーラ家は伯爵位を賜る貴族だ。
家格はシェリーの実家ともヤウリア伯爵家とも同じだが、ネーラ家は資金難に陥っている貧乏貴族だった。
一方ランス家とヤウリア家はそれぞれ巨大な商会を経営するお金持ち一家だ。
ネーラ家からしたら長女のセリアをルイスに嫁がせて、資金援助をもらおうと画策していたようで、度々シェリーとルイスのデートを邪魔してきたのだ。
だからネーラ家にはいい思い出がほとんどない。
挙句の果てに、セリアはルイスに惚れているらしく学園でシェリーに喧嘩を吹っかけてくることがよくあった。
しかしシェリーは学年トップの秀才だった。
セリアはいつも負けて泣きながら帰っていくのっだった。
そのネーラ家が結婚後初めてお茶会に誘ってきたのだ。
「ですが、ネーラ家は最近勢力を伸ばしてきています。この機会に仲良くなるのもよいのではないですか?」
アネッサは招待状をしまいながら言う。
「でもね、アネッサ。あなたも知っているでしょう?ネーラ家のセリアさんが私にしてきたことの数々を。」
「はい、存じております。ですが・・・テストの点数を競っただけと聞いております。いじめられたわけでもないのですしそこまで敵対視する必要はないのではありませんか?」
アネッサの言うことは正しい。
何故だか不思議なことに最近あの落ちぶれていたネーラ家が立て直してきているのだ。
どんな方法を使ったのか社交界では一躍有名になっている。
男性の間では正規の方法でたゆまぬ努力をしたのか、悪事に手を染めて資金を得たのかという賭け事が流行っているらしい。
だけれども誰もその真実は知らないし知れない。
シェリーはアネッサから招待状をもう一度見せてもらう。
「行きたくないわ・・・。」
ぽつりと言ったシェリーにアネッサは心配そうに声をかけた。
「よろしければ旦那様に聞いてみてはどうでしょうか?」
「・・・ルイスに?でもあの人は仕事で忙しいわ。今日も宰相様の補佐官として王宮に出向いているのだもの。それに登城しない日も家で書類をさばいているのよ。そんな忙しいルイスにこんな相談できないわ。」
シェリーは下を向いて首を振った。
「奥様、こういう時は人を頼るのが一番です。旦那様ならばきっと的確な答えを出してくださるはずです。」
アネッサが言う。
シェリーの旦那ルイスは王宮勤務の宰相補佐官だ。
補佐官という職業は宰相と同じくらいに忙しく、時には家に帰れない日もあるらしかった。
でもルイスはシェリーとの時間を大切にしたいからと言ってどんなに遅くなっても必ず屋敷に帰ってきた。
そんなルイスの優しさがシェリーは嬉しくもあり心配でもあった。
「・・・そうね、ルイスを頼ってみるわ。ありがとうアネッサ。」
シェリーはアネッサに微笑みかける。
「いえ、奥様のためですから!」
アネッサは朗らかに笑い、そしてシェリーに今日飲む紅茶を聞く。
「今日はどの茶葉にしますか?」
「そうね、いつもので頼めるかしら?」
シェリーが言うとアネッサはすぐに入れてシェリーの目の前に置く。
「いつもの紅茶です、奥様。」
「相変わらず仕事が速いわね。」
「おほめにあずかり光栄です。」
シェリーの言葉にアネッサは心底嬉しそうに言った。
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