リアル スティール

スーノ

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1話 Real Steal Online

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『そろそろかな』

16歳引きこもり少女である西条 光は部屋の中にある時計をみて時間を確認する。すでに深夜0時を回っており、日付が変わったこの瞬間から世界初のVRMMORPGである《Real Steal Online》の正式サービスが開始された。

あらかじめサービスが開始された瞬間から遊べるように設定は全て終わらしていたので、さっそく遊んでみることにする。

「接続しました」

機械音声が鳴り響くと同時に光の意識は暗転した。
それから数秒後、目の前に真っ白な空間が広がっていた。

「ようこそ!《Real Steal Online》の世界へ!ここは自由の世界!すべてがあなたの意志一つで決まるこの世界があなたのリアルを奪い去る!」

そんな機械音声の簡易な説明が終わると目の前にキャラクター製作の画面が表示される。ここでは説明でもあったようにすべてが自由であり、性別や声なども自由に選択できるのだ。

最初こそそれで現実に影響が出ないのか?貢がれ目的でのネカマが増えないのか?と疑問の声が上がっていたが、βテストが配信されてからはそんな声は全て消し飛んだ。

リアルでの影響がないのかということに関しては全てシステムの補助が入るらしく普段と同じような感覚で体を動かせるようになっている。だから例え190cmのムキムキマッチョメンが130cmのロリロリ巨乳な少女になったとしても感覚的には同じように動かせるようになっているからそこは問題ないのだ。これに関しては光自身もβテスターだったこともあり、すでに知っていることだった。

そしてこの貢がれ目的でのネカマ行為に関してもしっかりと対策されている。それはアイテムを与えたり、交換したりするときにリアルでのビデオ通話が始まるようになっていることだ。

そうすることでお互いの姿と声を確認しながらの取引となるので詐欺まがいな行為による被害にあいにくくなる。これは顔出しNGの人にとってはアイテムの入手が非常に困難になる設定ではあるが、このゲームが判断したゲーム内通貨を利用した適正価格での購入ならば顔を合わせなくても取引できる仕様になっているのでお金さえためればそういった他人からのアイテム購入も不可能ではないのだ。

それにそもそもがただクリアするだけならばそれほどゲームの難易度は高く設定されていない。だから強いアイテムが絶対に必要かというとそうでもないのだ。

しかし光の場合は違った。

『さて、最強プレイヤーとして恥ずかしくないキャラクリをしないとなぁ』

光はこの世界で最強のプレイヤーを目指そうとしていた。ゲーム内最強のプレイヤーとなると嫌でも目に付くし、他人からも認められる。

せめてゲームの中だけでも他人から認められたいと考えている光にとってこれは絶対に成し遂げたいことだった。そのためにβテスト時代から光は最適なスキル構成などずっと研究していたのだ。

そんなこんなで光はキャラクリを終えていた。

光の作り出したキャラは背中まで伸びている長くストレートの黒髪に青い瞳、150cmくらいの低身長で小ぶりな胸を持つ美少女キャラだった。

『やっぱり最強のプレイヤーってなるとかわいい女の子かイケメン男子に決まってるよね』

そんな自論を心の中で語りながらもステータス画面へと移行する。


【名前】無し      【種族】人間    LV1
【クラス】無し

      HP:500      MP:0      SP:0
      
      力:0
      速:0
      防:0
      魔:0
      知:0
      幸:0

《スキル》:無し
《称   号》:無し
《装   備》:無し

:新しいお知らせが一軒あります。


ステータス画面の下部にお知らせがあるとログが来ていたのでそれを確認すべくタップした。

:チュートリアルを実行しますか?
      YES・NO

選択肢を見た光は迷わずNOを選択した。初めてのVRMMORPGということで操作感など今までのゲームとは全然違うということもありほとんどの人はこのチュートリアルを受けるだろう。しかしβテスターだった光はすでにゲームを体験しているのでここでチュートリアルを実施する必要がなく、いち早くゲームの世界に入れるようにここでNOを選択したのだ。

しかしまだゲームの世界に入ることはできない。
名前とクラスを選択する必要があるからだ。

クラスによって初期ステータスは全員固定であり、いくつかの仕様も違うのでこの選択は重要だった。

クラスには下級職、中級職、上級職の三つがあり最初は二つの下級職のうちいずれかを選ばなければいけない。これによって今後のクラスチェンジ先などすべてが決まってくる。

      戦士・魔法使い

私はあらかじめ決めていた通り魔法使いを選択する。あとは名前さえ決めればゲームが始まるのだ。

『さて、名前はどうしよう』

早くゲームに行きたいので適当に名付けようかとも考えたが、名前を変えるには特殊なアイテムが必要になってくるためここで適当に名付ければ後悔しかねなかった。

『私は自分自身が大っ嫌いだ。だからそれを思い出さないような名前がいいんだけど』

少し考え込んだ後、名前を入力し始める。


【名前】クロエ      【種族】人間    LV1
【クラス】魔法使い

      HP:500      MP:50      SP:0
      
      力:1
      速:1
      防:2
      魔:4
      知:1
      幸:1

《スキル》:無し
《称   号》:無し
《装   備》:〈古びたローブ〉〈古びた杖〉

:新しいお知らせはありません。


『よし!これで完璧だ!さぁ!これから私の新しい冒険が幕を開けるんだ!』

視界が切り替わり目の前に中世ヨーロッパ風の世界が広がった。


___________________________________________________________________________________



戦士を選んだ場合の初期ステータス


【名前】××    【種族】人間    LV1
【クラス】戦士

      HP:500      MP:0      SP:0
      
      力:3
      速:3
      防:2
      魔:1
      知:1
      幸:1

《スキル》:無し
《称   号》:無し
《装   備》:〈古びた鎧〉〈古びた武器〉

:新しいお知らせはありません。


この〈古びた武器〉というのは選択肢が複数あるのでこのような表記をしています。
戦士は自分の武器を選べて剣やナイフや弓など様々な選択肢があります。
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