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第2章 波乱の夏
第9話 不良6人に絡まれた!?
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嫌なことがあった日には、嫌なことが重なる。そんなことが多い。
あの夢を見た日の午後。
「おい、ちょっと顔貸せ」
俺は、部屋に押しかけてきた不良数人に絡まれた。俺は抵抗する間もなくどこかに連れていかれる。幸い、ジュアは外に出払っていて、彼女が絡まれるということはなかった。
寮を出てどこか広めの裏路地に連れ込まれた俺は、全く知らない6人の不良に囲まれた。左胸のエンブレムが黄色ってことは、3年生。2つ上か。
この学校は学年ごとにエンブレムの色が変わり、1年は青色、2年は緑色、3年は黄色という感じになっている。
「お前、最強だのなんだのと噂されてんだってな」
不良の1人が言った。
あー……俺への嫉妬ってところか。
「らしいですね。俺自身はそんな自覚ないんですが」
「んだと!? ナメてんのか!?」
逆ギレすんなよ大人気ない。
そうは思うものの、口に出すとさらにキレられて面倒なことになるので、言わないことにするが。
無言のまま何も答えない俺を見て、6人はイラついたようだ。手元から小型のナイフを取り出すと、俺に刃先を向けてきた。
「お前のその変な力は、非科学にしか効かねぇ。物理攻撃なら、通用しねぇんだよっ!」
そう怒鳴ると、不良の1人が俺に襲いかかってきた。それに続いて他の5人も襲いかかってくる。
やっべえやべえ、やべえ!
俺なんも格闘技とかやってねぇぞ!?
そう思っていたが。
直前で目の前から来た最初の不良の刃を右へ避けて躱し、その腕を掴んで自分の左手を下に、右手を上に動かした。ちょうど、彼の前方宙返りを手助けする感じで。
俺の予想通り、彼は宙へ浮かび、そのまま一回転して向かいの不良とぶつかった。1つになって彼らは路地を転がる。
それを見届ける前に、最初の向きから左に90度横を向いた俺の背後から別の不良が来た。俺はしゃがみ、そいつの横一閃の攻撃を躱すと、地面についた右手を軸にして横に一回転し、全員の足を払った。バランスを崩した4人は転ぶ。
「テメッ……!」
倒れた時の衝撃で上手く息ができないまま、彼らは俺を睨む。路地の奥では、転がった2人が気絶していた。
「……」
自分でも、さっき上手く対処できた自分にびっくりした。
そう思いつつ、俺は裏路地を出た。
はぁ……かずにぃのことを思い出した次は、不良に絡まれるとか……。
「今日は不運な日だな」
俺はそう独り言ちながら、寮への道を辿った。
部屋に戻ると、ジュアが心配そうにテーブルの前に座っていた。
「やっと帰ってきましたね。どこで何をしていたんですかっ」
少し怒り気味にジュアが訊いた。
「2つ上の不良に絡まれてた」
「はぁっ!? ふっ、不良!?」
ジュアは驚く。まぁ無理もないか。
「襲ってきたから返り討ちにしてやったけど」
「……」
ジュアはあさましがり(驚き呆れ果てて)、何も言えないようだった。
あっやべ、月登の癖が移っちまった。
あの夢を見た日の午後。
「おい、ちょっと顔貸せ」
俺は、部屋に押しかけてきた不良数人に絡まれた。俺は抵抗する間もなくどこかに連れていかれる。幸い、ジュアは外に出払っていて、彼女が絡まれるということはなかった。
寮を出てどこか広めの裏路地に連れ込まれた俺は、全く知らない6人の不良に囲まれた。左胸のエンブレムが黄色ってことは、3年生。2つ上か。
この学校は学年ごとにエンブレムの色が変わり、1年は青色、2年は緑色、3年は黄色という感じになっている。
「お前、最強だのなんだのと噂されてんだってな」
不良の1人が言った。
あー……俺への嫉妬ってところか。
「らしいですね。俺自身はそんな自覚ないんですが」
「んだと!? ナメてんのか!?」
逆ギレすんなよ大人気ない。
そうは思うものの、口に出すとさらにキレられて面倒なことになるので、言わないことにするが。
無言のまま何も答えない俺を見て、6人はイラついたようだ。手元から小型のナイフを取り出すと、俺に刃先を向けてきた。
「お前のその変な力は、非科学にしか効かねぇ。物理攻撃なら、通用しねぇんだよっ!」
そう怒鳴ると、不良の1人が俺に襲いかかってきた。それに続いて他の5人も襲いかかってくる。
やっべえやべえ、やべえ!
俺なんも格闘技とかやってねぇぞ!?
そう思っていたが。
直前で目の前から来た最初の不良の刃を右へ避けて躱し、その腕を掴んで自分の左手を下に、右手を上に動かした。ちょうど、彼の前方宙返りを手助けする感じで。
俺の予想通り、彼は宙へ浮かび、そのまま一回転して向かいの不良とぶつかった。1つになって彼らは路地を転がる。
それを見届ける前に、最初の向きから左に90度横を向いた俺の背後から別の不良が来た。俺はしゃがみ、そいつの横一閃の攻撃を躱すと、地面についた右手を軸にして横に一回転し、全員の足を払った。バランスを崩した4人は転ぶ。
「テメッ……!」
倒れた時の衝撃で上手く息ができないまま、彼らは俺を睨む。路地の奥では、転がった2人が気絶していた。
「……」
自分でも、さっき上手く対処できた自分にびっくりした。
そう思いつつ、俺は裏路地を出た。
はぁ……かずにぃのことを思い出した次は、不良に絡まれるとか……。
「今日は不運な日だな」
俺はそう独り言ちながら、寮への道を辿った。
部屋に戻ると、ジュアが心配そうにテーブルの前に座っていた。
「やっと帰ってきましたね。どこで何をしていたんですかっ」
少し怒り気味にジュアが訊いた。
「2つ上の不良に絡まれてた」
「はぁっ!? ふっ、不良!?」
ジュアは驚く。まぁ無理もないか。
「襲ってきたから返り討ちにしてやったけど」
「……」
ジュアはあさましがり(驚き呆れ果てて)、何も言えないようだった。
あっやべ、月登の癖が移っちまった。
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