愛なんて言葉だけだ

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　いつもは「おかえりなさい」にニヤリと笑うのに、今日は黙って頷くだけだ。
　あぁ。
　今日の夜、私は猫になる。

　疲れているのか、仕事で何かあったのか。尋ねても彼は答えない。だから、私は黙っている。「どうしたの？」なんて聞かない。いつものようにご飯を作って、適当なテレビ番組を眺めながら並んでご飯を食べる。
　食後ソファでスマホを見る彼の隣に無言でくっつく。まるで飼い猫のように寄り添う。
「どうした？」
　私がくっついていたことに気づいた彼は、そう言って私の頭をなでた。
「んー」
　もう大丈夫だ。

　私は何もわからないから、彼の悩みを解消なんてできない。猫に癒されるのは、互いの言葉が通じないからだと思う。私は、彼の飼い猫になることもある。