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義理の兄弟とため口で話すことになりました その④ ~匠side~
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「よし、0時を過ぎたね。」
トン トン トン トン
ポン
「携帯のアラームが鳴るまで話を聞くよ。1時半まで話そう。」
聡は携帯のアラームを設定すると、布団の上に携帯を置いた。
「どんな課題が出たんだ?」
興味津々な表情で新が聞いた。
「えーと、待ってください。」
ー 口で言うのはハードルが高い。2人に契約書を読んでもらった方がいいな。
「契約書、ここに」
携帯のストラップに触れて匠はが唱えると、契約書が空中に浮かんで現れた。
聡と新は、まじまじとそれを読んだ。
①字を上達させること
②義理の兄弟への言葉遣いのよそよそしさを無くすこと
しばし流れる沈黙ー
「①の字の方はどう?」
「・・・・。練習はしてはいるんですけど・・・。」
ーさっきの僕の字を見て、気がつかなかったんだろうか。
「練習した字を見せてもらってもいい?」
「はい。ちょっと待ってください。ーーーーー。 これです。」
匠は本棚から練習ノートを取り出し、聡に手渡した。
「「ーーーーーー。」」
(「さっきの字は、怒って雑になった訳じゃなかったのか・・・。」)
(「個性的な字ですね・・・。」)
「今までに習ったことはあるのか?」
新がノートから顔を上げて匠に聞いた。
「は、はい。小学生の時に、2年間。でも、才能が無いので、やめました。」
「どんな先生だった。」
「優しかったですよ。でも僕は全然上達しませんでした。」
匠は、習字の先生が硬筆を教えてくれた時を思い出した。
ー僕の書いた字を見るといつも困ったような笑顔をしてたっけ。
「そうか。」
(「安易に習えばいいじゃんとは言えないな。」)
「作戦タイムな。聡兄、ちょっといい?」
「うん。廊下で話そうか。」
2人は立ち上がると廊下の方へ行った。
ーやっぱり僕の下手な字がどうやったら上達するか相談されたら困るよね。
自分の弱点をさらけ出したことで緊張が強まった。心拍数が速くなるのを感じながら、匠は2人が戻ってくるのを待った。
カチャリ
「う~さみ~。」
新はファンヒーターの前に座り込み体を温めた。
「待たせたね。」
「いえ。」
聡も寒かったのだろう。敷布団の上で掛け布団にくるまって、座った。
「結論から言うと、字は楓から習うといいよ。」
「えっ。」
ー楓ちゃんには上達してから、この課題のことを話したいと思ってたんだけど。
「あいつは、字がすげえ好きだから。一緒に練習するの喜んで付き合うと思うぜ。」
「字が好きなら、この字は見せない方がいいんじゃ。」
ー幻滅されたくないな。
「楓の字への思い入れは何ていうか。・・・深いんだよね。匠君の助けになると思うよ。」
「はあ。」
「まあ1回、楓と字の練習をしてみて匠に合わなかったから、別の方法を考えるってのでどうだ?」
「そうですね。」
「じゃ、決まりな。楓には俺から話しておくから。」
「ーーーー。はい。」
ーさっきの「そうですね。」は保留の意味で使ったのだけど、伝わってなかった。
「じゃあ①はとりあえず対策が立てれたな。」
「え、ええ。」
(「新、さっきの匠君の【そうですね】の言葉が、「はい。」の意味じゃなくて、「考えてみます。」の意味だと分かっててあえてスルーしたな。」)
聡も匠の本音に気がついていたが、楓に相談するのがいいと思っていたので2人のやり取りをそのまま見守った。
「次は課題の②な。何かさっき話し方が変だったのはこの課題のせいだよな。」
にやにやしながら、新さんがツッコミを入れた。
「えーと、そうですね。」
匠は手で頭をぽりぽりかいた。
「匠君、僕たちに話すの気を使っていたんですね。僕自身、ですます調が普通なので気がつきませんでした。」
「俺は、砕け過ぎだしな。」
「・・・。」
ーどうしよう。何て言えば良いんだろう。言葉が見つからない。
「なあ匠。匠が気を遣うのって俺らに原因があるのか?」
「そ、それは違います。」
「本当か?」
「本当です。苦手だったら2人を家に泊めたりしません。聡さんと新さんと一緒に遊ぶのは、楽しいです。」
ー今、きちんと伝えないと、これが原因で距離が出来たら寂しい。
「「(それ)ならよかった。」」
匠の返事に聡と新は、ほっとした表情になった。
「僕は、親が離婚してるじゃないですか。」
匠は本音を2人に話してみることにした。
「そう言ってたな。」「ええ。」
「だからずっと続く友情とかどうも信じきれなくて、気が付いたら傷つかないために敬語で話すようになったんです。そうすれば、ある程度の距離感が保てますから。」
「じゃあ、この課題は負担か?」
ー負担かどうかというと、出来たらいいなと思うけど、今更話し方を変えるのは恥ずかしいという感じだ。
「いいえ。2人のことは信用、いや信頼してるんで、負担じゃないです。ただ、話し方をこれから帰るのはなんか恥ずかしい感じがして。」
「負担じゃないなら、ほっとしました。」
「とりあえず、名前呼び捨てにしてみろよ。」
「そうだね。練習あるのみだね。」
聡が新の提案に賛成してうなずいた。
「・・・・・・。」
ーど、どうしよう。何て言おう。
新はにやにやしながら、聡は穏やかな顔つきで匠が話すのを待っている。
ー【新、聡、これからもよろしく。新、聡、これからもよろしく。新、聡、これからもよろしく。】
匠は心の中で、練習した。
ーよ、よし言おう。
スー・・ハー・・。
匠は視線を一瞬外して、息を深く吸い込んで吐き出してからこう言った。
「新、聡、これからもよろしく。」
「おお~感じが変わるなあ。」
「新鮮ですねえ。」
「聡兄も今日だけですます調をやめようぜ。」
「そうですか。・・・・。分かったよ。匠の練習に付き合うよ。」
ーですます調で話さない聡さんは本当に意外な感じだ。
「ククッ。面白いな~。何か話題は・・・。そうだ。明日、楓と朱音さんは午前中うちにくるって奈央子が言ってたぞ。」
「そうで、そうなんだ。知らんかった。」
「僕も知らなかった。さっき決まったのか?」
「ああ。【女子会だあ!】って張り切ってたぞ。」
「あっちも課題について話すんだろうな。」
「楓の課題はまだ知らないんだよな?」
「ええ、違った。ああ。この1週間早く眠ってるからそれが課題だと思う。」
「早寝早起きか~。」
「「楓にぴったりだな。」」
新と聡の言葉が重なった。
「そうなんだ。」
「ああ、楓は夢中になると明け方まで本読んだり掃除したりして、その後しばらくぼーっとするところがあるからな。」
「新、あんまりばらすと楓が怒るぞ。そんくらいにしとけ。」
「つい口が滑った。匠、悪いこれオフレコな。」
「分かったよ。」
ー楓ちゃんが本に夢中になりやすいのは知っていたけど、直接本を読む姿を見たことはなかったな。苦手なことなのに【早め早起き】にしっかり取り組んでて偉いな楓ちゃんは。
「そう言えば、今度出張で札幌に行くんだけど、お勧めのラーメン店ってある?」
聡が匠に聞いた。
「何系が食べたいですか?」
「そうだな。今回は塩ラーメンが食いに行きたいな。」
「それなら・・・。」
そこから雑談をしているうちに急に部屋の明るさが変わった。
光が部屋の中に溢れる。光の発信源の携帯ストラップを見ると、色が変わっていた。
「課題合格だね。おめでとう。」
「やったな、匠。」
新も嬉しそうに言った。
「ありがとうございます。」
「話し方、戻すと色が消えるぞ。やり直し。」
「聡、新、ありがとうな。協力してくれて。」
「俺は楽しかったぞ。」
「僕も。」
匠は、色の変わった携帯ストラップをじっと見つめた。課題に合格した実感はまだないが、それでも安堵した気持ちが湧き上がってくるのを感じた。
「思ったより早く片付いたな。寝るぞ。」
時計を見上げ、新が言った。時計の針は、1時4分を指している。
「そうだね。2人とも明日、何時に起きる?」
「俺、6時。7時にはここを出る。」
新が、布団にくるまりながら言った。
「匠君は?」
「僕も6時で。」
「僕は、ここから会社が近いから、7時に起きるよ。」
ー朝食は、パンにしよう。5時45分に起きて動けば・・・。
「匠、俺らの朝食とか心配しなくていいからな。」
「え!それは悪いよ。」
ー忙しいところ来てくれたのに、それは出来ない。
「布団の片付けやごみ捨てをしてもらうんだからこっちが悪いくらいだよ。」
「それくらいはついでなんで。」
ピッピッ
新が、電気のリモコンを押して豆電球が付く設定にした。
「じゃあ、朝は各自適当にということで。お休み。」
「お休み。」
新の言葉に、聡もすぐに目を閉じ、ごろんと右を向き背中を向けた。
5分もすると、2人の寝息が聞こえてきた。
いつもながら、抜群の寝つきだ。
匠は、自分の殻を破れたことに驚きつつ、それを新と聡が当然のことのように接してくれたことを嬉しく感じた。
今日は、睦月さんの黒豆茶の力を借りなくても眠れそうだ。
匠は自分の部屋に移動するのも忘れて、次第に眠りに落ちて行った。
トン トン トン トン
ポン
「携帯のアラームが鳴るまで話を聞くよ。1時半まで話そう。」
聡は携帯のアラームを設定すると、布団の上に携帯を置いた。
「どんな課題が出たんだ?」
興味津々な表情で新が聞いた。
「えーと、待ってください。」
ー 口で言うのはハードルが高い。2人に契約書を読んでもらった方がいいな。
「契約書、ここに」
携帯のストラップに触れて匠はが唱えると、契約書が空中に浮かんで現れた。
聡と新は、まじまじとそれを読んだ。
①字を上達させること
②義理の兄弟への言葉遣いのよそよそしさを無くすこと
しばし流れる沈黙ー
「①の字の方はどう?」
「・・・・。練習はしてはいるんですけど・・・。」
ーさっきの僕の字を見て、気がつかなかったんだろうか。
「練習した字を見せてもらってもいい?」
「はい。ちょっと待ってください。ーーーーー。 これです。」
匠は本棚から練習ノートを取り出し、聡に手渡した。
「「ーーーーーー。」」
(「さっきの字は、怒って雑になった訳じゃなかったのか・・・。」)
(「個性的な字ですね・・・。」)
「今までに習ったことはあるのか?」
新がノートから顔を上げて匠に聞いた。
「は、はい。小学生の時に、2年間。でも、才能が無いので、やめました。」
「どんな先生だった。」
「優しかったですよ。でも僕は全然上達しませんでした。」
匠は、習字の先生が硬筆を教えてくれた時を思い出した。
ー僕の書いた字を見るといつも困ったような笑顔をしてたっけ。
「そうか。」
(「安易に習えばいいじゃんとは言えないな。」)
「作戦タイムな。聡兄、ちょっといい?」
「うん。廊下で話そうか。」
2人は立ち上がると廊下の方へ行った。
ーやっぱり僕の下手な字がどうやったら上達するか相談されたら困るよね。
自分の弱点をさらけ出したことで緊張が強まった。心拍数が速くなるのを感じながら、匠は2人が戻ってくるのを待った。
カチャリ
「う~さみ~。」
新はファンヒーターの前に座り込み体を温めた。
「待たせたね。」
「いえ。」
聡も寒かったのだろう。敷布団の上で掛け布団にくるまって、座った。
「結論から言うと、字は楓から習うといいよ。」
「えっ。」
ー楓ちゃんには上達してから、この課題のことを話したいと思ってたんだけど。
「あいつは、字がすげえ好きだから。一緒に練習するの喜んで付き合うと思うぜ。」
「字が好きなら、この字は見せない方がいいんじゃ。」
ー幻滅されたくないな。
「楓の字への思い入れは何ていうか。・・・深いんだよね。匠君の助けになると思うよ。」
「はあ。」
「まあ1回、楓と字の練習をしてみて匠に合わなかったから、別の方法を考えるってのでどうだ?」
「そうですね。」
「じゃ、決まりな。楓には俺から話しておくから。」
「ーーーー。はい。」
ーさっきの「そうですね。」は保留の意味で使ったのだけど、伝わってなかった。
「じゃあ①はとりあえず対策が立てれたな。」
「え、ええ。」
(「新、さっきの匠君の【そうですね】の言葉が、「はい。」の意味じゃなくて、「考えてみます。」の意味だと分かっててあえてスルーしたな。」)
聡も匠の本音に気がついていたが、楓に相談するのがいいと思っていたので2人のやり取りをそのまま見守った。
「次は課題の②な。何かさっき話し方が変だったのはこの課題のせいだよな。」
にやにやしながら、新さんがツッコミを入れた。
「えーと、そうですね。」
匠は手で頭をぽりぽりかいた。
「匠君、僕たちに話すの気を使っていたんですね。僕自身、ですます調が普通なので気がつきませんでした。」
「俺は、砕け過ぎだしな。」
「・・・。」
ーどうしよう。何て言えば良いんだろう。言葉が見つからない。
「なあ匠。匠が気を遣うのって俺らに原因があるのか?」
「そ、それは違います。」
「本当か?」
「本当です。苦手だったら2人を家に泊めたりしません。聡さんと新さんと一緒に遊ぶのは、楽しいです。」
ー今、きちんと伝えないと、これが原因で距離が出来たら寂しい。
「「(それ)ならよかった。」」
匠の返事に聡と新は、ほっとした表情になった。
「僕は、親が離婚してるじゃないですか。」
匠は本音を2人に話してみることにした。
「そう言ってたな。」「ええ。」
「だからずっと続く友情とかどうも信じきれなくて、気が付いたら傷つかないために敬語で話すようになったんです。そうすれば、ある程度の距離感が保てますから。」
「じゃあ、この課題は負担か?」
ー負担かどうかというと、出来たらいいなと思うけど、今更話し方を変えるのは恥ずかしいという感じだ。
「いいえ。2人のことは信用、いや信頼してるんで、負担じゃないです。ただ、話し方をこれから帰るのはなんか恥ずかしい感じがして。」
「負担じゃないなら、ほっとしました。」
「とりあえず、名前呼び捨てにしてみろよ。」
「そうだね。練習あるのみだね。」
聡が新の提案に賛成してうなずいた。
「・・・・・・。」
ーど、どうしよう。何て言おう。
新はにやにやしながら、聡は穏やかな顔つきで匠が話すのを待っている。
ー【新、聡、これからもよろしく。新、聡、これからもよろしく。新、聡、これからもよろしく。】
匠は心の中で、練習した。
ーよ、よし言おう。
スー・・ハー・・。
匠は視線を一瞬外して、息を深く吸い込んで吐き出してからこう言った。
「新、聡、これからもよろしく。」
「おお~感じが変わるなあ。」
「新鮮ですねえ。」
「聡兄も今日だけですます調をやめようぜ。」
「そうですか。・・・・。分かったよ。匠の練習に付き合うよ。」
ーですます調で話さない聡さんは本当に意外な感じだ。
「ククッ。面白いな~。何か話題は・・・。そうだ。明日、楓と朱音さんは午前中うちにくるって奈央子が言ってたぞ。」
「そうで、そうなんだ。知らんかった。」
「僕も知らなかった。さっき決まったのか?」
「ああ。【女子会だあ!】って張り切ってたぞ。」
「あっちも課題について話すんだろうな。」
「楓の課題はまだ知らないんだよな?」
「ええ、違った。ああ。この1週間早く眠ってるからそれが課題だと思う。」
「早寝早起きか~。」
「「楓にぴったりだな。」」
新と聡の言葉が重なった。
「そうなんだ。」
「ああ、楓は夢中になると明け方まで本読んだり掃除したりして、その後しばらくぼーっとするところがあるからな。」
「新、あんまりばらすと楓が怒るぞ。そんくらいにしとけ。」
「つい口が滑った。匠、悪いこれオフレコな。」
「分かったよ。」
ー楓ちゃんが本に夢中になりやすいのは知っていたけど、直接本を読む姿を見たことはなかったな。苦手なことなのに【早め早起き】にしっかり取り組んでて偉いな楓ちゃんは。
「そう言えば、今度出張で札幌に行くんだけど、お勧めのラーメン店ってある?」
聡が匠に聞いた。
「何系が食べたいですか?」
「そうだな。今回は塩ラーメンが食いに行きたいな。」
「それなら・・・。」
そこから雑談をしているうちに急に部屋の明るさが変わった。
光が部屋の中に溢れる。光の発信源の携帯ストラップを見ると、色が変わっていた。
「課題合格だね。おめでとう。」
「やったな、匠。」
新も嬉しそうに言った。
「ありがとうございます。」
「話し方、戻すと色が消えるぞ。やり直し。」
「聡、新、ありがとうな。協力してくれて。」
「俺は楽しかったぞ。」
「僕も。」
匠は、色の変わった携帯ストラップをじっと見つめた。課題に合格した実感はまだないが、それでも安堵した気持ちが湧き上がってくるのを感じた。
「思ったより早く片付いたな。寝るぞ。」
時計を見上げ、新が言った。時計の針は、1時4分を指している。
「そうだね。2人とも明日、何時に起きる?」
「俺、6時。7時にはここを出る。」
新が、布団にくるまりながら言った。
「匠君は?」
「僕も6時で。」
「僕は、ここから会社が近いから、7時に起きるよ。」
ー朝食は、パンにしよう。5時45分に起きて動けば・・・。
「匠、俺らの朝食とか心配しなくていいからな。」
「え!それは悪いよ。」
ー忙しいところ来てくれたのに、それは出来ない。
「布団の片付けやごみ捨てをしてもらうんだからこっちが悪いくらいだよ。」
「それくらいはついでなんで。」
ピッピッ
新が、電気のリモコンを押して豆電球が付く設定にした。
「じゃあ、朝は各自適当にということで。お休み。」
「お休み。」
新の言葉に、聡もすぐに目を閉じ、ごろんと右を向き背中を向けた。
5分もすると、2人の寝息が聞こえてきた。
いつもながら、抜群の寝つきだ。
匠は、自分の殻を破れたことに驚きつつ、それを新と聡が当然のことのように接してくれたことを嬉しく感じた。
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