上 下
27 / 90

ステータスの差!

しおりを挟む
 クリムの特訓のおかげで、すっかり疲れ果てていた。
 その日は寮に帰っても、さっさと部屋に戻り寝てしまった。

 その影響か、朝早く目が覚めた俺は、空腹に気がつく。
 し、死にそうだ!

 軽くシャワーを浴びると、身支度を済ませ学園へと向かう。
 学食なら何か食えるだろ。



 学食は狙い通り開いていた。
 近づくほどに、美味しそうな匂いが空腹を刺激する。

 ダッシュで中に入り、オリジナルうどんを注文する。
 この学食は料理の完成が早い!

 頼んで一分もあれば、完成して出てくる。
 この世界にも、うどんがあって正直助かった。

 この島に来てまだ数日だが、この学食は二度目。
 教えてくれたクリムには感謝しないとな。

 完成したうどんを手に、どこで食べようか周りを見ていると、知った顔を見つけた。


 「リッシュじゃないか。隣で食ってもいい?」

 「おう大樹か、もちろん構わないぜ。こんな朝早くにどうしたんだ?」


 俺は昨日クリムと特訓し、疲れて飯を食べずに寝たことを説明した。


 「クリムさんと特訓だって!? 大樹、来たばかりだから知らないと思うが、彼女は凄い人気者なんだぞ? 妬まれても知らんからな」

 「そ、そんなに言うほどなのか?」

 「そうだとも、彼女の周りには、常に固定のファンが付いているとも。なんでもファンクラブがあるなんて言う噂も」


 俺の想像していた以上に、クリムはすごいんだな。
 なのに俺に時間を使わせて申し訳ない。


 「……妬まれるのは嫌だな」

 「だろ? だからな、言いふらさないほうが身のためだぞ」


 言いふらすつもりはないが、気をつけよう。



 うどんも食べ終わり、食後の運動として学園内をまわった後、教室へ向かった。
 中に入ると、すでにクリムとフローラは仲良く話している。

 「二人ともおはよう。今日は朝から学食行ってたよ」

 「おはようございます。今朝は大樹さんがいなくて驚いちゃいました。……お腹が空いてたんですね」


 フローラとは、一緒に学園に行くように決めていたので、驚かせちゃったな。

 すると、フィア先生が教室に入り授業の開始を告げる。



 今日の最後の授業は実践形式。
 初日に見たような、実際に魔法を使うものだ。


 「大樹さんとフローラさんは私の方に。後のみんなは、それぞれ得意魔法に磨きをかけてください」


 フィア先生がそう言うと、各自魔法を唱えたり、仲間内で相談を始める。


 「あの、先生。私たちはどうしたら」

 「あなたたちに魔力があることがハッキリしたので、みんなとは別メニューで授業していきます。そうですね、やはり基本からいきましょうか」


 そういうことか。
 俺にも魔力があったんだから、本格的に授業に参加できると。
 クリムとの訓練もあるし、早く覚えられるかも。



 それからしばらく。
 最初は魔力を感じるところからだった。
 正直俺は、まだ魔力を感じられない。

 クリムはどこにでもあると言っていたが、いまいち感じられない。
 それに、自分の中の魔力に関しても似たような状況だ。


 「これがわかると、魔法を使えるまでに時間はかかりませんよ」


 慌てずじっくりと、そう先生は言ってくれる。
 まぁ、そもそも俺の魔力は少ないらしいしな。
 慌てたってしょうがないか。

 すると、俺と同じトレーニングをしていたフローラが突然。


 「あの先生、私なんとなくですが感じられたかもしれません。それに、魔法が使えるような気も……」


 それを聞いた先生は少し驚いたように。


 「本当ですか、フローラさん。それでは初級魔法をやってみましょうか」

 「えっと、どのようにしたら」


 先生がフローラに、フォイアの魔法について説明する。

 っといけない!
 俺は俺でちゃんとしなければ。
 気持ちを切り替えようとしたその時。


 「……フォイア!」


 フローラが魔法を唱えると、まだ小さいながらも火を出現させる。

 魔法陣のようなものもしっかり出ていて、改めて魔法だとわかる。
 こんな短時間で使えるようになるのか?

 魔法を使った本人、フローラ自身も驚いているように見える。


 「フローラさんやりましたね。この調子で残りの二つも使えるようになりましょう。少し早かったですけどね」


 魔力検査の時にわかったことだけど、改めてフローラにはすごい力があるんだと思い知らされた。
しおりを挟む

処理中です...