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屋上には!

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 ユラ先生と別れて少し経ち、中等部を探索。
 目新しいものがあるわけではないが、何となく新鮮に見えるのは不思議だな。


 「図書室か」


 何となく興味が湧き、最後に残しておいた図書室。
 魔法の世界について、少しでも知っておきたい。


 ガラガラッ。
 スライド式のドアを開け中に入ると、日本の学校と変わらないような感じ。

 もっとこう、本が浮いてたりを期待したんだけど。
 流石にそんなことはなかった、意味ないしね。


 「う~ん、広いなぁ」


 学校用というよりも、図書館というべきか。
 それくらい中は広く、本の数も多そうに見える。

 とりあえず今日は軽く見て行こうかな。
 本は手に取らず、室内を軽く探索してみることにした。



 数分が経ち、室内を一周する。
 面白そうな本もあったし、また来たくなるような図書室だ。
 中等部の手伝い中に読めるかどうかは、わからないけど。


 「これで全部かな……あっ、そう言えば」


 一ヶ所だけ行き忘れてた。
 屋上だ。
 リフレッシュのために、生徒も使えるようになっているそう。

 日本だと禁止の場所も多いだろうけど。
 何となく気になり、屋上へ向かってみた。


 「う~ん、これは気持ちいい風だなぁ。リフレッシュ出来るかも」


 中等部は三回建と高くないが、不思議といい風が吹いてきて気持ちがいい。
 あんまり高すぎても怖いだけかもしれないが。


 「ん? あれは」


 屋上には、座れるようイスが用意されているらしい。
 ただ、そこには先客がいるようで、すでに女の子が寝ていた。

 中等部の制服を着ているから、ここの生徒なんだろうが。
 今はまだ授業中のはず。

 近寄っていくと、気配に気がついたのか女の子は突然起き上がり。


 「……誰!?」

 「ワッと! えー、今日から依頼を受けて来た先生の補佐的な役です」


 驚きで早口になってしまう。
 すると女の子は溜息をついて。


 「私に授業受けるよう、言いに来たの?」

 「ん? よくわからないけど違うよ。仕事は明日からだし。でも、君がどうしてこんなところにいるかは、少しだけ気になるかな」


 俺の言葉に女の子はホッとしたのか、再び横になる。


 「連れ戻しに来たんじゃないなら別にいいや。明日から頑張ってね」


 それだけ言って、また寝始めてしまう。
 う~ん、色々気になるが、いきなり起こしても良くないし、出来ることはないだろう。

 俺はその場を去り、一日目の中等部生活を終えた。
 明日からが本番だ、緊張で眠れるか心配になるなぁ。
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