氷結の正義〜少女は悪を許さない〜

大吉祭り

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美食の町の前に

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 シルフィーの提案でエールを目指す私たちは、その途中にあると言うフーへ向かう。

 美食の街というエールは、みんなには内緒だけど私も楽しみにしている。
 魔法の本を探すのはもちろんだが、美味しいものも食べたい。

 お金ももらったばかりだし。


 「あっ、あれがフーの町じゃないでしょうか」


 シルフィーに言われて見てみると、煙が見える。
 時間はお昼になった頃。
 ご飯を作っているところって感じかな。


 「そう言えばシルフィーよ。そのフーと言うところから、エールまでは近いのか?」


 リーダーの問いにシルフィーは少し考えて。


 「そこまで遠くはないでしょうが、近くもないかと。歩いて三時間くらいと聞きましたが」


 「さ、三時間……」


 シルフィーの答えにシェルは膝から崩れ落ちる。
 どうやら空腹だったのだろう。


 「シェル、あんたお腹空いたの我慢して、エールで食べようとしてた?」


 私の問いかけに、崩れたままのシェルは黙って頷く。


 「俺もさすがに我慢できそうにないなぁ。仕方ない、エールの前にフーで軽く食事をしていくか」


 リーダーの提案に、反対するものはいなかった。



 「おいおい、この店の料理うまいぞ!?」


 さっきまで黙っていたシェルが、運ばれてきた料理を一口食べて回復する。
 ……どれだけ腹を空かせていたのか。


 「これは確かに美味いな。しかもメニューの値段を見て驚きだ。俺たちのギルド付近の店と比べてもかなり安い。これは一体」

 「恐らくですけど、この先にエールがあるからではないでしょうか」


 リーダーの質問にシルフィーが答える。


 「なるほどなぁ。この辺りは食にうるさいのかもしれない。競争もあるだろうが」


 こうして私たちは、フーの町で食事を堪能する。
 全員が満足したのは、食べ始めてから二時間後のことだった。


 「ふ~、流石にもう食べれないな」

 「あんたは食べ過ぎ」


 満足そうに腹をさするシェルの前には、私の三倍近くの皿が積み重なっている。
 いくら安くても食べ過ぎだ。


 「さぁて、そろそろエールを目指すかな。店員を呼んでくれ」


 リーダーに言われて店内を見回すが、店員の姿が見えない。


 「仕方ないから、ちょっと探してくる。厨房の方に行けば誰かいるだろうしね」

 「そうか、フィオーラ任せたぞ」


 私が厨房の方へ向かうと、ようやく店員の姿を見つけた。
 だけどどこか慌てているようで。


 「あの、店員さん。お会計の方をお願いしたいんだけど」


 すると店員は。


 「あ、ありがとうございました。今から向かいますので」


 言いながらも店員はソワソワしている。


 「何かあったの? さっきから忙しそうに見えるけど」

 「そのですね、実は……」


 店員の話によると、明日以降の食材の確保に問題が起きたらしい。
 特に自慢の料理である鳥が確保できないと。


 「その理由なんですけど、ここ最近現れたハンターのせいだと」

 「ハンター」


 さらに話を聞くと、そのハンターは美味しくて有名であるその鳥だけを狙い、独断で狩りをしているそう。
 そのせいで店に流れてくるはずなのに、入手できず困っていると。


 「これでは明日からメイン料理が作れません。困りました」

 「でも多少はストックあるでしょ? それもないほど貴重なの?」


 私の質問に店員は困った顔をして。


 「ある程度ストックしてたんですが、先ほどお客様に食べられまして」

 「食べたって……あっ!?」


 私たちのことか。
 たち、というよりもリーダーとシェルね。
 あれだけ食べられるとは思わなかったのだろう。


 「店員さん、少し待ってて」


 私はそう言い残し、みんなの待つテーブルへ。
 そして。


 「みんな、もう少しこの町にいることにした。そして男二人、あんたたちは今すぐハンターを見つけて懲らしめなさい」
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