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14.ヤンキーくんと愉快な仲間たち
「あ~~! よく寝た!」
電車を降り、俺はホームでぐうっと背筋を伸ばした。同じ体勢で眠っていたせいか、体がちょっと痛い。だけど、首は支えてもらっていたこともあって、あまり痛くなかった。
「ごめんね、夜鷹くん。ずっと寝ちゃって……」
「それだけ眠かったんだろ。それに俺も途中で一瞬寝たし……。それより寝言の方、気ィつけろ」
「寝言……? もしかして俺、変なこと言ってた!?」
「さぁ? どうだろうな」
ニヤリと三島くんが悪い顔で笑って、階段を降りていく。
どうしよう。変なことを言っていたのでは……と、俺はサァと顔を青くした。
「教えて、って言っても教えてくれないよね……?」
「言ったらお前、泡吹いて倒れると思う」
「そんなにヤバイこと言ってたの!?」
なんだろう。ますます気になるけれど、三島くんがくつくつと笑うから、追求しないことにした。たぶん、よっぽどおかしなことを言ってしまったのだろう。恥ずかしいけれど、笑ってくれるのならそれでいいやとも思う。
「なぁ、紘。腹減ったからなんか食わねぇ?」
「お昼、食べたのに?」
「パンなんて、食べたうちに入んねぇだろ」
どうやらパンだけでは彼の胃袋を満たせなかったらしい。改札を出てすぐのところにある駅前のファーストフード店でポテトやハンバーガーなどを注文することにした。
「やっぱこれだよなぁ」
三島くんが大きな口を開けて、ハンバーグとバンズがダブルになった、ボリュームのあるハンバーガーに齧り付く。勢いがあったせいで、ソースがはみ出していた。
「うおっ」
「ここ、溢れそう」
見ていられなくて紙ナプキンを差し出すも、ハンバーガーは手が汚れてなんぼだと言わんばかりに、三島くんはパクパクと三口くらいで半分ほど食べた。
「そんなに食べたら夜ご飯食べられなくない?」
「夜は別腹」
「そう……」
俺はと言うと、ポテトをちまちまつまむ程度である。見ているだけでお腹いっぱいそう……と豪快に食べ進めていく三島くんを見ていたのだが、あろうことか口元にハンバーガーを押し付けられた。
「な、なに?」
「いや、見てるから食いたいのかと」
ナチュラルに差し出されたが食べかけだ。どうするべきか迷っていると、さらに差し出されたので、躊躇いがちに端っこの方を一口齧った。
「……ありがとう。美味しいね」
よく食べ慣れた味ではあるものの、こうして誰かと一緒に食べるとなんでも美味しく感じる。
俺たちは数分とかからずポテトやハンバーガーを食べきると、食休みもそこそこに近くの駅ビルに移動した。
「結構、学生いるね」
「時間も時間だしな」
高校を出てから電車に乗り、此処へ来るまでに数時間と経っている。既に時刻は夕方だった。
地元の駅より栄えていることもあり、そもそも人が多いことに加えて夕方なのも後押しし、学校終わりの学生でごった返している。
俺たちは人混みをかき分け、鞄などが売っている店に入った。
「大きさ、どれくらいがいいんだろう……」
「これは?」
「いいね、それ。大きすぎず、小さすぎずで」
三島くんが勧めてくれたのは手持ちのボストンよりも一回り大きいものだった。これなら、防寒具などを入れたらちょうどよいかもしれない。
手に取ってみると、軽くて持ちやすかった。おまけに価格もそこまで高くなく、手が出しやすい。
「これいいかも」
「俺もこれにすっかな」
ちょうど、カラー展開も豊富だ。三島くんは黒を、俺は青を選んだ。あっさりと旅行用の鞄が決まり、次はスポーツ用品やキャンプ用品が売っている店を目指す。
防寒用に風を通さないウィンドブレーカーが欲しいなと思ってのことだったが、スポーツ用品店は部活帰りの学生で賑わっていた。そんな中、商品を手にしながら見ていると、男子高校生の集団に声を掛けられた。
「あれ、タカじゃん」
「なんでこんなとこいんの?」
見知らぬ生徒が三島くんに声をかける。予想通りというべきか、お約束というべきか。彼等の髪も金髪や茶髪でド派手だった。ピアスを開けている生徒もいれば、もはや原型を留めていないレベルで制服を着崩している生徒もいる。
「あー……そういやぁ、ここ、北高近いんだっけか」
三島くんがポツリと言う。北高と聞いてすぐに、中学校のときに仲が良かった生徒たちなのではと合点がいった。
「なに? 買い物?」
「まぁ、そんな感じ」
「つーか、お前、緑桜行ってから全然遊んでくんなくなったよな」
「こっちは授業サボれねぇんだよ。毎回、昼間に連絡しやがって」
「だってー。タカちゃん、構ってくんねぇから」
「ちったぁ、真面目に授業出ろよ、お前等。留年するぞ……」
三島くんが呆れたようなため息をつく。
こんな彼は今まで見たことがない。クラスでひとりぽつねんと椅子に座っているときはいつも眉間に皺が寄っているし、六堂と絡むときはうるせぇ! と言いつつもなんだかんだ同じテンションで言い合いをしている。孝晃と絡むときはいつも喧嘩腰で、先輩たちの前だとどちらかというと揶揄われているときが多い。だから、彼等の前では淡々と兄のようなポジションで接していることに驚いた。そんな三島くんのことをみんな慕っているのか、は~いと返事をしている。
「で、誰? その子」
「あっ、えっと……」
突然、水を向けられて、俺は焦って一歩引いた。
これは絶対、彼等と系統が違うから奇異の目で見られているやつだ。学校で散々、そんな目で見られてきたから分かる。
「可愛い子じゃん!」
「か、かわっ……?」
「俺等と全然、ちげータイプ。なに、イジメてんの? 君、タカに無理やり付き合わされてるんなら逃げなね。俺等、協力するから」
ひとりが俺の肩に手を回す。身長差があるのと、見た目がゴツいせいか、久々に恐怖で身がすくんだ。
「ンなわけあるか!! こいつとは友だちだわ。つーか、怖がるから離してやれ」
三島くんに腕を引かれ、見知らぬヤンキーから救い出される。その一部始終を見ていた別のヤンキーが笑った。
「お前も同じ見た目じゃん!」
「それな! 怖がるから離してやれって」
「君も怖いよなぁ?」
同意を求められて、なんて返すべきか分からず口をきゅっと引き結ぶ。というより、若干の恐怖で喉から声がでなかった。だけど、怖くないことだけは伝えようと、ふるふると首を振る。
「怖くねーってよ」
「ドヤんな」
「それ」
「つか、もう突っかかってくんな。俺たち、買い物してんだよ」
「はいはい、デートの邪魔はしません~」
「あ゛?」
三島くんがドスの利いた声を出す。茶化されていると分かっていても、下世話な方向にネタにされるのは嫌だったのだろう。三島くんが見たこともない顔で凄んでいた。
「こわっ」
「そんなガチになんなって~」
「じゃあな、タカ! また俺等とも遊んでね」
集団がぞろぞろと店を出ていく。三島くんはホッと胸を撫で下ろすと、申し訳無さそうな顔で俺に悪かったと謝った。
「ううん。大丈夫だよ。ちょっとびっくりしたけど……」
「アイツ等、すぐ人に絡むから。でも悪い奴等じゃねぇから、許してくれると嬉しい」
「もちろん! 夜鷹くんの友だちだもん。いずれは俺のこともまたちゃんと紹介してよ」
そう言えば、三島くんが面食らった顔をする。見開いた目をすぐに細めると、優しい声で分かったと言ってくれた。さっきのドスの利いた声が嘘みたいだ。
「……お前、本当にいい奴だよな」
「そうかな?」
自覚はないけれど、そんなふうに評価してくれているのだとしたら嬉しい。
俺たちは一度中断していた買い物を再開すると、俺はウィンドブレーカーを、三島くんはタオルやら靴下やらを買って、その日は最後まで三島くんと遊んだ。
電車を降り、俺はホームでぐうっと背筋を伸ばした。同じ体勢で眠っていたせいか、体がちょっと痛い。だけど、首は支えてもらっていたこともあって、あまり痛くなかった。
「ごめんね、夜鷹くん。ずっと寝ちゃって……」
「それだけ眠かったんだろ。それに俺も途中で一瞬寝たし……。それより寝言の方、気ィつけろ」
「寝言……? もしかして俺、変なこと言ってた!?」
「さぁ? どうだろうな」
ニヤリと三島くんが悪い顔で笑って、階段を降りていく。
どうしよう。変なことを言っていたのでは……と、俺はサァと顔を青くした。
「教えて、って言っても教えてくれないよね……?」
「言ったらお前、泡吹いて倒れると思う」
「そんなにヤバイこと言ってたの!?」
なんだろう。ますます気になるけれど、三島くんがくつくつと笑うから、追求しないことにした。たぶん、よっぽどおかしなことを言ってしまったのだろう。恥ずかしいけれど、笑ってくれるのならそれでいいやとも思う。
「なぁ、紘。腹減ったからなんか食わねぇ?」
「お昼、食べたのに?」
「パンなんて、食べたうちに入んねぇだろ」
どうやらパンだけでは彼の胃袋を満たせなかったらしい。改札を出てすぐのところにある駅前のファーストフード店でポテトやハンバーガーなどを注文することにした。
「やっぱこれだよなぁ」
三島くんが大きな口を開けて、ハンバーグとバンズがダブルになった、ボリュームのあるハンバーガーに齧り付く。勢いがあったせいで、ソースがはみ出していた。
「うおっ」
「ここ、溢れそう」
見ていられなくて紙ナプキンを差し出すも、ハンバーガーは手が汚れてなんぼだと言わんばかりに、三島くんはパクパクと三口くらいで半分ほど食べた。
「そんなに食べたら夜ご飯食べられなくない?」
「夜は別腹」
「そう……」
俺はと言うと、ポテトをちまちまつまむ程度である。見ているだけでお腹いっぱいそう……と豪快に食べ進めていく三島くんを見ていたのだが、あろうことか口元にハンバーガーを押し付けられた。
「な、なに?」
「いや、見てるから食いたいのかと」
ナチュラルに差し出されたが食べかけだ。どうするべきか迷っていると、さらに差し出されたので、躊躇いがちに端っこの方を一口齧った。
「……ありがとう。美味しいね」
よく食べ慣れた味ではあるものの、こうして誰かと一緒に食べるとなんでも美味しく感じる。
俺たちは数分とかからずポテトやハンバーガーを食べきると、食休みもそこそこに近くの駅ビルに移動した。
「結構、学生いるね」
「時間も時間だしな」
高校を出てから電車に乗り、此処へ来るまでに数時間と経っている。既に時刻は夕方だった。
地元の駅より栄えていることもあり、そもそも人が多いことに加えて夕方なのも後押しし、学校終わりの学生でごった返している。
俺たちは人混みをかき分け、鞄などが売っている店に入った。
「大きさ、どれくらいがいいんだろう……」
「これは?」
「いいね、それ。大きすぎず、小さすぎずで」
三島くんが勧めてくれたのは手持ちのボストンよりも一回り大きいものだった。これなら、防寒具などを入れたらちょうどよいかもしれない。
手に取ってみると、軽くて持ちやすかった。おまけに価格もそこまで高くなく、手が出しやすい。
「これいいかも」
「俺もこれにすっかな」
ちょうど、カラー展開も豊富だ。三島くんは黒を、俺は青を選んだ。あっさりと旅行用の鞄が決まり、次はスポーツ用品やキャンプ用品が売っている店を目指す。
防寒用に風を通さないウィンドブレーカーが欲しいなと思ってのことだったが、スポーツ用品店は部活帰りの学生で賑わっていた。そんな中、商品を手にしながら見ていると、男子高校生の集団に声を掛けられた。
「あれ、タカじゃん」
「なんでこんなとこいんの?」
見知らぬ生徒が三島くんに声をかける。予想通りというべきか、お約束というべきか。彼等の髪も金髪や茶髪でド派手だった。ピアスを開けている生徒もいれば、もはや原型を留めていないレベルで制服を着崩している生徒もいる。
「あー……そういやぁ、ここ、北高近いんだっけか」
三島くんがポツリと言う。北高と聞いてすぐに、中学校のときに仲が良かった生徒たちなのではと合点がいった。
「なに? 買い物?」
「まぁ、そんな感じ」
「つーか、お前、緑桜行ってから全然遊んでくんなくなったよな」
「こっちは授業サボれねぇんだよ。毎回、昼間に連絡しやがって」
「だってー。タカちゃん、構ってくんねぇから」
「ちったぁ、真面目に授業出ろよ、お前等。留年するぞ……」
三島くんが呆れたようなため息をつく。
こんな彼は今まで見たことがない。クラスでひとりぽつねんと椅子に座っているときはいつも眉間に皺が寄っているし、六堂と絡むときはうるせぇ! と言いつつもなんだかんだ同じテンションで言い合いをしている。孝晃と絡むときはいつも喧嘩腰で、先輩たちの前だとどちらかというと揶揄われているときが多い。だから、彼等の前では淡々と兄のようなポジションで接していることに驚いた。そんな三島くんのことをみんな慕っているのか、は~いと返事をしている。
「で、誰? その子」
「あっ、えっと……」
突然、水を向けられて、俺は焦って一歩引いた。
これは絶対、彼等と系統が違うから奇異の目で見られているやつだ。学校で散々、そんな目で見られてきたから分かる。
「可愛い子じゃん!」
「か、かわっ……?」
「俺等と全然、ちげータイプ。なに、イジメてんの? 君、タカに無理やり付き合わされてるんなら逃げなね。俺等、協力するから」
ひとりが俺の肩に手を回す。身長差があるのと、見た目がゴツいせいか、久々に恐怖で身がすくんだ。
「ンなわけあるか!! こいつとは友だちだわ。つーか、怖がるから離してやれ」
三島くんに腕を引かれ、見知らぬヤンキーから救い出される。その一部始終を見ていた別のヤンキーが笑った。
「お前も同じ見た目じゃん!」
「それな! 怖がるから離してやれって」
「君も怖いよなぁ?」
同意を求められて、なんて返すべきか分からず口をきゅっと引き結ぶ。というより、若干の恐怖で喉から声がでなかった。だけど、怖くないことだけは伝えようと、ふるふると首を振る。
「怖くねーってよ」
「ドヤんな」
「それ」
「つか、もう突っかかってくんな。俺たち、買い物してんだよ」
「はいはい、デートの邪魔はしません~」
「あ゛?」
三島くんがドスの利いた声を出す。茶化されていると分かっていても、下世話な方向にネタにされるのは嫌だったのだろう。三島くんが見たこともない顔で凄んでいた。
「こわっ」
「そんなガチになんなって~」
「じゃあな、タカ! また俺等とも遊んでね」
集団がぞろぞろと店を出ていく。三島くんはホッと胸を撫で下ろすと、申し訳無さそうな顔で俺に悪かったと謝った。
「ううん。大丈夫だよ。ちょっとびっくりしたけど……」
「アイツ等、すぐ人に絡むから。でも悪い奴等じゃねぇから、許してくれると嬉しい」
「もちろん! 夜鷹くんの友だちだもん。いずれは俺のこともまたちゃんと紹介してよ」
そう言えば、三島くんが面食らった顔をする。見開いた目をすぐに細めると、優しい声で分かったと言ってくれた。さっきのドスの利いた声が嘘みたいだ。
「……お前、本当にいい奴だよな」
「そうかな?」
自覚はないけれど、そんなふうに評価してくれているのだとしたら嬉しい。
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