私はバーで強くなる

いりん

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第5章 ジントニック

課長と奥さん2

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近くの定食屋さんに2人で行き、
注文して料理を待った。

「あの、主人が本当迷惑かけました」

ー注文してすぐに謝られた。
奥様の性格からして、怒ったりはしないと思っていたが、まさか謝られるとは。

課長とは全然違う。

「い、いえ。」

「佐々木さんは色々大変だったと思います。

それなのに、
私が会社に行くと優しくしてくれて…本当救われました」

「そんなお礼言われることしていませんよ。
みなさんで引っ越しされるんですか?」

「いや、主人だけ単身赴任にすることにしました。
私と子供はこっちに残ります。

今回の異動は、私にとっては都合が良くて」

「え??」

「実は私、ずっと離婚を考えていて…

佐々木さんは知っているかもなのですが、
主人は女癖酷くてね。
もうとっくに気持ちは冷めているんです」

「そうだったんですね」

「でも子育てにお金はかかるので、今すぐに離婚は考えてなくて。
主人今までは給料は稼いでくれたので、貯金はあるんですよ」

ー何て答えていいのかわからず、無言になってしまった。
ただずっと思っていた返答ではなく、少し唖然としてしまった。

「すみません、自慢みたいですよね。
離婚したかったので、色んなもの我慢して貯金ばっかりしたんてす」

「自慢なんて思わないですよ。
奥さんの努力の結果です」

「…ありがとうございます。
今回を機に、子供も大きくなってるし働いたり自立しようと思って。
正直夫がいない方が家事が減って楽なんですよね」

「確かに食事とか人数少ない方が楽ですよね」

『可哀想』

ーそんな風に、
以前奥様に対して思っていた自分が恥ずかしかった。

こんなにも強い人だったんだな。

「そうなんですよ、
あの、もし宜しければ…また食事とかしてもらえませんか?」

ー奥様がおそるおそる尋ねてきた。

今までは優しそうなところが好きだったが、
強いところも知って、
私自身もっとお話してみたくなった。

「私で良ければ喜んで」

そう言ってお互い連絡先を交換した。
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