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気まずい帰り道
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「ありがとうございます。」
彼女――山口 メリサさん(本日オーディションの最終面接で面接する相手)に傘を買ってもらったのだが…。行き先が一緒だからずっと、同じ道なんだけど。どうすれば良いんでしょうか?
遠回りもあるけど、わたしは、事務所の金庫室にこもらないとだし。この後も、色々とカメラとか準備しないとだし……しょうがないよね?
結局、事務所の前までずっと同じ道を歩んでしまった。後ろのメリサさんは、面接に緊張しているのかずっと、スマホばかり見ている。
さっき傘をもらった時に見えたけど、メモアプリに面接での受け答えを書いているようだ。
ゆっくりと全面ガラス張りの、後付けの手動扉を開く。
「おかえり、結愛ちゃん。」
チセさんが、手を挙げて笑いかけてくれる。社長はもう、会議室(パーテーションで区切られた空間)のセッティングに取り掛かっているのだろう。
メリサさんは、きっと予定時間の5分前にウチの事務所に入ってくるつもりなのだろうか?まだ、三十分前だけど…外で待つつもりなのかな?。外は雨で寒そうだし。
わたしは、急いで社長にメリサさんのことを伝えに言った。
「社長!お話があります。」
「はい!なんですかね?結愛。」
まるで、教師ごっこのような受け答えを返してくれた。
「コンビニで、今日面接予定のメリサさんに会いました。」
「え?『アマネさんですか?』みたいな確認された?しっかりと否定してきた?まだ、炎上だけはごめんだよ。」
「いえ。話しかけられたんですけど…。わたし自分の傘誰かに取られちゃって。それで、子どもが傘ささずに帰るのは、身体に悪いって傘を買ってもらっただけです。」
「そうか。それなら、良かった。それで?どうしたの?まさか…。」
「はい!そのとおりです。彼女、いま寒い外でずっと待ってるので、少し前倒して、面接をするか、事務所の中に入れてあげられませんか?」
社長は少し顔にシワを作ると、
「リン!チセ!片付けは終わったか?」
確認を取った。もちろん、答えは「終わってますっ!」というものだった。(弱々しく、ユーゥさんが、俺もいますよ…。と、存在をアピールする)
「じゃあ、前倒しするか。結愛は、金庫室に居てね。」
「分かってますよ。」
答えるとすぐに、パソコンを事前に持ち込んだ金庫室に入る。カラッ、カラッ。扉についた呼び鈴のようなものが音を立てた。
最終面接の始まりだ。
***
「はじめまして。山口 メリサと申します。本日は、わたしの面接にお時間をさいていただき、ありがとうございます。」
「こちらこそ、ゴメンね。勝手に前倒ししちゃって。そんな、硬くならなくていいよ。緊張する必要はないから。」
社長はいつもの対応の仕方で彼女を落ち着ける。しかし、真っ直ぐ背筋が伸びた姿勢は変わることはない。
「それで、メリサさんは、なぜVTuber志望したのですか?理由をお聞かせください。」
背筋を伸ばしながら、彼女は深く深呼吸をした。
「はい。私は、御社の0期生である夢風天心さんの配信を見て、VTuberの可能性を知りました。
元々、VTuberは二次元のものだと思っていたので、活動をするにも活動形態が縛られてそんな自由に行動できないと思っていました。
しかし、アマネさんの配信を見てそんなことはないんだ、と感じました。ダンジョン配信者は、実写で配信をしなければならないという黙読のルールを破ったのがアマネさんでした。
わたしもこんなふうに活動をしたい。
そう、強く思い、御社の募集に参加しました。」
『わたしもこんなふうに活動をしたい』
彼女の言葉がわたしの心にゆっくりと染み渡ったていく。心が少し温かくなるような、カイロのような温度が、わたしを安心させていく。
彼女の動画で見た悔しさとは違う、感情に少しの間、困惑した。そして、嬉しさを噛み締めていた。
わたしの配信の感想を始めての聞けたからである。誰かの希望になれた。それだけで、この活動に価値があったのだと自信が持てる。
「熱い思いをありがとう。それで、君はどんなVTuberになりたいの?ウチのアマネみたいにダンジョン配信者をやりたい?」
「ダンジョン配信者という名前はふさわしくないですが…。普段は、普通にゲーム実況や、雑談、朝活配信などをしたいと考えています。
しかし、これは…。その…。個人的なんですが。
アマネさんとのダンジョン配信コラボがしたいです。
アマネさんには負けますが…。わたしのSkillは、天災(上から二番目)の位を受け取っていて、望めばダンジョン配信者としての活動は可能です。」
その言葉ご発せられた瞬間、事務所の事務室からガタッと、物が倒れる音が聞こえた。厄災(上から3番目)のSkillを持っているユーゥさんには、ダメージが大きかったようだ。
「それなら、なんでダンジョン配信者はやらなかったの?アマネとは、コラボダンジョン配信したいんでしょ?」
「それは、わたしのSkillが戦闘向きではないからです。『ダンジョン配信者になれる』というのは、誰かと手を組めばという意味です。
わたしのSkillは、【未来が見える】というものです。"予知夢"という名前がついていますが…。ただ見えるだけで、変えることはできません。
しかし、魔物の動きをかわす時や、普段の生活には役に立つことが多いSkillです。
私は、アマネさんと手を組んでダンジョン配信者になりたいと思ってます。どうか、その夢を叶わせてくれませんか?」
一気に直角、90度に身体を曲げる。見事なお辞儀だった。(けっこうな、ファンだな。)と、内心アマネこと、結愛も思うのだが、一番の反応が意外だったのは、社長だ。
「よし、いいね。君。ウチの事務所に来る?」
「え?」
「は?」
「マジなのだ?」
事務所にいる人々が即座に反応する。わたしも、つい「え?」と、声が漏れてしまった。
社長は、構わず続ける。
「ようこそ!山口 メリサさん!事務所Leliveへ。一緒に楽しく活動していきましょう!」
「はい!」
彼女は喜んで、社長の手を取った。
彼女――山口 メリサさん(本日オーディションの最終面接で面接する相手)に傘を買ってもらったのだが…。行き先が一緒だからずっと、同じ道なんだけど。どうすれば良いんでしょうか?
遠回りもあるけど、わたしは、事務所の金庫室にこもらないとだし。この後も、色々とカメラとか準備しないとだし……しょうがないよね?
結局、事務所の前までずっと同じ道を歩んでしまった。後ろのメリサさんは、面接に緊張しているのかずっと、スマホばかり見ている。
さっき傘をもらった時に見えたけど、メモアプリに面接での受け答えを書いているようだ。
ゆっくりと全面ガラス張りの、後付けの手動扉を開く。
「おかえり、結愛ちゃん。」
チセさんが、手を挙げて笑いかけてくれる。社長はもう、会議室(パーテーションで区切られた空間)のセッティングに取り掛かっているのだろう。
メリサさんは、きっと予定時間の5分前にウチの事務所に入ってくるつもりなのだろうか?まだ、三十分前だけど…外で待つつもりなのかな?。外は雨で寒そうだし。
わたしは、急いで社長にメリサさんのことを伝えに言った。
「社長!お話があります。」
「はい!なんですかね?結愛。」
まるで、教師ごっこのような受け答えを返してくれた。
「コンビニで、今日面接予定のメリサさんに会いました。」
「え?『アマネさんですか?』みたいな確認された?しっかりと否定してきた?まだ、炎上だけはごめんだよ。」
「いえ。話しかけられたんですけど…。わたし自分の傘誰かに取られちゃって。それで、子どもが傘ささずに帰るのは、身体に悪いって傘を買ってもらっただけです。」
「そうか。それなら、良かった。それで?どうしたの?まさか…。」
「はい!そのとおりです。彼女、いま寒い外でずっと待ってるので、少し前倒して、面接をするか、事務所の中に入れてあげられませんか?」
社長は少し顔にシワを作ると、
「リン!チセ!片付けは終わったか?」
確認を取った。もちろん、答えは「終わってますっ!」というものだった。(弱々しく、ユーゥさんが、俺もいますよ…。と、存在をアピールする)
「じゃあ、前倒しするか。結愛は、金庫室に居てね。」
「分かってますよ。」
答えるとすぐに、パソコンを事前に持ち込んだ金庫室に入る。カラッ、カラッ。扉についた呼び鈴のようなものが音を立てた。
最終面接の始まりだ。
***
「はじめまして。山口 メリサと申します。本日は、わたしの面接にお時間をさいていただき、ありがとうございます。」
「こちらこそ、ゴメンね。勝手に前倒ししちゃって。そんな、硬くならなくていいよ。緊張する必要はないから。」
社長はいつもの対応の仕方で彼女を落ち着ける。しかし、真っ直ぐ背筋が伸びた姿勢は変わることはない。
「それで、メリサさんは、なぜVTuber志望したのですか?理由をお聞かせください。」
背筋を伸ばしながら、彼女は深く深呼吸をした。
「はい。私は、御社の0期生である夢風天心さんの配信を見て、VTuberの可能性を知りました。
元々、VTuberは二次元のものだと思っていたので、活動をするにも活動形態が縛られてそんな自由に行動できないと思っていました。
しかし、アマネさんの配信を見てそんなことはないんだ、と感じました。ダンジョン配信者は、実写で配信をしなければならないという黙読のルールを破ったのがアマネさんでした。
わたしもこんなふうに活動をしたい。
そう、強く思い、御社の募集に参加しました。」
『わたしもこんなふうに活動をしたい』
彼女の言葉がわたしの心にゆっくりと染み渡ったていく。心が少し温かくなるような、カイロのような温度が、わたしを安心させていく。
彼女の動画で見た悔しさとは違う、感情に少しの間、困惑した。そして、嬉しさを噛み締めていた。
わたしの配信の感想を始めての聞けたからである。誰かの希望になれた。それだけで、この活動に価値があったのだと自信が持てる。
「熱い思いをありがとう。それで、君はどんなVTuberになりたいの?ウチのアマネみたいにダンジョン配信者をやりたい?」
「ダンジョン配信者という名前はふさわしくないですが…。普段は、普通にゲーム実況や、雑談、朝活配信などをしたいと考えています。
しかし、これは…。その…。個人的なんですが。
アマネさんとのダンジョン配信コラボがしたいです。
アマネさんには負けますが…。わたしのSkillは、天災(上から二番目)の位を受け取っていて、望めばダンジョン配信者としての活動は可能です。」
その言葉ご発せられた瞬間、事務所の事務室からガタッと、物が倒れる音が聞こえた。厄災(上から3番目)のSkillを持っているユーゥさんには、ダメージが大きかったようだ。
「それなら、なんでダンジョン配信者はやらなかったの?アマネとは、コラボダンジョン配信したいんでしょ?」
「それは、わたしのSkillが戦闘向きではないからです。『ダンジョン配信者になれる』というのは、誰かと手を組めばという意味です。
わたしのSkillは、【未来が見える】というものです。"予知夢"という名前がついていますが…。ただ見えるだけで、変えることはできません。
しかし、魔物の動きをかわす時や、普段の生活には役に立つことが多いSkillです。
私は、アマネさんと手を組んでダンジョン配信者になりたいと思ってます。どうか、その夢を叶わせてくれませんか?」
一気に直角、90度に身体を曲げる。見事なお辞儀だった。(けっこうな、ファンだな。)と、内心アマネこと、結愛も思うのだが、一番の反応が意外だったのは、社長だ。
「よし、いいね。君。ウチの事務所に来る?」
「え?」
「は?」
「マジなのだ?」
事務所にいる人々が即座に反応する。わたしも、つい「え?」と、声が漏れてしまった。
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