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見えない壁が見えたとき
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子供が中学生になり、バスケットボール部に入った。一年生の時、頼まれたことは、やってきたが、まったく保護者の方たちとは、関わりをもたずにすごしていた。そんな一年生の終わり頃、親の集まりがあったが、正直自分は行きたくなかった。自分以外の全員来るということで、しぶしぶ行くことにした。自分はどちらかというと、あまり人と関わりたくない人間なのだが、本当は人一倍義理人情も厚いと思う。
バスケ部の親の集まりに行って、自分がいかに何もしてこなかったのか思い知らされ、猛省した。いくら自分が関わることが嫌だからといって、みんなが大変な思いをしているのだから、そこは何もできない自分なりに、なにかしなくてはいけないと思った。
子供が二年生になる新学期からは、頑張ろうと考えた。だからこそ、一年生の頃は行ったこともなかった保護者会にも参加し、ほかの学校で行われた試合の送迎もした。そして、子供たちの様子を見る、見守りという当番も引き受けることにした。
そして、子供のバスケの試合の日、みんなが集まっているところに行き、うしろをついていった。体育館の出入口で持っていたスリッパに履き替えると、前を歩いていた子供の同級生の保護者の方がいて、あとをついて行こうとしたが、足が動かず、その場所で立ち止まってしまった。目に見えない壁がそこにはあった。
どうしようかと戸惑い立っていると、近くに三年生の保護者の方々がいて、優しく声をかけてくれた。自分のことを覚えてくれていたようで、よかったと救われた。その後、子供たちの学校の試合が始まる少し前、三年生の保護者の方たちは体育館のバスケコートのそばに移動しはじめた。自分もついて行こうかと思ったが、試合には三年生しか出ていなかったので、自分が行くのは、場違いだと感じた。
ひとりボーっと立っていたが、ここに自分がいなくてもいいんじゃないかと思え、そーっと帰ってしまおうかと考えていた。そんな時、二年生のひとりの保護者から「よろしくお願いしますね」と声をかけられた。自分は思わず「ハイ」と返事してしまった以上帰るわけにもいかず、この場所にいてもいいんだなと思った。
バスケの試合はあっけなく負け、三年生の保護者の方たちは、中から出てきた。少しすると自分の子供がやってきて、もう少しで帰れるとのことだった。三年生の保護者の方にも、「もう帰るってことは聞いてますか?」と聞かれうなずいた。しかし、本当だったら同じ学年の保護者の方が、教えてくれるはずなのに、何も言ってこないどころか、自分の横を通り過ぎても無視されているようだった。自分も、わからないことばかりで聞きたいことはいろいろあったが、何一つ聞けずにいた。どうしてなんだろうと思った。自分を寄せ付けない何かがあり、やがて、バリアーが張りめぐらせていて、跳ね返される気さえした。
帰り際、みんなが集まり、二年生の保護者の方とは離れたところにいたが、なんだか自分を寄せ付けないオーラが見えた。メラメラとしたオーラが出ていたのだ。
結局、二年生の保護者の方とは、ひとことも言葉を交わさず、なぜなんだろうと考えていた。自分から声をかけられなかったこと、どうしてなのかと思った。しばらくひとり考えていて、ハッと気づいた、すっげー嫌われてる、本当に、相当嫌われてると思った。あの半端ない自分を寄せ付けないオーラ。
何か嫌われるようなことをしたのか、いろいろ考えるがわからない。もしかして子供が一年生の時に、何もしてなかったことに腹を立てているのか。今学期からは、心を入れ替えてやろうとしていたのに、こんなにも嫌われ、心が折れてしまった。あと約二年間、部活は一年半ぐらい、これからどうするべきなんだろう・・・
考えると心が重く、この先早く時が過ぎてほしいと思うばかりだ。自分は隅っこで目立たないように小さくなっていよう。目立たず、そっとしていればいいのだろうか・・・
バスケ部の親の集まりに行って、自分がいかに何もしてこなかったのか思い知らされ、猛省した。いくら自分が関わることが嫌だからといって、みんなが大変な思いをしているのだから、そこは何もできない自分なりに、なにかしなくてはいけないと思った。
子供が二年生になる新学期からは、頑張ろうと考えた。だからこそ、一年生の頃は行ったこともなかった保護者会にも参加し、ほかの学校で行われた試合の送迎もした。そして、子供たちの様子を見る、見守りという当番も引き受けることにした。
そして、子供のバスケの試合の日、みんなが集まっているところに行き、うしろをついていった。体育館の出入口で持っていたスリッパに履き替えると、前を歩いていた子供の同級生の保護者の方がいて、あとをついて行こうとしたが、足が動かず、その場所で立ち止まってしまった。目に見えない壁がそこにはあった。
どうしようかと戸惑い立っていると、近くに三年生の保護者の方々がいて、優しく声をかけてくれた。自分のことを覚えてくれていたようで、よかったと救われた。その後、子供たちの学校の試合が始まる少し前、三年生の保護者の方たちは体育館のバスケコートのそばに移動しはじめた。自分もついて行こうかと思ったが、試合には三年生しか出ていなかったので、自分が行くのは、場違いだと感じた。
ひとりボーっと立っていたが、ここに自分がいなくてもいいんじゃないかと思え、そーっと帰ってしまおうかと考えていた。そんな時、二年生のひとりの保護者から「よろしくお願いしますね」と声をかけられた。自分は思わず「ハイ」と返事してしまった以上帰るわけにもいかず、この場所にいてもいいんだなと思った。
バスケの試合はあっけなく負け、三年生の保護者の方たちは、中から出てきた。少しすると自分の子供がやってきて、もう少しで帰れるとのことだった。三年生の保護者の方にも、「もう帰るってことは聞いてますか?」と聞かれうなずいた。しかし、本当だったら同じ学年の保護者の方が、教えてくれるはずなのに、何も言ってこないどころか、自分の横を通り過ぎても無視されているようだった。自分も、わからないことばかりで聞きたいことはいろいろあったが、何一つ聞けずにいた。どうしてなんだろうと思った。自分を寄せ付けない何かがあり、やがて、バリアーが張りめぐらせていて、跳ね返される気さえした。
帰り際、みんなが集まり、二年生の保護者の方とは離れたところにいたが、なんだか自分を寄せ付けないオーラが見えた。メラメラとしたオーラが出ていたのだ。
結局、二年生の保護者の方とは、ひとことも言葉を交わさず、なぜなんだろうと考えていた。自分から声をかけられなかったこと、どうしてなのかと思った。しばらくひとり考えていて、ハッと気づいた、すっげー嫌われてる、本当に、相当嫌われてると思った。あの半端ない自分を寄せ付けないオーラ。
何か嫌われるようなことをしたのか、いろいろ考えるがわからない。もしかして子供が一年生の時に、何もしてなかったことに腹を立てているのか。今学期からは、心を入れ替えてやろうとしていたのに、こんなにも嫌われ、心が折れてしまった。あと約二年間、部活は一年半ぐらい、これからどうするべきなんだろう・・・
考えると心が重く、この先早く時が過ぎてほしいと思うばかりだ。自分は隅っこで目立たないように小さくなっていよう。目立たず、そっとしていればいいのだろうか・・・
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