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ブスがいるから美人が映える

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私は生まれたくてブスに生まれてきたわけじゃない!

自分が自分で、この顔を選んで生まれてきたのなら、どんなにブスと言われようが、かまわないかもしれないが、決してそうではない。誰もがそんなことは、わかっていることなのに、いつだって、“ブス”“不細工”がつきまとう。

私は、この世に生まれたときから、不細工だったらしい。女の子なのに、男の子と間違われ、相当かわいくなかったらしい。母は、そんな私をどう思っていたのか今となっては、わからない。父は、いつもけなしていたな~自分の娘なのに。

たとえ顔がかわいくなくても、美しくなくても、声がかわいいとか、綺麗ならば少しは救われるが、声は太く男と間違えられる。子供のころから、どら声と言われてきた。ホント悲惨である。でも、高校生の時、この声を“ハスキーだね”と言われ、ハスキーボイスという響きは嬉しかったけど、この男声は、電話嫌いにさせた。

それにしても、こんなにも不細工な私なのに、一度も整形したいと思ったことはない。ふつう不細工だと、整形と思いがちだが、ホント一度もしたいと思わなかった。それはなぜかというと、親からもらったたったひとつの顔だから、というのは建前で、本音は、整形失敗してこれ以上不細工になるのが嫌だったのだ。私の顔なら、プチ整形では済まず、全部お直ししなくちゃいけないので、整形失敗の確率は高くなると考え怖かったのだ。

それと整形しなかった、もうひとつの理由は、ずっとふられてばかりいたので、整形して綺麗な顔になって愛されても、嬉しくないなと思ったのだ。この不細工な顔で愛されてこそ、価値があると思ったのだ。本物の愛があると感じていた。

子供の頃の私は、自分の顔は大人になったら、きっと美人になると信じていた。なんの根拠もなかったが、きっと美人になれると思っていた。18歳ぐらいのときだったか、まじまじと鏡で自分の顔を見て、全然変わってないじゃん、ブスのままだ~と、がく然とした。それ以来、鏡を見ることが減ってしまった。

美人薄命というから、自分も薄命だと思ったら、とんだ思い違いだったのは、言うまでもない。いや、本当は、若くして亡くなり、美人に仕立て上げたかっただけなのだ。そんな、はかない夢を見ていたのかもしれない。

私は、お化粧しても、特に綺麗にもならず、面倒くさがりだったのもあり、ほとんど化粧はしない。不細工なのに、化粧美人でも困るけど。よくすっぴんと化粧で変わる人がいるけど、そうなりたくないし、でも、不細工すぎて、化粧映えも出来ないだけなんだけど、これでいいのか悪いのか。

若いころ、お化粧していない私に、「素顔に自信あるんだね。」と、いやみを言ってきた女がいたけど、そんなわけないのをわかっていて言ってくるんだから、女って怖いよね。

不細工でふだん相手にされないのに、電車に乗ると、よく痴漢にあっていた。ホントに電車通学、通勤では、痴漢に悩まされた。一度くらい、取っ捕まえてやりたかった。でも、ぜったいおまえみたいなブスに痴漢するわけないだろって、言われそうだと思った。

20代前半ごろのこと、前方から足が悪くて杖をついてた50代くらいの女の人から、すれ違いざまに、いきなり「ブス!!」と怒鳴られ、ア然としたことがあった。そのおばさんだって、相当なブスだと思ったけど、私の何が気にくわなかったのか、あのときのことは、忘れられない。言い返したかったけど、身体が不自由な人にそんなことはできなかったし、驚きの方が大きかった。

ここまで読んでくださったそこの貴方、きっと、私の顔がどれほど不細工なのか、見たくなったのではないでしょうか?写真を載せてお見せしてもいいのですが、これをご覧になっているPC、またはスマホが壊れてしまうおそれがあるので、お見せできませんこと、ご了承ください。
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