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35話 告白
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みそ汁の鍋のフタを開けたところで、フユメは背後からカイリに抱きしめられた。
「…んん?!」
いつもカイリがする、戯れるような軽い抱き方ではなく…
ギュッ… と強く、自分に引き寄せるように抱かれ、フユメは戸惑いみそ汁の鍋から顔をあげる。
「私は間違いを犯した… 傷つけて悪かったフユメ!」
腕の中に閉じ込めるようにカイリはフユメを抱きしめ…
カイリはフユメの耳に唇を寄せて、これからする告白の謝罪を先にした。
「カイリさん?!」
<あっ?! もしかして、奥さんのことを話してくれるの?!>
カイリの妻アリサのことで、悩み過ぎてモヤモヤと真っ黒に染まり疲れ果てていたフユメは、ようやく悩みのモヤモヤを解決できる機会が来たのだと、うっすらと微笑む。
「私以外のアルファが出入りする会社に、君を置いておきたくなくて… 故意に君を冷淡にあつかっていた! 君が怖がってアルバイトを辞めるのを狙っていたから…」
「え?!」
<ああ! だから何となく無視されていたんだ? なるほど!!>
会社でのカイリの物足りない態度は、そういう理由があったのかと、フユメは素直に納得する。
<元々カイリさんは、渋々僕のバイトを受け入れたわけだし…>
神田家に縁のあるアルファが、カイリの会社に出入りするため、通常よりも何倍も多く、アルファと関わることになると、アルバイトを始める前にフユメはカイリから警告されていた。
「私の番となり、ヒロキのように他のアルファに君の身体が影響をあたえなくなってからなら、私は喜んでフユメを職場で受け入れたが…」
「カイリさんは、そんなにアルバイトを僕に辞めて欲しかったの?」
「ああ… だが、私の会社ではダメだと言えば、フユメが他の会社で働くと言われるのも怖かったし…」
「なんだ… カイリさんがそんなに心配しているなら、アルバイトは辞めます」
<カイリさん… 奥さんの話をしてくれるのではないの?>
背後から抱きしめるカイリには見えないように、みそ汁の鍋に視線を落とし、フユメは眉間にシワを寄せる。
「我がままを言って悪いな、フユメ! とにかく結婚して番になったら、また仕事を始めてくれてかまわないから… それにヒロキが、フユメは頼りになると褒めていたし、私は少し自慢げだよ!」
フユメの耳元で… ホッ… と安心するカイリのため息が聞こえた。
「嬉しい! 僕のことをそんな風にヒロキさんが? 僕は単に、仕事中のカイリさんがすごく格好良いだろうなぁ~… と思ったから、働くカイリさんの姿を見たくてアルバイトをしたかっただけなんだ」
「そうだったのか?!」
背後で嬉しそうにカイリの声が弾む。
「うん、だから他でアルバイトを探したりしないから… 安心してよ、カイリさん」
「フユメ… ありがとう!」
カイリはフユメの細い首筋を、キュッ… と甘噛みした。
「・・・・・・」
<やっぱり、僕から奥さんのことをたずねないと… カイリさんは自分からは、話してはくれないみたいだ… 僕も勇気を出して…>
長い腕の中でフユメは、くるりっ… と身体の向きを変え、背後に立つカイリと向き合い、端正な顔を見上げる。
「あの、カイリさ… ん… んんっ!」
貪るようなキスで、フユメの唇はふさがれてしまう。
「…んん?!」
いつもカイリがする、戯れるような軽い抱き方ではなく…
ギュッ… と強く、自分に引き寄せるように抱かれ、フユメは戸惑いみそ汁の鍋から顔をあげる。
「私は間違いを犯した… 傷つけて悪かったフユメ!」
腕の中に閉じ込めるようにカイリはフユメを抱きしめ…
カイリはフユメの耳に唇を寄せて、これからする告白の謝罪を先にした。
「カイリさん?!」
<あっ?! もしかして、奥さんのことを話してくれるの?!>
カイリの妻アリサのことで、悩み過ぎてモヤモヤと真っ黒に染まり疲れ果てていたフユメは、ようやく悩みのモヤモヤを解決できる機会が来たのだと、うっすらと微笑む。
「私以外のアルファが出入りする会社に、君を置いておきたくなくて… 故意に君を冷淡にあつかっていた! 君が怖がってアルバイトを辞めるのを狙っていたから…」
「え?!」
<ああ! だから何となく無視されていたんだ? なるほど!!>
会社でのカイリの物足りない態度は、そういう理由があったのかと、フユメは素直に納得する。
<元々カイリさんは、渋々僕のバイトを受け入れたわけだし…>
神田家に縁のあるアルファが、カイリの会社に出入りするため、通常よりも何倍も多く、アルファと関わることになると、アルバイトを始める前にフユメはカイリから警告されていた。
「私の番となり、ヒロキのように他のアルファに君の身体が影響をあたえなくなってからなら、私は喜んでフユメを職場で受け入れたが…」
「カイリさんは、そんなにアルバイトを僕に辞めて欲しかったの?」
「ああ… だが、私の会社ではダメだと言えば、フユメが他の会社で働くと言われるのも怖かったし…」
「なんだ… カイリさんがそんなに心配しているなら、アルバイトは辞めます」
<カイリさん… 奥さんの話をしてくれるのではないの?>
背後から抱きしめるカイリには見えないように、みそ汁の鍋に視線を落とし、フユメは眉間にシワを寄せる。
「我がままを言って悪いな、フユメ! とにかく結婚して番になったら、また仕事を始めてくれてかまわないから… それにヒロキが、フユメは頼りになると褒めていたし、私は少し自慢げだよ!」
フユメの耳元で… ホッ… と安心するカイリのため息が聞こえた。
「嬉しい! 僕のことをそんな風にヒロキさんが? 僕は単に、仕事中のカイリさんがすごく格好良いだろうなぁ~… と思ったから、働くカイリさんの姿を見たくてアルバイトをしたかっただけなんだ」
「そうだったのか?!」
背後で嬉しそうにカイリの声が弾む。
「うん、だから他でアルバイトを探したりしないから… 安心してよ、カイリさん」
「フユメ… ありがとう!」
カイリはフユメの細い首筋を、キュッ… と甘噛みした。
「・・・・・・」
<やっぱり、僕から奥さんのことをたずねないと… カイリさんは自分からは、話してはくれないみたいだ… 僕も勇気を出して…>
長い腕の中でフユメは、くるりっ… と身体の向きを変え、背後に立つカイリと向き合い、端正な顔を見上げる。
「あの、カイリさ… ん… んんっ!」
貪るようなキスで、フユメの唇はふさがれてしまう。
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