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61話 ドスケベ

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 義母から… 

 昔、アーヴィが庭園の端に張り巡らせた、木製の柵の間から外に出ようとして、頭が挟まり抜けなくなった時の話を聞きながら、ヴィトーリアはお行儀悪くゲラゲラ笑い、楽しく朝食を摂ったあと…

「あれ、どうしたの? 騎士団の制服なんか着て…」

 ヴィトーリアの視線の先では、王立第二騎士団の騎士服に着替え、アーヴィが腰に締めた太い革ベルトに、大剣を装着しているところだった。

「今から西方騎士団の本部へ行こうと思って… お前はどうする?」

「騎士団に何をしに行くの?」

「こっちに来たのだから、以前世話になった、ノルチ団長への挨拶と…」

 アーヴィは珍しく言い淀み… 
 
 窓際の寝椅子に座り、微睡んでいたヴィトーリアの側まで来て、頬を撫でる。

「アーヴィ…?」

 頬に触れた暖かくてゴツゴツとした手を、ヴィトーリアはキュッと握り、アーヴィを見上げると…

「…強盗団について聞いてみようかと、当時のコトをオウロ公爵に聞いたら、部下たちの動向についてはノルチ団長の方が、良く知っていたと言われたから」

「ああ… 私も付いて行って良い?」
 アーヴィの手を握ったまま、ヴィトーリアは椅子から立ち上がる。

「何年も前の話だから、今さら何かが変わるワケでは無いし、お前の場合… 嫌な記憶を思い出すダケかも知れないぞ?」

 心配そうにアーヴィがは、優しいラベンダー色の瞳で、ヴィトーリアを見下ろした。

「分かっているよ、でも強盗団のコトは噂でしか聞いたコトが無いから… 私は真実を知っておきたい!」

 夫の優しい気遣いが嬉しくて、背伸びをして軽く唇にキスをする。

「…オレは馬に乗って行くつもりだが、お前大丈夫か?」

 昨夜は結構激しかったのだ。

 だが… 酔っていてもアーヴィは加減して、無茶な抱き方はしない。

「せっかく素敵な乗馬服を、ムーズィカ叔母様に選んでもらったから、着る機会があれば着ないとね!」

 ニヤリと笑うヴィトーリア。

「オレも手伝おう!」

「アナタが手伝うと、余計に時間がかかるから嫌だよ、ソコで見てて!」

 いつもその手で、情交に縺れ込むのだ。 


「そんなの生殺しじゃないか!」

 本気でムッとする夫に、呆れて首を振る妻。


「本当、私のアルファはドスケベだねぇ… 夜までお行儀良くしてないと、アーヴィが大好きな魅惑的な下着はお預けだからね?!」

「おおおおうっ?! そんなお楽しみが!! …まあ、仕方ないな、お前がソコまで言うなら」

 ニヤニヤと、むっつりドスケベは嬉しそうだ。


「このドスケベめ!!」

 公爵夫人の言う通り過ぎて、少しばかり嫌になるヴィトーリア。



 

 妻に罵られても、やっぱり嬉しそうな夫。







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