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87話 尋問の後2
しおりを挟む大臣の尋問を終え2人っきりになると…
執務室のソファセットに腰かけ、カナルはボルカンの膝の上で、今一番の心配ごとを解消しようとたずねた。
「王女殿下のことが気になって… ディアレア様をどうされる、つもりですか?」
「身分を剥奪し、公開処刑が妥当だな」
「公開処刑… ですか…」
<先程、尋問した大臣と同じで… ディアレア様も被害者なのに、パラアスに騙されて最悪の間違いを犯してしまったなんて! 何より、幼い王女殿下のことを思うと、とても穏やかではいられない>
カナルの心は一気に憂鬱になる。
「ディアレアに殺されそうになったお前が、気にする必要はないのだカナル!」
物憂げにボルカンはカナルを慰めるように、ほっそりとした背中を大きな掌で撫でた。
「ですが、まさか… ディアレア様も自分の婚約者だった王太子殿下テルミナル様が、パラグアスの手で毒を盛られてお亡くなりになっていたことを知っていれば、協力などしなかったはずです」
当時、第二王子の従者が無実の罪を着せられ、毒殺犯として処刑されたが…
どれだけ自分が巧みに罪を犯し、隠したかをパラグアスが自慢げに語り、全てが明らかになった。
子どもの頃から心酔していたボルカンの叔父インセンディオに命令され、学園で王太子に近づき、パラグアスは優秀さを認められて側近となった。
そして王太子テルミナルの友情に付け込み、パラグアスは王太子だけでなく第二王子まで毒殺したのだ。
そしてもう1人、前ルイナス公爵レクエルドもまた、パラグアスの能力を認め右腕として使ううちに、少しずつ毒を盛られ病気に見せかけて毒殺された。
「だがカナル、私は誠意と礼儀を尽くしてディアレアを正妃とし礼遇した、それでもあの女はお前の命だけでは無く、この国の安寧まで危険にさらしたのだ」
「・・・・・・」
「この国の母である正妃は、本来ならば民のため、このエステパイス王国のために物事を考えなければならない立場にあると少しでも自覚があれば… パラグアスと親密な関係にはならなかったはずだ!」
「はい、陛下の言う通りです… 僕が浅はかでした」
今にも涙をこぼしそうな表情のカナルに、ボルカンは困った顔をする。
「あの女は自分の保身しか考えずに、パラグアスに手を貸した… 幼い王女は可哀そうだが、ここであの女を生かせば、国王の威信が揺らいでしまうのだ」
「僕もボルカン様の妃としての、自覚が足りないようです」
「少しずつ学んで行けばよい、今は無理せず腹の子のために、心穏やかに過ごすように心がけろ… カナル良いな?」
「はい」
あと、数人の尋問が終われば、先に刑が確定しているパラグアスたちと共に…
刑場でディアレアも刑を言い渡され、正妃の身分を民たちの前で剥奪され、反逆者として公開処刑が行われる予定である。
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