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番外編 ~悪夢の世界で…
102話 カナルのウソ
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フィエブレが執務室へ戻る前…
騎士団長付きの従者イロに依頼して、エレヒルは騎士団の経理に関する帳簿に目を通していた。
<ジュピアに聞いた話だと、カナルは生前フィエブレに代わり、ほとんどの執務を処理していたと聞いたが… まさか素人に、そこまでさせていたのか? 確かにカナルは金の扱いについて、良く学んでいたから、私もカナルに度々知恵を借りることがあったが…>
カナル亡き後、本来その仕事をするべき人間である騎士団長のフィエブレが、執務を行うようになったかというと…
『いいえ、フィエブレ様は執務は不得手なので、カナル様が亡くなられて、私が代行しておりますが… とてもカナル様のように上手く出来ませんから… あちらこちらで支障が出てしまっていて…』
つまり、現在は…
先程、執務室へお茶を淹れて置いて行った、従者のイロが、代行していたのだ。
『この辺りが、カナル様が行っていた頃のものです』
そのおかげでエレヒルが帳簿を請求した際…
従者イロは迷うことなく、確認したかった帳簿だけを的確に集めて、執務机の上に積んで見せた。
『ご苦労だったなイロ…』
肩を叩きながら、エレヒルが従者イロに心からの労いの言葉を掛けてやると、よほど苦労していたのだろう…
従者イロは、ホッ… と肩の荷が下りたという顔をした。
どうやらフィエブレは、従者イロから自分の主人を庇う気持ちさえ、奪ってしまったようである。
<フィエブレめ!! 職務怠慢にも程があるぞ!! これだけでも十分騎士団長をクビにできるが!!>
騎士団の騎士たちだけではなく、エレヒルの下したフィエブレの評価も、この時点で致命的なほど地に落ちていた。
帳簿を騎士団長の執務室から持ち出し、エレヒルはエンペサル侯爵邸の執務室へと運び、再び丁寧に目を通して行く。
恐らくフィエブレは、自分の執務室から騎士団の重要な帳簿がなくなったことさえ気づかないだろう。
「やれやれ、参ったな… 私はカナルにこんなにも騙されていたのか?」
<カナルの口からは、ほんの一部だけを手伝っていると聞いていたが…どうやらカナルは、ここでも私に心配をかけまいと、ウソをついたのだな? ジュピアの話の方が正しいようだ…>
苦笑いを浮かべたエレヒルが、目を通したほとんどの帳簿に、カナルの几帳面な字が並んでいた。
「ふふふっ…」
<カナルは算術が得意だったからな… 幼い頃、最初に私が教えたら… いつの間にか自分でも学ぶようになっていて、あの時はさすがに驚いた>
後から誰が見ても(特にフィエブレが見た時)理解できるようにとカナルは配慮し、小さなメモ書きが余白にビッシリと書き入れられていた。
結婚前にエンペサル侯爵領の、領地運営に関する経理の一部を任せていた時も、エレヒルに同じようなメモをカナルは丁寧に残していたことを思い出す。
懐かしいその字を見ているうちに、エレヒルは胸に熱いものが込み上げて来て、涙が出ないよう…
しばらくの間、目頭を押さえなければならなかった。
騎士団長の裁量で、自由に使える資金の帳簿があり…
エレヒルはカナルが残したメモ書きの中に、1つ気になるものを見つけた。
"資金が何処に使われたか不明、騎士団長に確認する"
"騎士団長の私的流用の疑いついて、この件は法的に問題があり未処理"
つまり騎士団の資金を横領し、フィエブレが自分の金として使ったという疑いである。
<カナルが残したメモが証明されれば、フィエブレを騎士団長職からクビにするだけではなく、正々堂々と騎士団から追い出すことも出来る!!>
エレヒルの中にある復讐したいという気持ちから、フィエブレを騎士団から追いだそうとしているのではないか? と聞かれれば…
復讐心が全く無いと言えば、ウソになる。
だがそれ以上に、フィエブレが犯した騎士団への背信行為は、命を預けて働く騎士たちへの裏切り以外の何ものでもなく、とても許されない行為だった。
騎士団長付きの従者イロに依頼して、エレヒルは騎士団の経理に関する帳簿に目を通していた。
<ジュピアに聞いた話だと、カナルは生前フィエブレに代わり、ほとんどの執務を処理していたと聞いたが… まさか素人に、そこまでさせていたのか? 確かにカナルは金の扱いについて、良く学んでいたから、私もカナルに度々知恵を借りることがあったが…>
カナル亡き後、本来その仕事をするべき人間である騎士団長のフィエブレが、執務を行うようになったかというと…
『いいえ、フィエブレ様は執務は不得手なので、カナル様が亡くなられて、私が代行しておりますが… とてもカナル様のように上手く出来ませんから… あちらこちらで支障が出てしまっていて…』
つまり、現在は…
先程、執務室へお茶を淹れて置いて行った、従者のイロが、代行していたのだ。
『この辺りが、カナル様が行っていた頃のものです』
そのおかげでエレヒルが帳簿を請求した際…
従者イロは迷うことなく、確認したかった帳簿だけを的確に集めて、執務机の上に積んで見せた。
『ご苦労だったなイロ…』
肩を叩きながら、エレヒルが従者イロに心からの労いの言葉を掛けてやると、よほど苦労していたのだろう…
従者イロは、ホッ… と肩の荷が下りたという顔をした。
どうやらフィエブレは、従者イロから自分の主人を庇う気持ちさえ、奪ってしまったようである。
<フィエブレめ!! 職務怠慢にも程があるぞ!! これだけでも十分騎士団長をクビにできるが!!>
騎士団の騎士たちだけではなく、エレヒルの下したフィエブレの評価も、この時点で致命的なほど地に落ちていた。
帳簿を騎士団長の執務室から持ち出し、エレヒルはエンペサル侯爵邸の執務室へと運び、再び丁寧に目を通して行く。
恐らくフィエブレは、自分の執務室から騎士団の重要な帳簿がなくなったことさえ気づかないだろう。
「やれやれ、参ったな… 私はカナルにこんなにも騙されていたのか?」
<カナルの口からは、ほんの一部だけを手伝っていると聞いていたが…どうやらカナルは、ここでも私に心配をかけまいと、ウソをついたのだな? ジュピアの話の方が正しいようだ…>
苦笑いを浮かべたエレヒルが、目を通したほとんどの帳簿に、カナルの几帳面な字が並んでいた。
「ふふふっ…」
<カナルは算術が得意だったからな… 幼い頃、最初に私が教えたら… いつの間にか自分でも学ぶようになっていて、あの時はさすがに驚いた>
後から誰が見ても(特にフィエブレが見た時)理解できるようにとカナルは配慮し、小さなメモ書きが余白にビッシリと書き入れられていた。
結婚前にエンペサル侯爵領の、領地運営に関する経理の一部を任せていた時も、エレヒルに同じようなメモをカナルは丁寧に残していたことを思い出す。
懐かしいその字を見ているうちに、エレヒルは胸に熱いものが込み上げて来て、涙が出ないよう…
しばらくの間、目頭を押さえなければならなかった。
騎士団長の裁量で、自由に使える資金の帳簿があり…
エレヒルはカナルが残したメモ書きの中に、1つ気になるものを見つけた。
"資金が何処に使われたか不明、騎士団長に確認する"
"騎士団長の私的流用の疑いついて、この件は法的に問題があり未処理"
つまり騎士団の資金を横領し、フィエブレが自分の金として使ったという疑いである。
<カナルが残したメモが証明されれば、フィエブレを騎士団長職からクビにするだけではなく、正々堂々と騎士団から追い出すことも出来る!!>
エレヒルの中にある復讐したいという気持ちから、フィエブレを騎士団から追いだそうとしているのではないか? と聞かれれば…
復讐心が全く無いと言えば、ウソになる。
だがそれ以上に、フィエブレが犯した騎士団への背信行為は、命を預けて働く騎士たちへの裏切り以外の何ものでもなく、とても許されない行為だった。
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