側妃候補は精霊つきオメガ

金剛@キット

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番外編 ~悪夢の世界で…

126話 湖のほとりで3

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 今にもジュピアの胸に剣を突き立てようとしているフィエブレの注意を逸らそうと、馬を走らせながらエレヒルは剣を振り上げ大声で怒鳴った。


「フィエブレ―――ッ!!! お前の相手はこの私だ―――ッ!!!」
<まだ遠い! だがもう少し… もう少しっ…!!>

 
 薄暗い月明かりの下では、フィエブレの表情はハッキリと読めなかったが…
 エレヒルには、フィエブレがニヤリと不敵な笑みを浮かべた気がした。

 ジュピアから離れたフィエブレは、挑発するように馬で急接近するエレヒルに剣を向けて構えた。

 すれ違いざま、エレヒルとフィエブレは互いに斬りつけ合う。

 ガンンンンッ…!! 
 “精霊の棲み処”に剣と剣がぶつかり合う金属音が鳴り響く。

 エレヒルはフィエブレの直近を走り抜け、急いで馬から飛び降り振り返った。


「お前をずっと殺したかった、エレヒル!! 私の剣の腕を妬んで私からエリダを取り上げたお前を、ずっと罰してやろうと思っていたのだ!!」

 訳の分からない恨み言を連ねて、フィエブレはエレヒルに斬りかかって来た。

「お前は何を言っているのだ?!」
 フィエブレが打ち込んだ重い一撃を受け止め、ギリギリと剣と剣で押し合いながら、エレヒルは困惑する。

「お前は侯爵の権力を使い、私から何もかも奪おうと騎士たちに裏で命令して、画策していたのは知っている!!」
 口から泡を吹きながら、フィエブレは狂気で瞳をギラつかせる。

「ドロガ(麻薬)の毒がお前の頭を腐らせ、妄想まで生み出すようになったか?! エリダもカナルも今のお前を見たら、きっと嘆き悲しむはずだ!!」
<やはりこの男の頭は、ドロガで狂っている! どれだけ長い間、ドロガに溺れていたのだ?!>
 娼館の様子を見た時から覚悟はしていたが…
 子どもの頃から慕い、頼りにして来た兄弟子の変わり果てた姿にエレヒルは内心で衝撃を受けていた。
 

「生意気を言うな、エレヒル!! 全てお前が悪いのだ、お前が悪い―――っ!!!」

「この愚か者が!! 今のお前は騎士ではなく、ただの狂人だ!!」    
 至近距離まで近づいて、エレヒルはフィエブレの顔がドロガの中毒症状でヒクヒクと痙攣けいれんしているのに気付く。
<お前はもう、私が知るフィエブレではないのだな? クソッ!!>


 大男のフィエブレが相手では、力比べをすればどうしても体格差で競り負けると分かっているエレヒルは…
 剣を押し返し、フィエブレの剣が届く間合いから下がる。

 構えたフィエブレの剣の先も、顔の痙攣と同じようにブルブルと震えていた。

<体調が万全のフィエブレなら、一の勝算さえ見込めなかったが、ドロガに毒された今なら、勝てるかもしれない!!>

「・・・・っ」
 素早くエレヒルは打ち込み、ガンッ! ガンッ! ガンッ! と連撃を繰り出した。






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