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番外編 ~悪夢の世界で…

128話 腐っても最強

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 エレヒルの連撃が猛攻の呼び水となり…
 獣のように雄たけびを上げながら、フィエブレの反撃が始まった。

「お前が悪いエレヒル!! お前が悪い!! お前が悪い!! 」 

「くっ…!」
 ガガンンンッ!! ガガンンンッ!! ガガンンンッ!! ガガンンンッ!! 
 明らかにエレヒルが連撃を打ち込んだ時よりも、重々しい金属音が辺りに響き渡る。

 後先を考えない、狂ったような激しい連撃を放つフィエブレの猛攻は…
 ドロガの中毒症状で身体が鈍っているとはいえ、エレヒルがほんの少し気を許せば、命取りになるほどの威力だった。

「・・・っ」
<頭がおかしくても、剣の技と力だけは確かだ!! 悔しいが、やはりフィエブレは強い!!>
 ガチッ…! と受け止めた剣を押し返し、フィエブレに少しでもすきが出来ればエレヒルも攻撃を仕掛けるが…
 やはり、力で負けるエレヒルの攻撃は、簡単に受け止められてしまう。


 ハァッ… ハァッ… ハァッ… ハァッ… と肩を大きく揺らし、荒い呼吸をするエレヒルの腕から血がしたたり落ちた。
 致命傷ではないが、フィエブレの打ち込みを避けきれずにできた、浅い傷から出血している。

ずるいぞフィエブレ、何て不公平なんだ!!」
 フィエブレの身体もエレヒルと似たような状態だったが、ドロガの影響か… 痛みはあまり感じてない様子だったため、思わずエレヒルは罵った。
<右腕の感覚が無くなっている… ダメだ! このまま続ければ必ず負ける!!> 

 フィエブレの猛攻にさらされ、剣を持つエレヒルの傷付いた腕が下がる。

 その瞬間を見逃さず… 
 フィエブレは上段から打ち込み、エレヒルの剣を叩き落とした。

 振り下ろした剣をそのまま下段から切り上げ、フィエブレは容赦なくエレヒルの腕を斬り捨てる。
 

「っ…」
 その時を狙っていたかのように、エレヒルは腰に下げた短剣を抜きフィエブレのふところに深く踏み込んだ。

「ぐううううっ!! エレヒル卑怯だぞ―――っ!!」
 剣を落とし、フィエブレは腹を押さえた。

「痛みを感じないお前に言われたくない!! 騎士の戦いに卑怯も何もあるものか!!」
 エレヒルはフィエブレの腹に短剣を突き刺していたのだ。

 深く刺されれば、流石に強い痛みを感じるらしく、フィエブレはその場で座り込んでいる。

 腕がしびれて剣を握っていられなくなったエレヒルは、剣と腕を捨てる覚悟を決めて、わざとフィエブレに隙を見せ…
 懐に飛び込む機会を自分から強引に作り出した。


「この卑怯者!! 卑怯者め!! 殺してヤル!! 殺してヤル!!」


「・・・・・・」
 肘の下から切り落とされた腕を押さえながら、ヨロヨロとわめくフィエブレから離れ、エレヒルは湖の際にドサリッ… と崩れるように座り込む。




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