側妃候補は精霊つきオメガ

金剛@キット

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その後…

140話 浄化2

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 緊張で青ざめたエリダの肩に手を置き、カナルが励ました。


「大丈夫だよ、エリダ! ボルカン様を信じて、お任せすれば良いだけだからね? ほら、大きく息を吸って!」

「そ、そうね…」
 スゥ―――ッ… ハァ―――ッ… とエリダは目を閉じて、カナルに言われた通り、ゆっくりと深呼吸をする。 

「落ち着いた?」
 カナルがたずねると… エリダは小さくうなずく。

「ええ…」

 
 ボルカンもエリダの背後に立ち、カナルとは反対側の肩に手を置く。

 ボボッ! とエリダの足元が赤い炎に包まれる。

「ああっ…!」

「だいじょうぶだから… エリダ、このまま目を閉じていて… 少しも熱くはないでしょう?」 
 怯えて小さな叫び声を上げたエリダをなだめるように、カナルが穏やかに声をかける。

「ええ、熱くはないわ… でも不思議なの… 身体の中から暖かいなんて?」 
 足元の炎が少しずつ大きくなり、エリダの足元から徐々に上へ上へとはい上ってゆく。 

「ボルカン様はエリダの中から“浄化”しているからね」
 カナルとボルカンは目を合わせ、うなずき合う。

「よしエリダ、このまま一気に“浄化”するぞ?」
 ボルカンもカナルもエリダの為に、精霊の力で作り出した炎を… “浄化”と呼んで強調した。



「はい、お願いします陛下」

 ボルカンの瞳が微かに赤く光り…
 勢いが増した“浄化の炎”が、エリダの全身を包んだ。




「終わったぞエリダ、気分はどうだ?」
 エリダの全身を包んだ浄化の炎を消して、ボルカンは手を放す。

「…はい」
 フッと目を開き、エリダはフゥ―――ッ… と、気持ち良さそうにため息を吐く。

「なんだか満足そうだね?」
 微笑みながらカナルがたずねると…

「ええ、本当に! 陛下、ありがとうございます… ずっと不快だったものが身体の奥から綺麗に消えた気がします」

「その感覚なら、良く分かるぞ! 反逆者パラグアスに眠りの毒を盛られた時、自分の内から焼き、毒消しに成功した後で、私もちょうどそんな気分だったからな」

「まぁ…! ふふふっ…」
 初めて会った頃は、エリダもボルカンを怖がっていたが… 弟カナルを溺愛する姿を見て、恐れなくなっていた。




 霊廟を出て、ぺルラ王女を呼び、4人で仲良くお茶をしようと話していた時に…
 それは起きた。


 エリダが発情したのだ。

 ボルカンが使った火の精霊の力は、エリダの心だけではなく、身体に残るフィエブレの痕跡まで浄化することに成功したらしい。


 そこに…
 未婚のオメガに近寄るだけで発情させる、絶倫の血筋のボルカンが側にいたため…
 番の契りから解放されたばかりのエリダは、目の前の強いアルファ、ボルカンの影響を受け発情してしまったのだ。





 エリダの浄化から、数日後…

「陛下! 王都中ですごい噂になっていますよ?!」
 ボルカンの執務机に書類の束を積み上げながら、ベンタナが悪い笑みを浮かべた。

「何だ? さっさと言えベンタナ!」
 ガリガリと書類に署名を入れながら、顔を上げずにボルカンは面倒そうにベンタナの話を聞く。

「ボルカン陛下は、未婚のオメガだけではなく、他人の番まで発情させる、とんでもない絶倫王で、夫に不満を持つ奥方たちが、ぜひお相手して欲しいと… 次の宮中晩餐会を楽しみに待っているそうですよ? 覚悟しておいた方がよろしいかと」

「・・・っ」
 ぽとっ… と書類の上にペンを落とし…
 顔を上げると耳まで真っ赤に染めたボルカンが、パカリッ… と口を開ける。

「ブフッ…!!!」
 呆然とするボルカンの隣りの執務机で、カナルが向こう側を向いて吹き出した。 


 ボルカン陛下イメージ・アップ計画に利用しようと…
 有能な忠臣ベンタナは、故意に社交界のオシャベリ貴婦人たちに、王宮内の秘密を漏らしたのだ。

 “聖王、ボルカン陛下は… アッチの方も、聖王級の絶倫なんだぜ!” ―――と。





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