彼らを攻略可能なのは私だけなのかもしれない

ターナー

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2、第二の人生

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「アマネ・コバルト、君との婚約は破棄させてもらう」

「へ?………どこ、ここ?」

「ショックだと思うがーーー」

目の前で何か男が喋っているが、私の耳には届かない……今確かにコンビニ行こうてして……。

「すまない、俺のことは諦めてくれ、真実の愛に目覚めてーーー」

「ーー?!」

今の台詞………どこかで聞いた覚えが……というか、この部屋も見覚えがあるような………ーーーこれ、まさか『イノセント・ラブ』のスタートイベントか?!!!、自分でも気づかない内に、起動してたってこと?。

「ログアウト」

「??、そうか、錯乱するほど俺に惚れていたのか、心苦しいな」

「あれ?」

なぜか、ログアウトができない……どうしてだ、まさかバグ?、いや、開発中止になったゲームのシステムを流用しているので確かに所々、多少のバグが存在するが、ログアウトできないなんていう重大すぎる欠陥があるわけが…………。

「すまない、アマネ、俺のことは諦めてくーー」

「ああもう!、うるさい!!!、今考え事してるんだから話しかけてこないでよ、この下半身男が!!」

「なっ!?!なんだと婚約者に向かってなんて口の利き方だ!!」

「婚約者~?!、今さっき婚約破棄したんだから婚約者でしょ!!?、ぶっちゃけ初プレイ時からアンタの事は大っ嫌いだったのよ!!、真実の愛?、ハッ、笑わせないでよ、ただお手軽に身体を許してくれる、男ウケが良さそうなタレ目の狸顔巨乳ビッチにたぶらかされただけでしょうが!!」

「なっっ、なっっ」

考え事をしてる時に話しかけられて苛ついた私は彼に罵倒を浴びせる、前からこのカストル・マゼンダにはムカついてた、というのもこのゲームのスタートイベントでいきなりこの男に婚約破棄をされるのだ、しかもその理由が妹と不倫してたからという紛れもないドカス!!、ゲームのストーリーで成り上がって行く主人公を理不尽な理由で婚約破棄したため、どんどん落ちぶれてザマァと思ってたけど、それはそれ、これはこれ、ムカつくので前から言いたかった事を思う存分ぶちまける、私の言葉に顔が青くなったり赤くなったりして、中々面白い。

「…………あれ?」

そこで漸く、私は異変に気づいた、ゲーム業界では最新鋭を誇るフルダイブ型VRゲームといえど、流石にここまで多彩な会話パターンは持っていない、ある程度の会話の選択肢を持っているが、こちらの罵倒を完璧に理解して、返答してきた、そして表情も豊か……………まるで本物の人間と会話してるような…………。

「狸顔女とは私の事ですか?、お姉様」

「ーー!!、あ、アンタは……」

「おお、我が愛しき人、コトネ!!」

「コトネ?」

あれ?、このゲームの妹の名前ってそんな名前だっけ?。

「お姉様、あまりカストルを虐めないでください、カストルも負け犬の遠吠えをそんなに気にする必要ないでしょう」

「た、確かにそうだな!!」

「負け犬の遠吠え?」

「おや?、何か間違えましたか?、魅力がなくて妹に婚約者を取られるという情けなく、無様な事実に基づいて発言したのですけど?」

「………やっぱり会話パターンが複雑すぎるな………」

「?、何がですか?」

スタートイベント時に妹の台詞の中に負け犬の遠吠えなんてのは無かった、疑問符が顔に出ていたのだろう、妹はさらに私を煽り立ててくる………やはりおかしい、私の疑問符を鋭敏に感じ取り、この複雑すぎる会話パターン…………。

「………よくわかりませんが、取り敢えずこちらの話は終わったので失礼しましょう、カストル」

「そうだな、我が愛しき人よ」

「あ、ちょっと待って二人とも」

「何でしょうか?」

「アンタらの事は絶対許さないからその事だけは忘れないで」

「………よく肝に銘じておきましょう」

まぁいくら言っても聞く耳を持たないだろうが、私は一応忠告をする。

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