王道わんこの奮闘記(仮)

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入学式

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「ほ…とに…ご…め…」
「無理しないで!喋らなくていいから、楽な体勢でいて!」
「そうだよ!」
「落ち着いて!」
「「しんこきゅー!!」」
「春、袋貰ってきたので気持ち悪かったら吐いていいですよ」
「あ…り…が…」

喋ろうとするとさっきのことを思い出して吐き気が襲ってきた。
すぐさま袋が目の前に来たのでおれは申し訳ないと思いながら吐いた。

10分ほど吐いてうがいして吐いてを繰り返しているとだんだんと落ち着いてきた。
その頃には任命式も終わっていたのでいつの間にかれおやなつ、あきも心配そうに見守ってくれていた。

「ん…だい…ぶ…お…つい…た…れお…あ…がと…」
「落ち着いたなら良かったが…ほんとに大丈夫か?」
「ん…」

「春くん!!」
「!」

現れたのはおれの親衛隊隊長で従兄のふゆくんだった。

「ふ…ゆく…」
「ああ!春くん、話さなくて大丈夫だよ?俺には分かるからね?だからゆっくり落ち着いて、俺の目を見て?」
「う…ん…」

そしておれはふゆくんの目をじっと見つめた。
小さい頃から見ていた隔世遺伝の真紅の瞳を見ていると、だんだんと安心してきた。

あれ…今度は眠くなってきちゃった…

「そういう事か…春くん、もう大丈夫だから。俺が来たからにははるくんに手を出すやつはいないから。だから安心してね?じゃあ、おやすみなさい。いい夢を」

やっぱり…ふゆくんの声は…安心する…なあ…

そこでおれの意識はなくなった。
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