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1章
始まりの時
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見慣れた六畳のワンルームだった。
薄いカーテン越しに朝日が差し込み、安っぽい目覚まし時計がけたたましく鳴っている。
「……は?」
胸に走ったはずの激痛も、血の匂いも、もうどこにもない。
俺はゆっくりと自分の体を確かめる。傷一つない。生きている。
「なんで?いや、夢落ち?」
確かに自分は殺された筈。
自分の体は無事でも、痛みは覚えてる。
記憶の中の痛みは生々しかった。
夢にしては――いや、もういい。手元のスマホに目を落とすと、思わず声が出た。
画面の日付は――20xx年10月20日。
「っはは,,,なんだこれ、日付バグってんのか?というか、このスマホ」
ダンジョンが世界中で発生する、あの“前日”だ。
しかもそのスマホは見覚えのある型だった。俺が会社員だった頃に使っていた機種。血の日曜日のときに壊れたはずの奴だ。
「過去に戻った?いや、そんな筈ない。俺は職業も無いスキルもほとんど無い底辺の覚醒者だったんだぞ」
意味が分からない状況に思考が停止する。
もし、もし仮にダンジョンが始まる前だとしたら、、
....意味がない。
それどころか、もう一度あの地獄を味わうのか?
裏切り、貧困、差別の毎日
あれを、、もう一度?
「無理だ、、いや、まだ夢の可能性もある」俺は自分に言い聞かせた。だが手は震えている。
落ち着け、、
もし今までのが夢だったとしたら、そもそもステータスウィンドウが出ないだろ。
縋るように、震える声で「ステータス」と唱える。
機械的な音声と合わせて表示されたステータスボード
やっぱり、夢じゃない事を実感した。
だがそれ以上に、気になることは、ステータス表記がおかしい。
=============
名前 佐藤悠馬
レベル 1
職業 配信者ユニークジョブ rank EX
スキル
・金の力 rank A
・人気の力 rank S
・言葉の力 rank EX
HP 50
ATK 1
AGI 1
DEF 1
MP 10/10
LUK 10
スキル詳細
金の力
配信を行ってる場合に限り効果発動する。
配信上の投げ銭機能により金を得た場合、金額に応じて規定時間能力値が200%増大する。
人気の力
配信を行っている場合に限り効果を発動する。
配信を見ている人間の数×1%分経験値に上昇補正が加わる。
但し上昇補正値は10000%からは上昇しない。
戦闘終了時に見ている視聴者数をカウントする。
言葉の力
配信を行っている場合に限り効果を発動する。
配信中にコメントをされた場合、そのコメントに記載の任意部分を切り取って
言葉に込められた力を具現化することが出来る。
=============
「なんだこれ、それにそもそも俺の職業は無かったはずだ」
ステータス画面とスキル詳細を食い入る様に眺めた後、混乱した思考を必死に巡らせる。
「一旦整理しよう。ステータスが表示される以上は間違いなく覚醒者である事は間違いない」
だとすると、あれは夢ではない。
今が夢、もしくは死後の世界の可能性はまだあるが、大事な事はまだある。
「仮に、スマホの日付が正しいとすると、今は間違いなくダンジョンが発生し始める前日という事になる。だとすると、今これが夢では無く現実なのであれば間違いなく今後の展開は予想出来る」
過去に戻ったのであれば、今後起きる事象に関してはよく理解できるのだ。
そしてもう一つ。
過去に戻ったのは死んだからだとすると、俺は死んだらこの日にちに戻ってくるのか?
死に戻りスキルが存在する可能性もあるが、だとすると今ステータス画面にそれらしいスキルが存在していない以上、もう一度死に戻りする可能性は考えない方がいいかもれない。
もしくは、死ぬ前のステータスに隠し要素があったのか、一先ずは置いておく。
ベッドから降り、仕事机の前に腰掛けてノートとペンを手に取る。
「これが現実と仮定して、俺がやらないといけないこと」
神か超常の類か、過去に戻ったんだ。
それも今度は、職業にレアスキルも手に入れた状態で。
死ぬ前の様な人生はごめんだ。
あんな地獄は二度と経験したくない。
ならやるしかない。
「明日、東京にダンジョンが生まれる。その上でもう二度と搾取されない人生を迎えるには、強くなる必要がある。」
ノートにペンを走らせて強くなると書く。
他にも、必要な事を必死にメモしながら、今後の計画を練っていく。
職業を手に入れたが、この【配信者】という職業についての理解は必須か。
「【配信者】か、思いつくのは、と言うより確実だろう」
前回の人生の時もそうだったが、配信業を行っている人間はいた。
今もそうだが、ゲームであったり、歌であったり、動画や生配信を行って生計を立てている人は多い。
特に、ダンジョンの攻略が本格的に始まってからは大勢の人が配信を行っていたのだ。
実際の人や、魔物の生き死にがリアルに映ってしまう状況を快く思わない人間も一定数いた。
それでも、ダンジョン配信は金になるし、人気も取れやすいとあって配信を行う人は多かったのを覚えてる。
特にS級の覚醒者の動画は1動画1000万再生も行く程の人気コンテンツにまでなったほどだ。
俺の職業とスキルから察するに、恐らく俺はダンジョンで配信を行って敵と戦うと発動するスキル。
逆に言えば、配信を行わなければ職業無しと変わらないと言うことだ。
「明日、ダンジョンに潜って配信を付ければ、、いや、そもそも配信出来ないんじゃ、、」
明日東京に出現するダンジョン。
出現場所と出現時間は覚えているが、今の時代では、配信の設備が整っていない。
スマホを使えば配信出来なくもないが、難しいだろう。
それに、配信すると俺の個人情報もバレるし、何より目を付けられるリスクが高すぎる。
それこそ、最初は封鎖を決めた日本だ。
配信して、中に潜ったりしたら下手したら逮捕されるんじゃないか?
「,,,,いやダンジョンにこだわる必要は今は無いんじゃなのか?」
ふと頭に浮かんだのは、会社員時代に暇つぶしで作った配信アカウントのことだった。
確か、まだ消していないはず。
スマホを操作すると、すぐにそのアイコンが見つかる。
ログイン画面に進むと、驚いたことに自動で入れた。
「……残ってたのか。いや、残ってたんだな」
胸の奥で、不安と期待がせめぎ合う。
明日、東京にダンジョンが現れる。
まずはその前にスキルの確認とレベル上げだ。
そしてもう一つ。
「今度は、底辺じゃない。【配信者】として、俺が歴史を変える」
薄いカーテン越しに朝日が差し込み、安っぽい目覚まし時計がけたたましく鳴っている。
「……は?」
胸に走ったはずの激痛も、血の匂いも、もうどこにもない。
俺はゆっくりと自分の体を確かめる。傷一つない。生きている。
「なんで?いや、夢落ち?」
確かに自分は殺された筈。
自分の体は無事でも、痛みは覚えてる。
記憶の中の痛みは生々しかった。
夢にしては――いや、もういい。手元のスマホに目を落とすと、思わず声が出た。
画面の日付は――20xx年10月20日。
「っはは,,,なんだこれ、日付バグってんのか?というか、このスマホ」
ダンジョンが世界中で発生する、あの“前日”だ。
しかもそのスマホは見覚えのある型だった。俺が会社員だった頃に使っていた機種。血の日曜日のときに壊れたはずの奴だ。
「過去に戻った?いや、そんな筈ない。俺は職業も無いスキルもほとんど無い底辺の覚醒者だったんだぞ」
意味が分からない状況に思考が停止する。
もし、もし仮にダンジョンが始まる前だとしたら、、
....意味がない。
それどころか、もう一度あの地獄を味わうのか?
裏切り、貧困、差別の毎日
あれを、、もう一度?
「無理だ、、いや、まだ夢の可能性もある」俺は自分に言い聞かせた。だが手は震えている。
落ち着け、、
もし今までのが夢だったとしたら、そもそもステータスウィンドウが出ないだろ。
縋るように、震える声で「ステータス」と唱える。
機械的な音声と合わせて表示されたステータスボード
やっぱり、夢じゃない事を実感した。
だがそれ以上に、気になることは、ステータス表記がおかしい。
=============
名前 佐藤悠馬
レベル 1
職業 配信者ユニークジョブ rank EX
スキル
・金の力 rank A
・人気の力 rank S
・言葉の力 rank EX
HP 50
ATK 1
AGI 1
DEF 1
MP 10/10
LUK 10
スキル詳細
金の力
配信を行ってる場合に限り効果発動する。
配信上の投げ銭機能により金を得た場合、金額に応じて規定時間能力値が200%増大する。
人気の力
配信を行っている場合に限り効果を発動する。
配信を見ている人間の数×1%分経験値に上昇補正が加わる。
但し上昇補正値は10000%からは上昇しない。
戦闘終了時に見ている視聴者数をカウントする。
言葉の力
配信を行っている場合に限り効果を発動する。
配信中にコメントをされた場合、そのコメントに記載の任意部分を切り取って
言葉に込められた力を具現化することが出来る。
=============
「なんだこれ、それにそもそも俺の職業は無かったはずだ」
ステータス画面とスキル詳細を食い入る様に眺めた後、混乱した思考を必死に巡らせる。
「一旦整理しよう。ステータスが表示される以上は間違いなく覚醒者である事は間違いない」
だとすると、あれは夢ではない。
今が夢、もしくは死後の世界の可能性はまだあるが、大事な事はまだある。
「仮に、スマホの日付が正しいとすると、今は間違いなくダンジョンが発生し始める前日という事になる。だとすると、今これが夢では無く現実なのであれば間違いなく今後の展開は予想出来る」
過去に戻ったのであれば、今後起きる事象に関してはよく理解できるのだ。
そしてもう一つ。
過去に戻ったのは死んだからだとすると、俺は死んだらこの日にちに戻ってくるのか?
死に戻りスキルが存在する可能性もあるが、だとすると今ステータス画面にそれらしいスキルが存在していない以上、もう一度死に戻りする可能性は考えない方がいいかもれない。
もしくは、死ぬ前のステータスに隠し要素があったのか、一先ずは置いておく。
ベッドから降り、仕事机の前に腰掛けてノートとペンを手に取る。
「これが現実と仮定して、俺がやらないといけないこと」
神か超常の類か、過去に戻ったんだ。
それも今度は、職業にレアスキルも手に入れた状態で。
死ぬ前の様な人生はごめんだ。
あんな地獄は二度と経験したくない。
ならやるしかない。
「明日、東京にダンジョンが生まれる。その上でもう二度と搾取されない人生を迎えるには、強くなる必要がある。」
ノートにペンを走らせて強くなると書く。
他にも、必要な事を必死にメモしながら、今後の計画を練っていく。
職業を手に入れたが、この【配信者】という職業についての理解は必須か。
「【配信者】か、思いつくのは、と言うより確実だろう」
前回の人生の時もそうだったが、配信業を行っている人間はいた。
今もそうだが、ゲームであったり、歌であったり、動画や生配信を行って生計を立てている人は多い。
特に、ダンジョンの攻略が本格的に始まってからは大勢の人が配信を行っていたのだ。
実際の人や、魔物の生き死にがリアルに映ってしまう状況を快く思わない人間も一定数いた。
それでも、ダンジョン配信は金になるし、人気も取れやすいとあって配信を行う人は多かったのを覚えてる。
特にS級の覚醒者の動画は1動画1000万再生も行く程の人気コンテンツにまでなったほどだ。
俺の職業とスキルから察するに、恐らく俺はダンジョンで配信を行って敵と戦うと発動するスキル。
逆に言えば、配信を行わなければ職業無しと変わらないと言うことだ。
「明日、ダンジョンに潜って配信を付ければ、、いや、そもそも配信出来ないんじゃ、、」
明日東京に出現するダンジョン。
出現場所と出現時間は覚えているが、今の時代では、配信の設備が整っていない。
スマホを使えば配信出来なくもないが、難しいだろう。
それに、配信すると俺の個人情報もバレるし、何より目を付けられるリスクが高すぎる。
それこそ、最初は封鎖を決めた日本だ。
配信して、中に潜ったりしたら下手したら逮捕されるんじゃないか?
「,,,,いやダンジョンにこだわる必要は今は無いんじゃなのか?」
ふと頭に浮かんだのは、会社員時代に暇つぶしで作った配信アカウントのことだった。
確か、まだ消していないはず。
スマホを操作すると、すぐにそのアイコンが見つかる。
ログイン画面に進むと、驚いたことに自動で入れた。
「……残ってたのか。いや、残ってたんだな」
胸の奥で、不安と期待がせめぎ合う。
明日、東京にダンジョンが現れる。
まずはその前にスキルの確認とレベル上げだ。
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