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第1章 はじめよう、Magic Loadersのいる暮らし
〇第5話 セキカトケール
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家に戻ってから、サーイはマージだけに話した。
「実は……私が最初にエグゼルアに来た時、お腹がすいて、のども乾いて倒れてしまったんですが、そのとき何かを飲ませてくれて、助けてくれた子がいるんです。その子が……」
「髪の毛が、蛇だったと?」
「はい」
「その子は、善の魔物だろう」
「善?」
「魔物には善と悪がある。善の魔物はこちらから攻撃をしない限り、我々を襲うことはない」
サーイは、半信半疑だった。
「本当ですか……? さっきからこの村にやってきているのも『魔物』、あの子も『魔物』なのに……?」
「そう思うのも無理はない。実は村の者たちの大半も、『魔物が善のわけないだろう、魔物は悪者に決まっている、絶対そうだ』などと思っている。だが、いるんだ」
「じゃあ、もしかして、村の皆さんは」
「そう。サーイに、その子を討伐させたいんだ」
「あの子は私を助けてくれたのに、そんなことできません……こうなったら、マージさん」
「何だ?」
「……ちょっと協力してもらませんか?」
―――――†―――――
「マージと、たった2人で行くだと?」
ギールが驚いた様子だった。
「私、実は、『奴』のことに心当たりがあるんです……私のいた世界でも『奴』の伝説があります。なんでも、見た者を石化してしまうという恐ろしい力があるって……皆さんをそんな危険な目には合わせたくないから」
「しかし……」
訝るギールに、周りの村人が、
「サーイなら、大丈夫だ!」
「さっきのあの魔力を見ただろう! 奴なんか、一撃だ!」
などと囃し立てた。
まだギールは
「いくら魔力があっても、石化されてしまっては……」
と言っていたが、サーイは続けた。
「それに、マージさんがいい魔法を『呪胎』してくれたし。これなら大丈夫です」
「村長、何の魔法ですか?」
マージは杖を一本取り出して言った。
「セキカトケール」
「……聞いたことない魔法ですね」
「これは、普通の人間には使えない。だが、サーイは使えるようだ」
「そんな魔法あるんですか……まあ、我々素人がマジック・ローダーたるお方に言う話ではないですよね」
「とにかく、私達、行ってきます!」
そう言ってサーイとマージは村を後にした。
―――――†―――――
「サーイ、村人に嘘をつくのは心が痛むぞ」
「仕方ないです。あの子が善の魔物って信じてもらえそうもなかったんで……」
そう、あれは全部嘘。『奴』を見たら石化する、というのは地球での伝説に過ぎない。現にこの前『奴』を目撃したサーイは石化されなかったし、セキカトケールなんていう魔法はもちろん存在しない。
一日中、『奴』を探したが、結局見つからなかった。
日も傾きかけて、帰ろうとしたときだった。二人はある女性に出会った。彼女はぼんやりと浮かび、後ろは透けて見えた。そして、赤い水晶をあしらった冠を身に着けていた。
「サーイ……やっと見つけました」
「……あなたは……?」
「私は……この世界、エグゼルアの……女神です。ああ、あなたこそ、私が探していた方……私たちの仲間、いえ、この世界の人々すべてが魔物たちから狙われています。助けに来てほしいのです」
「私が……ですか?」
「お前が、召喚したのか?」とマージが聞いた。
「そうです。この世界を救っていただければ、彼女はちゃんと元の世界にお還ししますから」
「お前の都合で勝手に、そんなこと……」
と言うマージを遮って、サーイは『女神』に言った。
「もしお望みならば、私は協力させていただきます……まだ至らないですが」
「なんと心強い。それこそ、私が選んだ者です」
『女神』の言葉を聞いて、サーイはこう続けた。
「その代わりといってはなんですが、今困っていることがあるので、お願い聞いていただけますか?」
「何でしょうか?」
「私たち、人……じゃなくて魔物?……を探しています。蛇の頭を持った子なんですが」
その瞬間、『女神』の口調が、これまでとは急変した。
「何ですって! そんな蛇悪な者、絶対に探してはなりません!」
そう言い残して、『女神』の姿は見えなくなった。
「実は……私が最初にエグゼルアに来た時、お腹がすいて、のども乾いて倒れてしまったんですが、そのとき何かを飲ませてくれて、助けてくれた子がいるんです。その子が……」
「髪の毛が、蛇だったと?」
「はい」
「その子は、善の魔物だろう」
「善?」
「魔物には善と悪がある。善の魔物はこちらから攻撃をしない限り、我々を襲うことはない」
サーイは、半信半疑だった。
「本当ですか……? さっきからこの村にやってきているのも『魔物』、あの子も『魔物』なのに……?」
「そう思うのも無理はない。実は村の者たちの大半も、『魔物が善のわけないだろう、魔物は悪者に決まっている、絶対そうだ』などと思っている。だが、いるんだ」
「じゃあ、もしかして、村の皆さんは」
「そう。サーイに、その子を討伐させたいんだ」
「あの子は私を助けてくれたのに、そんなことできません……こうなったら、マージさん」
「何だ?」
「……ちょっと協力してもらませんか?」
―――――†―――――
「マージと、たった2人で行くだと?」
ギールが驚いた様子だった。
「私、実は、『奴』のことに心当たりがあるんです……私のいた世界でも『奴』の伝説があります。なんでも、見た者を石化してしまうという恐ろしい力があるって……皆さんをそんな危険な目には合わせたくないから」
「しかし……」
訝るギールに、周りの村人が、
「サーイなら、大丈夫だ!」
「さっきのあの魔力を見ただろう! 奴なんか、一撃だ!」
などと囃し立てた。
まだギールは
「いくら魔力があっても、石化されてしまっては……」
と言っていたが、サーイは続けた。
「それに、マージさんがいい魔法を『呪胎』してくれたし。これなら大丈夫です」
「村長、何の魔法ですか?」
マージは杖を一本取り出して言った。
「セキカトケール」
「……聞いたことない魔法ですね」
「これは、普通の人間には使えない。だが、サーイは使えるようだ」
「そんな魔法あるんですか……まあ、我々素人がマジック・ローダーたるお方に言う話ではないですよね」
「とにかく、私達、行ってきます!」
そう言ってサーイとマージは村を後にした。
―――――†―――――
「サーイ、村人に嘘をつくのは心が痛むぞ」
「仕方ないです。あの子が善の魔物って信じてもらえそうもなかったんで……」
そう、あれは全部嘘。『奴』を見たら石化する、というのは地球での伝説に過ぎない。現にこの前『奴』を目撃したサーイは石化されなかったし、セキカトケールなんていう魔法はもちろん存在しない。
一日中、『奴』を探したが、結局見つからなかった。
日も傾きかけて、帰ろうとしたときだった。二人はある女性に出会った。彼女はぼんやりと浮かび、後ろは透けて見えた。そして、赤い水晶をあしらった冠を身に着けていた。
「サーイ……やっと見つけました」
「……あなたは……?」
「私は……この世界、エグゼルアの……女神です。ああ、あなたこそ、私が探していた方……私たちの仲間、いえ、この世界の人々すべてが魔物たちから狙われています。助けに来てほしいのです」
「私が……ですか?」
「お前が、召喚したのか?」とマージが聞いた。
「そうです。この世界を救っていただければ、彼女はちゃんと元の世界にお還ししますから」
「お前の都合で勝手に、そんなこと……」
と言うマージを遮って、サーイは『女神』に言った。
「もしお望みならば、私は協力させていただきます……まだ至らないですが」
「なんと心強い。それこそ、私が選んだ者です」
『女神』の言葉を聞いて、サーイはこう続けた。
「その代わりといってはなんですが、今困っていることがあるので、お願い聞いていただけますか?」
「何でしょうか?」
「私たち、人……じゃなくて魔物?……を探しています。蛇の頭を持った子なんですが」
その瞬間、『女神』の口調が、これまでとは急変した。
「何ですって! そんな蛇悪な者、絶対に探してはなりません!」
そう言い残して、『女神』の姿は見えなくなった。
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