君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

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第五章「計画」

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 追い払われた僕は仕方なく部屋でテレビを見ていると、神近くんが戻ってきてベッドに腰かけた。

「先輩。こっち来てください」

 神近くんの言葉に僕の心臓が跳ね上がる。さっきの行為が頭を過ったけれど、神近くんの表情は何処か浮かない。変な方向に考えていたのは僕だけのようで、少し居たたまれない気持ちで腰を浮かす。

 僕が隣に腰かけると神近くんは浅く息を吐き出し、少し緊張した面持ちで口を開いた。

「学校でも言った通り、何度も憑かれる可能性がある以上は、俺には手に負えません」

 神近くんのきっぱりとした口調に、僕は血の気が引く思いで神近くんの横顔を見つめる。

「でもこのままにするつもりもありません。賢明な方法としては――」

 言い淀むように言葉を切って、苦虫を潰したような表情で俯いてしまう。

「実家に……先輩を連れて行って、父に頼むことです」

「えっ……神近くんの実家って……」

「鐘島先輩から聞いていると思いますが、俺の実家は神社です」

 僕は驚きのあまり固まってしまう。そこまでしなくちゃいけない状況への不安に加え、神近くんの家族と対面するという緊張感。

 ただの友達だったらここまで構えたりなんかしない。恋人同士だからこそ、どんな顔をして神近くんの家族に会えばいいのか分からなかった。

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