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第五章「計画」
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しおりを挟む「有り得ない事なので、ご心配なく」
神近くんはきっぱりと言い切ると、憮然とした表情で視線を背ける。僕は口を挟むことも出来ず、ただ俯いて居た堪れない気持ちを持て余すしかなかった。
「佐渡、俺は本気だからな。辛くなったら今度こそ、俺に頼れ」
泰明はそう言って僕の肩を叩くと、そのまま一人で校門に向かって歩いていく。
「いつまでも保護者気分でいられても、困るんですけどね」
不機嫌さを隠そうともしない表情で、神近くんが僕の隣に並んだ。
「なんかさ……恋愛って難しいね」
僕は思わず本音が出てしまう。泰明に言わない方がお互いに傷つかなかっただろうし、モヤモヤとした気持ちを抱えることも無かったのかもしれない。
今度顔を合わせた時に、僕と泰明は今まで通りに親友としてやっていけるのだろうか。正直、僕にはその自信がなかった。
「先輩は頭がお花畑なんですか? 簡単な事なんてそうそうないですから」
「分かってるけど……」
「何なんですか? 鐘島先輩の方にもう心変わりですか?」
神近くんが僕の腕を掴むと、顔を覗き込んでくる。
「そうじゃないけど……」
「じゃあそんな顔、しないでください」
神近くんがそう言うなり、僕の手を引いて歩き出す。僕は黙ったまま少し引き摺られるように歩みを進めた。
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