君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

文字の大きさ
上 下
155 / 259
第五章「計画」

29

しおりを挟む

「素直な方が可愛げがあるって先輩、言ってましたよね? だったら、先輩がしたいならキスしてください」

「それは神近くんの事であって――」

「どっちだっていいじゃないですか」

 神近くんの有無を言わさぬ真剣な眼差しに、僕の心臓が割れんばかりに激しく打つ。僕は恐る恐る神近くんに顔を近づけて、唇を重ね合わせた。

 初心丸出しの触れるだけのキスをもどかしく感じたのか、神近くんの手が僕の頬を掴むと吸いつくようなキスを落としていく。

「ふっ……はぁっ……ッ」

 薄っすらと開いた唇の隙間から舌が割り込み、熱を帯びた舌先が口腔で混ざり合う。濡れた音とテレビの無機質な笑い声が耳に届き、何とも不思議な気持ちでぼんやりした頭を持て余す。

 何度も角度を変えては深いキスを交わし合っていると、そっとベッドに押し倒されてしまう。少し焦るような仕草で服を脱がされ、首元に舌を這わされていく。

「ッ……んっ……」

 濡れた舌触りが首筋から鎖骨に滑り降り、何度も強く吸われては上擦った声が勝手に漏れてしまう。

「昨日のがまだ残ってますね」

 赤くなっている痕に舌を這わせつつ、神近くんが可笑しそうに笑う。

しおりを挟む

処理中です...