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第四章
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しおりを挟む「すぐさま公園に向かいますと、ちょうど貴方が田端の人間に連れて行かれるところでした。一先ずは屋敷に戻り、事の仔細を告げて体勢を整えてから乗り込んだ次第です。危ないところでしたが、間に合ってよかったです」
最後のホッとしたような冴木の声に、今更ながらとんでもないことをしていたのだと思い知らされる。
脩は隣に座る秋良に視線を向けた。秋良は相変わらず顔色が青ざめ、体を震わせている。
そこで脩は再び、緊張感と絶望感に血の気が引いていく。
「冴木さん。秋良も田端の家です。それでも、僕を助けてくれたんです。どうにかなりませんか?」
世良家に連れて行かれたら、秋良はどうなってしまうのだろうか。急な不安が襲いかかり、脩は慌てて冴木に弁解する。
「落ち着いてください。気持ちはわかりますが、これから緊急の集会が行われます。そこで秋良さんからも話を聞く
ことになると思います」
一気に血の気が引いていく。自分の軽率な行いでここまでの大事を引き起こしてしまったのかと思うと、罪悪感に胸が押しつぶされそうになる。
「僕が悪いんです……身辺に注意するようにと言われていたのに……」
後悔しても今さら遅かった。どうしたら良いのかわからないまま、気づいた時には世良家の門をくぐり抜けていた。
「無事で何よりだよ」
玄関に入ると、清治が暗い表情で待ち構えていた。
「ごめん。迷惑かけて……」
「良いんだ。脩は悪くない。状況を知らないんだからしょうがないさ」
清治は困ったように眉を下げつつも、優しく微笑みかけてくる。
「この子が後輩くんかい?」
脩の隣で、青ざめた顔で俯いている秋良に視線が向けられる。
「うん……。兄さん、なんとかならないの?」
清治は現在の当主だ。清治の権限ならなんとかなるのかもしれない。
「とりあえず、事情を聞かない限りはどうすることも出来ないからね。これから緊急の集会をするから、後輩くんには説明してもらうことになる」
清治は少し悲しげな表情で、視線を下に向けた。その表情に、脩は嫌な予感が込み上げてくる。
「脩……すまないが、部屋で待っていてくれないか」
「どうして!」
思わず脩は抗議の声をあげる。今、秋良を一人にしたくはなかった。精神的にも体力的にも、秋良はきっと限界に近い。自分がついていなければ、不安で押しつぶされそうだった。
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