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第四章
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しおりを挟む「‥‥‥分かりました。それなら一緒に入りましょう」
「えっ‥‥‥」
まさかの提案に脩は思わず瞠目した。それでも、シャワーを浴びている間に、また何処かに姿を消されてしまうのではと不安も沸き上がる。
それほどまでに、秋良がいなくなった事がトラウマのように胸にこびりついていた。
「‥‥‥わかった」
脩は少し緊張した面持ちで、バスルームへと先立って歩き出す。その後ろを秋良が、少し驚いた顔でついてきた。
「断られるかと思ってました」
狭いバスルームでシャワーを出している脩に、秋良が背後から声をかけてくる。
「断ろうかと思った。けど、秋良が居なくなる方が嫌だと思って‥‥‥」
振り向くのが恥ずかしく、脩はバスルームの白い壁を見つめる。
「先輩‥‥‥」
背後から優しく抱きすくめられ、思わず体が跳ねてしまう。少し湿った肌を直接感じ、途端に全身が熱を帯びる。
「俺が洗ってあげますよ」
背後から耳朶を噛まれ、脩は甘い声が唇から溢れてしまう。その声は狭いバスルームに響き、自分の耳へと返ってくる。その事が、とてつもなく恥ずかしい。
「ばかっ、ここではやめろって」
羞恥心から脩は抗議の声をあげる。
「すみません。先輩の事が‥‥‥好き過ぎて‥‥‥」
秋良の切なげな声に、脩はうっ、と息を詰める。
ーーこいつ、狡い。
分かってて言ってるのだったら、相当なやり手だろう。あの日の夜も、脩が抗議しようものなら同情心を誘うような言葉でなし崩しにしてきた。
秋良がボディソープを手に取ると、ボディタオルで泡だてていく。チラッと横目で見た秋良の体つきは、思いの外引き締まっていて羨ましく思ってしまう。
「じ、自分で洗うから‥‥‥秋良が先に洗っていいよ」
洗ってもらうのはやっぱり恥ずかしい。というよりも、秋良の洗うの意味合いが違う気がして、落ち着かない気持ちになっていた。
「どうしてですか?普通は下の人間が目上の人の背中を流すのが、当たり前のことだと思うのですが」
それはそうだとしても、この状態でそれは通用する事なのか疑問だ。
脩が反論をしようと思考を巡らせているうちに、後ろから優しくタオルを当てられていく。恥ずかしさに顔を俯かせ、脩は唇を噛み締める。
秋良は淀みない動きで、背中から腕や首へと優しく摩っていく。
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