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しおりを挟む「気にすることはない。顧客の満足度が高まれば、私の会社の利益にも繋がるんだ。それに私たちは家族なんだよ。協力するのは当たり前のことなんだ」
それでも難色を示す睦紀に、俊政は「大事な息子なんだから、可愛く思って当然だろう」と言って笑みを浮かべる。
「困っている息子を見て、放っておける親がどこにいるんだ? 睦紀は随分と周囲の目を気にしているようだが、その必要は無い。それに私が見つけてきたとしても、別に周囲に明言しなければいい話だろう」
「でも社長に甘んじるわけには――」
「ここで社長と呼ぶのは、禁止だと言ったはずだよね」
にこやかな表情であるものの、何処か有無を言わせぬ俊政の気迫に、睦紀は慌てて「俊政さん」と言い直す。
お義父さんと呼んでいたこともあったのだが、「春馬にさんざら呼ばれているから、睦紀は名前でいい」と言われたのだ。睦紀の父親を明言するわりには、そこだけは何故か拘っているようだった。
「やる気も大事だが、夜もあまり眠れていないそうじゃないか」
俊政に指摘され、睦紀は反論を防がれてしまう。
「自分一人で抱え込むのは良くないよ。何かあったら、私に何でも相談して欲しい」
「……はい。ありがとうございます」
俊政の心遣いは有り難い。弱い部分が出そうにもなったが、睦紀はぐっと堪えた。自分で何も改善していないのに、俊政にばかり迷惑をかける訳にはいかない。涼華とは一度、真剣に話し合おうと睦紀は心に決める。
睦紀の決意をよそに、俊政は取り留めのない話をしては楽しげに食事を進めていた。いつまでも後に引かない俊政の対応に、睦紀もホッとして食事を続ける。
食事を終える頃には家を出る時間ギリギリで、睦紀は慌てて会社に行くために席を立つ。
車で行けば良いという俊政の申し出を辞退し、睦紀は先に家を出る。平社員であるにも関わらず、義父とはいえ社長と一緒の出勤はどうにも気が重かった。
睦紀は駅まで徒歩で向かい、通勤ラッシュ近い最寄り駅に着く。やや構内は混雑しているが、早めに出ていることもあって車内は比較的余裕があった。
睦紀はスマホを取り出すと、涼華に話があるという旨をメールに打ち込む。
メールを送っただけだというのに、どっと疲れが押し寄せた。スマホをしまい、車窓に流れる景色に視線を向ける。気づけば溜息を吐いていたようだ。近くにいた中年男性にちらりと視線を向けられ、睦紀は居たたまれない気持ちで俯いた。
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