淫愛家族

箕田 はる

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 キッチンの棚からクラッカーの箱を見つけた睦紀は、急いで部屋へと戻る。すでに机には赤いワインの入ったグラスが置かれていた。
 俊政に促され、睦紀が隣に腰を下ろすとグラスを渡される。

「ありがとう。それじゃあ、乾杯しよう」

 俊政の合図で、睦紀はグラスを傾ける。カチン、と小気味良い音を響かせ、グラスが合わさった。
 口をつける俊政を横目に、睦紀も口にする。前に飲んだ高級なワインに比べて、葡萄の甘さが濃く感じられた。

「これなら睦紀も飲みやすいだろう?」
「はい。美味しいです」

 すぐにワイングラスに口をつけた睦紀に、俊政は微笑んだ。

「そうだろう。睦紀のために用意したんだ。喜んでもらえてよかったよ」
「そうだったんですか。ありがとうございます」

 自分のためにわざわざ探してくれたのかと思うと、胸が熱くなる。俊政は「睦紀に喜んでもらえるなら、なんだってするさ」と言って、睦紀のグラスにワインを継ぎ足してくる。
 俊政は口に合わないのか、あまり口をつけていないようだった。一口しか飲んでいないワイングラスが、テーブルに置かれている。
 せっかく用意してもらったものを残すわけにはいかず、睦紀は促されるままに杯を重ねた。
 気づいた時にはすでに、全身が熱に浮かされたようになっていた。
 思考がぐるぐると酩酊し、心臓が自分でも分かるぐらいに強く打ち鳴らしている。吐き出す息も熱い。

「睦紀、大丈夫かい?」

 俊政の問いに、睦紀は涙で霞む視界で見た。

「酔ったみたいで……そろそろ――」

 腰を上げかけた睦紀に、俊政が腕を掴む。そんなに強い力でもなかったのにも関わらず、簡単に腰がベッドに落ちてしまう。

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